今月、台風21号と北海道地震という二つの大きな自然災害がありました。日本旅行、それも大阪や北海道が主要な観光地として人気を集めている中で、中国では日本に対する印象に何か変化は起きているのでしょうか。中国の報道から探ります。
【関空閉鎖】「インバウンドがいかに今の大阪に欠かせないか痛感」「訪日頼りが過ぎた報いだ」…訪日客激減の大阪・ミナミ/Twitter上で賛否両
今月4日に台風21号の直撃を受け、関西空港が閉鎖してから1週間が経ちました。当初から予想されていた通り、「関西の玄関」の機能が停止していることによるインバウンド業界への影響はじわじわと大きくなっています。じつは今、苦境にある大阪のインバウンド業界に地元の人々が苦言を呈するTwitterのツイートが盛り上がっています。なぜ未曽有の自然災害で被害を受けているインバウンドの現場が批判されているのか…多数のツイートの中を読み込むと、その中には日本のインバウンド業界が心にとめておくべき大きなヒントが...
【札幌】ホテルからの悲痛な声/すでに観光可能な北海道 なのに地震後なぜ観光客は戻らない?
2018年9月6日未明に起こった北海道胆振東部地震は、北海道全域で停電となる史上初の「ブラックアウト」をもたらすなどの被害がありました。北海道電力の尽力もあり、電気も問題なく使えるようになり、すでに観光客を受け入れられる体制に戻っています。ところが、北海道旅行のキャンセルが続き、現地からは悲鳴が聞こえてきます。京王プラザホテル札幌、宴会料飲部宴会予約支配人の宮谷定義氏に地震当時の様子、現在の状況をお聞きしました。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプ...
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日本を心配する声があがるも、北海道ファンの関心は「雪が降るのはいつごろ?」
北海道地震が起きた当日、9月6日の朝7時にはこのニュースは中国でも報道され、死傷者や避難者の数、そして地震により変化した街の様子が伝えられていました。
地震の翌日の6日には、NTTが公衆電話を無料にしたことが中国でも報道されています。同じ記事では、wifiもつながらなくなり、空港の状況もわからず非常に困惑しているという現地からの声を取材しています。また外国人専用、三か国語対応の問い合わせ窓口が設置されたことも乗じられています。
しかし実際SNSのWeiboを見ても、これらの情報が観光客に即時に伝わったのかどうか、利用されたのかどうかは不透明です。Twitterで日本人から心配の声があがっていたとおり、旅先である北海道で被災し、どのように安全を確保すべきか困っている中国人観光客も少なくなかったことが想像されます。
中国メディア「環球時報」の北海道地震の報道には「台風に地震…日本はどうしちゃったの」「平安が訪れますように」「日本かわいそう、いつも地震がある」といった気遣う言葉だけでなく、「道がきれい」「こんな地震でも建物が壊れていない、日本すごい」といった声、そして「中国人のみんな、大丈夫!?」と仲間を気遣うコメントが見られました。
また地震から1週間たった9月13日の夕方には、JNTOのWeiboアカウントより北海道の状況が正常に戻りつつあることが伝えられています。この投稿には「月末に北海道に行くつもりだけど、観光地に影響はありますか?」という書き込みもありました。
そのほか北海道の観光情報を配信するアカウントでも平常通りの写真には、「いつ雪が降りますか?」といった書き込みが見られます。地震はあれども旅行を控えるほどの被害ではないという認識がされているようです。
また日本でのTwitterの投稿と同じく、停電による星空の美しさをシェアする姿も見られました。
災害よりも注目された「中国領事館のバス」を前にした台湾人との対話
自然災害のもう一つである大阪の台風被害についてはどのように見られているのでしょうか。北海道での地震とは異なり、こちらの災害においては中国領事館が実際に中国人の救助にかけつけました。もちろん、「救出のためのバスを出す」という出来事だけでも、中国人の間で「領事館よくやった!」というムードが高まったことが報道からはうかがえます。
ところがこの出来事が注目を集めた理由は、領事館の迅速な行動だけではありませんでした。その場にいた中国人と台湾人とのやりとりとされるエピソードがSNS上に投稿され、これをきっかけに大阪の台風被害は北海道地震とは別の意味で非常に注目を集めているのです。
「9月4日午後3時から関西国際空港が閉鎖されることが決まった。中にいる中国人のため、中国の領事館が迎えのバスを出した。その際、『自分も乗っていいか』と尋ねてきた台湾籍の旅客に対し『自分のことを中国人だと思うのなら、祖国と共に行こう』と回答した。強大なる中国の力!」
なぜ台湾人に「中国人と思うなら…」と答えたのか?
