訪日外国人の急増をうけて、地域によってホテル客室数の不足が深刻化してきています。頼みの綱の民泊も、民泊新法により客室数が大幅減となるなか、注目を集めているのが、既存の建物を活用してコストと工期を削減した「コンバージョンホテル」です。
2018年3月、東京・渋谷にオープンした「ザ・ミレニアルズ渋谷」はニュースなどでもよく紹介されていたので、ご存知の方も多いかもしれません。建物再利用という価値に加えて、思わず泊まりたくなるような付加価値を付けた宿泊施設をいくつかピックアップしてご紹介します。
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政府目標のインバウンド4,000万人:足りないホテル客室数…どこに泊めるかが課題
政府が目標として掲げる「2020年の訪日外客数4,000万人」を前に、訪日外客数は毎年約16%増とすごい勢いで伸びているのはご存知の通りです。
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訪日外国人の受け皿として期待されていた民泊ですが、2018年6月15日の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の施行により、その数は大幅に減少してきています。民泊の仲介世界最大手であるAirbnbでも、一時は全体の約8割もの“違法営業となる恐れがある施設”がリストから削除されるなど、混乱を来たしました。
[blogcard url=”https://honichi.com/news/2018/06/15/airbnbstrategy/”]
不動産サービス業CBRAによる「2020年のホテルマーケット展望」(2018年4月10日発表)によれば、東京、大阪、京都以外の地方都市でもホテルの高稼働が続き、このままいくと2020年には客室数が足りない見通しとなりました。
もちろん対策は急がれており、札幌、名古屋、福岡では、2020年までに合計で1.5万室、それぞれ 既存客室数の18%、31%、30%もの客室数の追加供給が予定されています。それを加味しても、札幌は約3,500室、名古屋は約2,100室、福岡は約1,400室が不足する予測なのです。
今注目のイケてる「コンバージョンホテル」5選
そんな状況のなか、最近注目を集めているのが、新しいスタイルの宿泊施設「コンバージョンホテル」です。
「コンバージョンホテル」とは、すでにある建物の用途を変えて宿泊施設に改造したもののことです。
「リノベーションホテル」と混同しやすいですが、リノベーションには修復、刷新という意味があり、今ある建物の用途を変えないまま価値を再生することを意味します。つまり「コンバージョンホテル」と「リノベーションホテル」の違いは、もとの建物の用途が宿泊施設であったか否かにあります。
「コンバージョンホテル」のメリットは、建物はありものなので、建築費用や工期を抑えられることがあります。また例えば、少子高齢化が進み廃校となった学校を、一方で観光ニーズが高まったためホテルに『コンバージョン』するなど、時代の変化にともなうニーズの変化に対応できることもメリットとなります。
それでは、最近注目のコンバージョンホテルをいくつか見ていきましょう。
未来のライフスタイルを体感 「ザ・ミレニアルズ渋谷」(東京)
https://www.themillennials.jp/
東京・渋谷区に2018年3月オープン。中古ビルを改造したホテルです。施設内には、キッチンやコワーキングスペースも併設。なんとビールが飲み放題になる時間もあるのだそうです。稼働率は9割と好調とのこと。
築85年の元銀行をコンバージョン「HakoBA 函館」(北海道)
https://www.thesharehotels.com/hakoba/
北海道・函館に2017年5月オープン。函館の街によく映える、赤レンガの外観が特徴です。こちらも、キッチンやラウンジがあり、屋上では朝ヨガなどのイベントも開催。宿泊者同士の交流をうながす仕掛けが満載です。
学生寮が京町屋に? ホテル カンラ京都(京都)
2010年10月、築23年の学生寮をリノベーション。京町屋の風情を取り入れたラグジュアリーな空間に、3つのレストラン、スパも併設。ちょっと高級感あるコンバージョンホテルです。
食堂兼宿泊施設 Tanga Table(福岡)
2015年9月、借り手がなかなかつかなかったビルの1室を改造してできたホテル。ドミトリーもあり、1泊2000円台からとお手ごろ。ホテル隣接の市場「旦過(たんが)市場」からの食材を使ったおいしい食事が評判です。
学校に泊まれる! シラハマ校舎(千葉)
http://www.awashirahama.com/nagao/
2016年、地元で長く愛されながらも閉校した旧幼稚園・小学校の歴史ある木造校舎を活かしてオープン。宿泊施設だけでなく、シェアオフィスやバーも併設された複合施設です。
まとめ
地方都市の既存の宿泊施設は、出張ニーズに応える単身者用のビジネスホテルが中心。しかしながら、訪日外国人にビジネスホテル以外の選択肢もたくさん見て欲しいものです。アッパークラスや家族連れ、長期滞在者向けなどさまざまなニーズに応えるための、ホテルのバリエーションも課題です。
単にホテル客室数を増やすというだけではなく、こうした課題に答え、スピーディーに顧客ニーズに応えられるような客室供給がいま、求められています。
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<参考>
- https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/Unnamed-item0000
- https://www.homes.co.jp/cont/reform/reform_00003/
- https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180723-00010001-yjnewsv-bus_all
- http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1805/14/news060.htm
- https://finance.yahoo.co.jp/feature/special/eco_movie/conversion_hotel.html
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2022年10月からついに入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ免除等が実施され、訪日観光が本格的に再開されました。
未だ"完全回復"には至っていないものの、観光地によってはすでに多くの訪日外国人観光客が訪れているところもあり、「インバウンド対策」への関心が急速に高まっています。
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