なぜ、サミット後 伊勢志摩は富裕層インバウンドの囲い込みに成功したのか?:「ツーリスティック」ではない特別な体験と地元の協力が背景に【全国通訳案内士インタビュー】

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

2016年5月に三重県で開催された伊勢志摩サミットは、世界中にそのニュースが発信されました。同時に、訪日外国人にとっては、まだ未知のディスティネーションであった、この地区の魅力が広く知られることになり、特に、滞在型の旅を好む富裕層にささりました。

この地域を訪れる富裕層の訪日外国人について、伊勢志摩をベースに活躍している全国通訳案内士、小林 ひろみ氏に話を伺いました。

インバウンド宿泊38,000人泊を目指す 伊勢志摩サミットで注目を集めた三重県・鳥羽市の今後のインバウンド対策を探る

三重県では三重県誕生から140年の節目である平成28年に伊勢志摩サミットが開催。県内でジュニアサミット、プレスツアーなどが行われ、世界中から注目を浴びました。これを受けて三重県を訪れる訪日外国人観光客の数が増加、鳥羽では海女文化、真珠などがインバウンド注目を集めたようです。一般的にはサミット開催前後で国内外の観光客が増加すると言われていますが、三重県・鳥羽市の場合はどうだったのでしょうか?また、国内外の観光客誘致に対する鳥羽市の今後の方針とはどのようなものなのか見ていきましょう。 目次三重...

訪日客宿泊者数 3年でなんと6倍!伊勢志摩サミット後の「海女小屋体験」ブームに沸く鳥羽市:MICEの経済効果を一瞬で終わらせない秘訣とは?

平成28年5月26・27日に三重県で開催された伊勢志摩サミット。サミットはMICEの一つであり、その位置づけや規模からもMICEの経済効果を検証するための重要なサンプルと考えられます。伊勢志摩サミットは開催地域に経済的な恩恵・いわゆるMICE経済効果をもたらしたのでしょうか? 伊勢志摩サミットが開催された三重県鳥羽市の観光課が発行した平成28年度・29年度の観光統計資料から検証しました。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資料を無料で...

訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションを資料で詳しくみてみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

富裕層インバウンドを受け入れるアマンリゾーツのアマネムの存在

2016年3月、アマンリゾーツが手掛ける温泉リゾートホテル「アマネム」が志摩市にオープンしました。伊勢志摩国立公園内という立地もあり、自然豊かで静かな環境にあるリゾートホテルです。

たとえ富裕層訪日外国人を誘致しても、彼らのニーズに合致するハイエンドな宿泊施設がなければなりません。この志摩市にある「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」、鳥羽市の「御宿The Earth」でも富裕層の受け入れは可能ですが、このような富裕層向け宿泊施設のの中でも、世界のリゾートたる”アマン”の一員の「アマネム」は頭一つ抜きでています。

▲「アマネム」公式ウェブサイト:当然多言語対応されている

▲「アマネム」公式ウェブサイト:当然多言語対応されている

ハイヤーがなくては、移動ができないところに好んで滞在する富裕層訪日外国人

伊勢市、鳥羽市あたりまでは、地元の路線バスがありますので、公共交通機関を利用する旅行者が移動に困ることはありません。ところが、志摩市は移動手段が主に自家用車になり、旅行者はハイヤーを雇う必要があります。

つまり、志摩市はハイヤー代を支払う余裕がある旅行者が訪れるディスティネーション(行き先)なのです。富裕層は、こういったリゾートに好んで数日滞在し、ホテル内でスパを楽しんだりとゆったりとすごし、あくせくと動き回ることはありません。