ご存知のように、中国は台湾を中国(中華人民共和国)の一部と主張しています。一方で台湾人においては、さまざまな考え方はあるものの、政治制度が全く異なるものであることはもちろんのこと、自分は台湾人であり中国人でないと感じている人もいます。
こういった背景から、上記の質問は見方によっては非常にセンシティブなやりとりともとらえられます。つまり「バスに乗りたいのなら、自分は中華人民共和国の国民だと認めなさい!」と迫っているようにも、場合によってはとらえることができるわけです。
この出来事に対し、台湾の独立派のメディアが「関西空港に中国領事館の迎えの車、台湾人に中国人と名乗れば乗っても良いと告げる」との見出しをつけて報道します。さらにはこれを受け中国メディアが「中国人と名乗るよう迫った話ではない。『自分を中国人と思うなら乗車してどうぞ』と回答したのだ」と反論する一幕も見られました。
乗車し、避難を完了した台湾人たち、SNSには「台湾の代表は何していたの」の声も
上述の中国媒体の取材によれば、台湾人観光客はその後中国領事館のバスに乗るための列に並び、無事その場を離れることができたそうです。翌週には日本の報道機関により、中国の領事館のバスの到着時刻や関空の敷地内には入っていなかったことなど細かな事実関係の整理が行われたものの、実際に中国領事館のバスは台湾人も含め救出を完了しています。
中国の空港では、台湾、香港、マカオは「海外」でも「国内」でもない「港澳台」(澳はマカオの意味)として分類されています。今回の救出についても、香港人が117人、マカオ人が5人、台湾人が32人と明確に区分したうえで、総計1044名が中国領事館による支援を受け台風に見舞われた関西国際空港から退避できたことが報じられています。
また台湾駐日経済文化代表処(実質的に台湾の大使館的役割を果たす)がありながら、救援措置が間に合わなかった様子には、台湾人による「彼らは何をしているのか」といったSNSの書き込みも見られました。
いずれにせよ、中国と台湾との間で若干の火花が散ったことには注目が集まりましたが、今回の被災を受けて大阪で遊べなくなるのではといった心配の声が生まれているかというとそうでもないようです。9月12日現在、Weiboでは人気のUSJで遊ぶ中国人の姿が変わらず見られます。
まとめ ~自然災害があっても、ファンは観光可能な場所の情報を求めている 継続的な情報発信が大切~
日本で大きな災害が立て続けに起きることで、旅行客に観光地としてネガティブなイメージを抱かれてしまう懸念もあります。ですが、今回の北海道地震においては、「これから旅行したい」と考えている中国人の積極的な気持ちを生かし続けることに成功していることがわかりました。
観光客戻ってきて!「元気です北海道」の力強いメッセージに込められた想いとは/地震から2週間、道内から国内外へ安心を発信
2018年9月6日に北海道胆振地方中東部を震源として発生した「北海道胆振東部地震」。厚真町の衝撃的な土砂崩れの被害映像とともに、道内全域が停電(ブラックアウト)したり断水している様子が、各種メディアを通じて報じられました。一見、「北海道全域が大変なことになってしまった」と認識してしまうような状況でしたが、実際のところ広大な北海道の多くの地域では、すでに日常的な暮らしを取り戻しつつあります。また、そのような様子の報道はまだまだ少ない状況です。このようななか、大きなダメージを受けているのが観光...
ホットラインなどもしもの時には通信手段があるという不安を解消する手段を準備していることに加え、変わらず美しい景色のある観光地や、復旧途中の交通情報などを逐次公開していることが奏功しているようです。
大阪に関しても北海道同様、観光の魅力を打ち消すほどの自然災害ではなかったという中国人の認識が感じられます。引き続き、旅行時の利便性を高める情報や、魅力のあるスポットといった旅行者が求めている情報発信を続けていくことで、訪日旅行の価値を高め続けていくことが大切ではないでしょうか。
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<参考>
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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