外国人も惜しむ築地閉場、「TSUKIJI」ブランド捨てインバウンド人気どうなる?/4つの視点から分析する豊洲新市場移転の影響とは

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築地市場が2018年10月6日をもって最終営業日を迎えました。世界最大級の魚市場を有し、「日本の台所」と呼ばれてきた築地市場ですが、83年の歴史に幕を閉じ、かねてより計画されていた江東区の豊洲に移転。10月11日より魚市場としての営業を再開します。

都は解体工事のため、10月18日には旧築地市場を閉鎖する閉鎖する方針を示しており、移転のための引っ越しは6日から三連休を経て11日までに本格化。18日までに完全移行の見通しとなっています。

近年ではインバウンドでの需要が高く、外国人観光客の訪問者数もうなぎのぼりとなっており、一日の入場者数は4万を超えるほどの一大観光スポットとも化していた築地市場ですが、今回の豊洲への移転に伴い、インバウンドにどのような影響を及ぼすのでしょうか。考察していきましょう。

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83年の歴史に幕 旧・築地市場は6日終了、新・豊洲市場は11日から営業開始

世界最大級の水産物取扱量を誇る旧・築地市場が10月6日で83年の歴史に幕を閉じました。最終日には多くの観光客が足をはこびましたが、正午に営業が終了。午後からは市場内の仲卸業者らの引っ越し作業が始まりました。

7日早朝には、築地市場の運搬車「ターレ」の自走引っ越しが始まり、SNSなどで注目を集めています。

Twitterに投稿された、築地市場の運搬車「ターレ」の引っ越しの様子
▲築地市場の運搬車「ターレ」の引っ越しの様子:Twitterより訪日ラボ編集部スクリーンショット

Twitter:毎日新聞映像グループの投稿(https://twitter.com/eizo_desk/status/1048754839134515201)

冷凍マグロ卸売場の見学会は一足早く9月15日に終了。最終日には、多くの訪日外国人が集まり、競り開始の約4時間前、午前2時には120人の定員が埋まったといいます。

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東京都は9月14日午前、10月11日に豊洲市場へ移転する築地市場での冷凍マグロ卸売場の見学会を報道陣に公開しました。この見学会は市場移転に伴い、15日で終了することが決まりました。築地市場は、マグロの競りを間近で見られることから、外国人観光客に人気のスポットとなっています。見学終了間際ということもあり、この日も多くの外国人が集まりました。競り開始の約4時間前、午前2時には120人の定員が埋まったといいます。まずは知ってもらう!旅マエに有効なインバウンド集客を資料で詳しくみてみる「インバウン...

なぜ築地から豊洲への移転が必要だったのか?

さて、それでは国内外から愛された旧・築地市場は何故営業終了し、また豊洲新市場への移転が必要だったのでしょうか。

実のところ、開場から75年以上が経過している築地市場は建物や施設の老朽化や過密化が問題になってきていました。また、物流面や駐車場の不足、震災の影響といった問題もあり、1970年代以降移転が検討されてきました。

現在地での再整備も検討されたのですが、長期にわたる工事、整備費の増大、拡張スペースの不足、営業活動への影響などから断念。現在地での再整備から移転に方向転換し、2001年に江東区豊洲の東京ガス跡地への移転が決定しました。当初の予定は2016年11月と予定され、市場設備も完成していたのですが、土壌汚染対策に不備があるとして延期されました。

その後都は追加の土壌汚染対策を行い、2018年7月31日には東京都知事小池百合子氏が「安全宣言」を出し、豊洲市場の安全性が科学的に確認されたとしました。そして当初の予定から送れること2年、いよいよ10月11日、豊洲市場が開場するはこびとなりました。

インバウンドへの影響は?

近年では訪日外国人からの人気も急上昇していた築地市場なだけあり、今回の築地から豊洲への移転はインバウンドへ大きな影響を与えることが考えられます。4つの視点から考察してみましょう。

インバウンドへの影響の考察 その①:「TSUKIJI」ブランドの消滅

ことし5月にイングランド出身の元サッカー選手デビッド・ベッカム氏が築地市場を訪れたなど、著名人の訪問が絶えなかった築地市場。築地から豊洲の移転にあたっては、シャネル日本代表のリシャール・コラス氏が日本で行われた講演会で「かつてパリは食の殿堂レアール市場を失い、ランジス市場に移転という間違いをおかした。築地をそうしてはいけない」と語りました。

これまでの長い歴史によって築かれた「TSUKIJI」ブランドを手放すことは、東京の観光政策的にも大きな痛手となることでしょう。また、知名度やブランディングだけでなく、WEBサイトやSNSが旧・築地市場を紹介していたり、訪日外国人がそれらを見て移転を知らず旧市場を訪れたりするなど、現場での混乱も免れないものと考えられます。

インバウンドへの影響の考察 その②:マグロ競りのライブ感消滅

築地市場といえば、、”Tuna Auction”として訪日外国人に大人気であった「マグロの競り」見学ですが、豊洲新市場では、その様相が変わる模様です。

築地市場でのマグロの競り見学は、威勢の良い声でくり広げられる取引を間近で体感できることが魅力です。しかし見学用の場所が用意されているわけではなく、事故やトラブルが起きることもありました。見学者と運搬車の接触事故や、見学者が商品である冷凍マグロに触れてしまうなどといったことです。

一方、豊洲市場ではそのような事故やトラブルはなくなりそうです。1階には競り場の床面より一段高くなった見学用のデッキがつくられ、2階には見学用の専用通路がつくられました。しかし、いずれもガラス越しに見る形になり、事故やトラブルは減ると思われますが、築地市場に比べ「近さ」や「臨場感」は劣ることになり、観光資源としての魅力は大なり小なり薄れることでしょう。

インバウンドへの影響の考察 その③:アクセスの悪化

豊洲新市場への移転はアクセスの悪化にもつながっています。新市場の最寄り駅はゆりかもめの市場前駅です。

例えば渋谷からのアクセスの場合、旧・築地市場の場合、東京メトロ銀座線を使い、およそ30分弱、200円で移動できたところを、豊洲新市場の場合、埼京線直通りんかい線とゆりかもめを乗り継ぎ、35分程度、680円で移動することになります。

ほか、浅草寺からの移動を想定すると、旧・築地市場の場合30分程度で移動できたものが、豊洲新市場の場合1時間程度かかるなど、他の観光スポットからのアクセスはかなり悪化したと言わざるを得ない状況です。

インバウンドへの影響の考察 その④:東京五輪選手村とのシナジー

豊洲新市場への移転で地の利があるとすれば、東京オリンピックの選手村予定地との近さでしょう。

前掲の地図と見比べると明らかですが、運河を挟んで両隣の島に位置しており、徒歩でも30分程度、タクシーを使えば5分たらずで移動できる距離であり、東京オリンピックの選手、関係者、観光客らによる急激な需要増加が期待できそうです。

まとめ

83年の歴史をもつ築地市場が、2018年10月6日をもって最終営業日を迎え、11日には豊洲新市場での営業開始が予定されています。今回、豊洲新市場への移転におけるインバウンドへの影響を4つの視点から考察してみましたが、現状の見通しではネガティブな印象が拭えない状況です。

しかしながら、4つ目に提示した東京五輪選手村との隣接性は大きな契機になりうると思われます。特に、1つめに提示した「TSUKIJI」ブランド、つまり認知度の問題は、スター選手の訪問など、関連したプロモーションによって一気に解決しうるためです。

旧・築地市場観光資源として優秀であり、台所としてだけでなく、観光スポットとしても東京を支えてきました。豊洲新市場が、食のインフラ・観光のインフラとしてどのような活躍をしていくのか注目が集まります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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