▲スクーターで現れた海女OGの女性。地元の人とのふれあいも楽しみのひとつ。

▲スクーターで現れた海女OGの女性。地元の人とのふれあいも楽しみのひとつ。

ツーリスティック(観光客向け)ではない特別な体験がしたい

富裕層の訪日外国人の観光の希望は、ツーリスティックなもの、つまり団体バスが乗り付けてくるような観光地らしいものではなくて、特別な体験がしたいというものです。

志摩市志摩町にある「真珠工房・真珠の里」では、真珠取り出し体験ができることでインバウンドにおいても人気です。工房へ向かう道には、アコヤ貝の貝殻がたくさん落ちており、そこから全国通訳案内士・小林氏の説明が始まります。

説明がなければ、貝殻は単なるゴミに見えてしまいます。特別な体験をしたいという訪日外国人の気持ちを盛り上げるのも全国通訳案内士の仕事です。

▲海女の話を小林氏が通訳。訪日外国人には、神秘的な体験

▲海女の話を小林氏が通訳。訪日外国人には、神秘的な体験

海女小屋も観光化されていないところへ。地元の協力が必要

海女小屋観光資源として認知されるようになり、残念ながら観光化が進みすぎたきらいがある施設もでてくるようになりました。

小林氏は、富裕層の訪日外国人向けに、観光化されていない海女小屋を発掘し、案内しています。「海女小屋体験施設 さとうみ庵」もそのひとつです。

また、普段、観光客には解放していない海女小屋もあります。小林氏は、そのような海女小屋に何度も通って信頼関係を築き、入室の許可を得ています。案内の前には、訪日外国人に、海女小屋でのマナーをレクチャーしているそうです。

▲英虞湾(あごわん)のサンセットクルーズへ

▲英虞湾(あごわん)のサンセットクルーズへ

クルーザーのチャーターも人気

また、「グランドバンクス」という種類のクルーザーをチャーターした志摩半島南部英虞湾(あごわん)周辺のクルーズも人気があります。

富裕層の訪日外国人は団体客と同じ扱いを嫌い、プライベートで楽しめるアクティビティを好みます。自分たちしかできない体験、ここでしか楽しめない体験。そういったものを求めています。

まとめ

▲小林氏も出演する志摩を紹介する動画

小林ひろみ氏は、三重県で活躍する全国通訳案内士です。地元のためになりたいと、現地の方々とのコミュニケーションを欠かしません。インバウンドを通じ、地元にお金が落ちるように、また訪日外国人にも伊勢志摩の魅力を伝えるべく奮闘しています。

地元の協力がなくては、訪日外国人の受け入れは進みません。小林氏の熱意に賛同した方々が伊勢志摩にはたくさんいます。これが、伊勢志摩のインバウンドを支える原動力なのでしょう。

訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションを資料で詳しくみてみる

「インバウンド動画プロモーション」を資料で詳しくみてみる

「インフルエンサープロモーション」を資料で詳しくみてみる

「SNSプロモーション」を資料で詳しくみてみる

「インバウンドメディア」を資料で詳しくみてみる

<参考>

<インタビュイー>

小林ひろみ
三重県在住の全国通訳案内士(英語)。地元の伊勢志摩経済新聞に紹介されたり、訪日外国人を紹介するテレビ番組に出演した経験もある。

訪日ラボ 最新版インバウンド情報まとめ

【速報】外国人に人気の「桜・お花見の名所」ランキング発表!


今回は、全国の桜の観光名所40スポットを対象として、2024年3月27日〜4月7日の口コミを取得、傾向を分析し、2024年速報版・桜の観光名所口コミ分析レポートを作成しました。

業界動向の把握や自店舗の口コミ対策に、ぜひ本レポートをご活用ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

【速報】外国人に人気の「桜・お花見の名所」ランキング発表!全国40スポットのうち、今まさに外国語口コミが多く寄せられているのは?【2024年版】

【インバウンド情報まとめ 2024年3月】2023年年間宿泊者数 1位は韓国 他

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年3月版レポートから、2月〜3月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

インバウンド情報まとめ 2024年3月

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
 訪日客向け“相撲エンタメショーホール” 大阪にオープン / 2023年年間宿泊者数 1位は韓国【インバウンド情報まとめ 2024年3月】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに