『欧米豪と一括りにするな』『ゴールデンルートなんて存在しない』/地方インバウンド誘致はどうすればいい?中部の広域DMO 英国人COO ハーヴィー氏からの提言

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広域連携DMO 中央日本総合観光機構(Go Central Japan)は、中部9県(富山県石川県福井県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県)と名古屋市浜松市静岡市3都市の観光事業を統括する中枢機関です。

昨年、中央日本総合観光機構(Go Central Japan)は、前VisitBritain (英国政府観光庁)日本・韓国代表のAshley John Harvey(アシュリー・ジョン・ハーヴィー)氏をCOOに迎えました。ハーヴィー氏に中部地区のインバウンドの現状、また展望についてお話を伺いました。

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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

中部9県と3都市の協力体制が重要に

一般社団法人 中央日本総合観光機構(Go Central Japan)は、中部9県(富山県石川県福井県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県)と名古屋市浜松市静岡市3都市といった広い地域を統括するDMOです。

担当するすべての地域が質の高い観光事業を行っていますが、中央日本総合観光機構は、地元からの声に耳を傾け、協力体制をしっかり構築しなければなりません。

また、世界に発信する観光コンテンツとして、サイクリングやハイキングもいいですし、歴史ある各地の見どころも忘れてはなりません。これらの地域が協力して、世界に向けてアピールすることがもっと必要です。

▲アシュリー・ジョン・ハーヴィー氏

▲アシュリー・ジョン・ハーヴィー氏

歴史あるセントラル・ジャパン(中部・北陸地区)。その魅力的とは。

中央日本総合観光機構が統括する地域は広く、それぞれの土地に特徴があります。ですが、私たちの仕事は、その違いを浮き彫りにすることではなく、お互いに協力体制を築くことです。

外国人にセントラル・ジャパンの話をすると、彼らはこの土地に魅せられます。戦国三大武将(信長・秀吉・家康)を生んだ土地柄で、天下分け目の合戦として有名な関ヶ原の戦いの古戦場もあり、日本の歴史を身近に感じることができます。

歴史遺産は、セントラル・ジャパン全体で見ることができます。例えば、松本や彦根の職人の文化もそのひとつです。職人たちの努力は、後にトヨタ、ミキモト、ノリタケといったブランドに引き継がれています。まさに「モノをつくる芸術」(ものづくり)です。

それに、地元の人々も「観光遺産」であると思います。ことばの難しさはありますが、人と触れ合うことで、日本人の優しさに触れることができるでしょう。

中山道と東海道。昔から続くアクセスのよさ。

この地域は、中山道と東海道といった、いにしえから続く街道があります。中山道は、生きた歴史ともいえる昔ながらの面影を残した街道です。また、東海道は、現在は最新鋭の新幹線が走る日本で最も重要な幹線路です。

セントラル・ジャパンは、日本の歴史と現代を理解する「エンジン」のようなものです。東京や京都にもアクセスがよいことも魅力のひとつです。

▲関ヶ原古戦場跡。中部地域には、多くの史跡がある。

▲関ヶ原古戦場跡。中部地域には、多くの史跡がある。

ターゲットは富裕層。近場からだけでなく、遠くから訪れる訪日外国人の受け入れを。

中央日本総合観光機構のターゲットは、米国イギリスオーストラリアフランス台湾およびタイのマーケットで、富裕層を狙います。

例えば、フランスでは、2016年には、人口の約33%が海外旅行にでているとのデータがあります。近場からばかりではなく、フランス人のような遠くからの訪日外国人を迎え、各地域にお金を落としてもらいたい。

ただし、日本では東京や京都以外では、富裕層向け市場はあまり整備されていないということを心に留めておかなければなりません。ですが、セントラル・ジャパンには、富裕層を受け入れることができる設備が点在しています。

『欧米豪』とひとくくりにするのではなく、それぞれの国民性を把握する必要が。

残念ながら、日本の観光関係者はヨーロッパ、アメリカ、オセアニア地域を欧米豪とひとくくりにしているきらいがあります。

例えば、英国人とフランス人は隣国人ではあるのですが、これらの国民性は異なっています。共通するところもありますが、興味の対象が異なる点が多々ありますので要注意です。

今後のPR戦略は、BtoBや対メディアも見据えて。

現在、私たちの発信チャンネルを、BtoBBtoCに加え、メディアの三つのカテゴリーに分けています。

BtoCは、すでにデジタルでの対応が進んでいます。これからは、それ以外を強化し、ファムツアーやイベントを行ったり、メディア対応にも力を入れます。ですが、私たちのメッセージには一貫性が必要です。シンプルでわかりやすい情報を発信していきます。

日本を訪れる訪日外国人の多くが東京と京都を訪れますが、私たちセントラル・ジャパンは、東京と京都に代わるものではなく、日本で訪日外国人体験する旅行先です。私たちのメッセージは、電車を降りての探検」です。何時間も移動に時間を費やすのは退屈です。

▲近年、松本城は訪日外国人に人気

▲近年、松本城は訪日外国人に人気

ゴールデン・ルートの中心に位置するものの、はたして?

アトキンソン氏は講演で「『ゴールデン・ルート』なんてものは存在しない。ただの東京駅京都駅を線で結んだだけだ」とジョークを飛ばしました。確かにそのとおりで、私も『ゴールデン・ルート』なるものは実在しないと考えています。

旅行者は東京駅で新幹線にのって、京都で降りるだけで、そこには『ゴールデン』だったり『観光ルート』だったりするものはありません。ただの電車旅です。その証拠に、2016年のマッキンゼーの研究では、旅行者の48%が関東関西地域に宿泊したといいます。

現在、JNTOが47都道府県すべての観光スポットを紹介する素晴らしい仕事をしています。セントラル・ジャパンでは、金沢の人々が京都へ向かう前の訪日外国人をもてなし、白馬ではオーストラリアの富裕層がスキーを楽しみます。また、三重県は、G7サミット後に大きく伸びています。

なぜ、サミット後

2016年5月に三重県で開催された伊勢志摩サミットは、世界中にそのニュースが発信されました。同時に、訪日外国人にとっては、まだ未知のディスティネーションであった、この地区の魅力が広く知られることになり、特に、滞在型の旅を好む富裕層にささりました。この地域を訪れる富裕層の訪日外国人について、伊勢志摩をベースに活躍している全国通訳案内士、小林 ひろみ氏に話を伺いました。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションを資料で詳しくみてみる「インバウンド...

個人的には、長年インバウンドに取り組んできた高山が素晴らしいと思います。現地ではあたたかく訪日外国人を迎えています。

なぜ飛騨高山に外国人観光客が殺到するのか?背景にはインバウンド黎明期からの地道な努力があった…高山市の観光担当者が語る高山の底力とは

まだインバウンドということばが一般的でないころから訪日外国人をもてなす取り組みを続けてきた岐阜県高山市。今、その努力が花開き、多くの訪日外国人が高山を訪れています。高山市が行っているインバウンドの取り組みについて、高山市東京事務所所長代理の江尻英夫氏と海外戦略部海外戦略課の森由貴氏にお話を伺いました。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次英語の観光パンフレットは3...

広域観光周遊ルート昇龍道とこれからのセントラル・ジャパン

富山県石川県福井県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県の9県が含まれ、能登半島を竜の頭に見立てた観光周遊ルート昇龍道は、一時期話題になりました。

ところが、このルートに人気があるという証拠を見たことはありません。これは、地図上に線を引いただけで、訪日外国人が「これを買う」ということができません。また、昇竜道のための努力も知っていますが、残念ながら人気があるとのデータは見当たりません。

ところで、これまでも申し上げたとおり、日本の中心に位置する中央日本総合観光機構(Go! Central Japan)として、私たちをご覧いただきたいと思います。

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「インバウンド動画プロモーション」を資料で詳しくみてみる

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<参考>

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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