近年では「オーバーツーリズム」「観光公害」という言葉がよく聞かれるようになっています。
今年9月に行われた「ツーリズムEXPOジャパン2018」でも、国連世界観光機関(UNWTO)事務局長、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)理事長の講演や、世界12か国の観光大臣による会合など、世界の観光リーダーがこの問題に言及しています。
今回は「開発のための持続可能な観光の国際年」の成果を中心に、オーバーツーリズムに陥らない理想の状態について紹介しながら、オーバーツーリズムに取り組むメリットを考察します。
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オーバーツーリズムと観光公害
「観光公害」は観光によって起こるさまざまな弊害のことで、「オーバーツーリズム」は特に観光客の増加によってさまざまな弊害が起こる状態を指します。観光公害の多くは観光客の増加によるものなので、二つの言葉は同じような意味で使われることもあります。
オーバーツーリズムは現代において、世界中で問題になっています。
「観光公害」とは何か?京都の夜桜ライトアップ中止に見る実際の観光公害事例
近年日本を訪れる訪日外国人の数は急増していますが、その中でも、京都を訪れる訪日外国人の伸びは他県に比べても圧倒的です。平成27年度の京都観光総合調査によると、平成27年1月〜12月に京都を訪れた外国人の年間外国人宿泊客数は初めて300万人の大台を突破し、過去最高となる316万人を記録 しました。これは 対前年比+約73%(+133万人)の増加 となり、訪日外国人観光客1974万人のうち、約6.2人に1人が京都に宿泊していた ことになります。こうした状況は観光収入という面ではありがたいのは...
観光地も観光客を選ぶ時代に!?外国人観光客向けに「観光税」を課すアムステルダムの取り組みが面白い!世界中で海外旅行ブームの中
訪日ラボの記事でもご紹介している通り、外国人観光客が増加傾向にあるのは日本のインバウンド市場のみならず、他の多くの国でも然り。UNWTOの資料によると、2017年の1月から6月の間に海外旅行をした人の数は、全部で 5億9,800万人 となっており、今年初め6カ月でも 3,600万人の増加 を記録しています。世界中で海外旅行のアクティビティになりつつなる中、外国人観光客が増え過ぎた観光地では観光地の景観整備を目的に新たな取り組みをしています。インバウンド受け入れ環境整備についてより詳しい資料...
他にもフィリピンのボラカイ島では、観光客の急増により大量のごみや汚水の問題が深刻化しました。フィリピン政府では今年4月に観光客の受け入れを禁止。国ではインフラなどの整備や、他の島への需要分散の推進などを行ってきました。今年10月から段階的に、新しい環境基準を満たした観光事業者の事業再開が認められています。
▲ボラカイ島では美しいビーチを取り戻す取り組みが行われている
タイのマヤ湾は、人気俳優レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」の舞台として有名になりました。人気を集める一方、サンゴ礁が破壊されたり、海の生態系が見られなくなったりと自然環境の破壊が進みました。
今年4月、タイ国立公園・野生動物局は今年6月から4か月間にわたって観光客の入域を禁止する決定をしました。今後も毎年、定期的に入域禁止期間を設けていく方針です。
オーバーツーリズムに陥らない理想の状態とは? 「開発のための持続可能な観光の国際年」の取り組み
オーバーツーリズム、観光公害と対になる概念として、「持続可能な観光(サステイナブルツーリズム)」について考えてみたいと思います。
国連では、国連をはじめ全世界の団体・個人に、特定の事項に対して重点的に問題解決を呼びかける「国際年」を制定していますが、2017年は「開発のための持続可能な観光の国際年」と定められました。
この背景には、2015年の国連「持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs、Sustainable Development Goals)の存在もあります。さらに「開発のための持続可能な観光の国際年」においては、観光が貢献できる領域として次の5つをあげています。
- 包括的・持続的な経済発展
- 社会的な関わり、雇用拡大や貧困の撲滅
- 資源の有効活用、環境保護や気候変動
- 文化的価値、多様性、遺産
- 相互理解、平和、安全
「開発のための持続可能な観光の国際年」では年間を通じて、持続可能な観光の推進に向けたさまざまな取り組みが行われました。国連関係では、例えば次のような取り組みです。
- 「責任ある旅行者になるためのヒント」の発信
- ボランティア・ツーリズム、エコツーリズムなどに関するトークセッション(国連大学サステイナビリティ高等研究所)
- 「持続可能な観光国際年」をテーマにした講演会(国連世界観光機関駐日事務所東京事務所開設記念)
- 持続可能な観光と企業の健全な発展などをテーマにした特別講演会(国連世界観光機関駐日事務所、東洋大学との共催)
- ハローキティを持続可能な観光国際年の特別大使に任命、動画でPR
この国際年にあわせ、観光庁でも取り組みを行いました。2017年10月には岡山県岡山市と三重県鳥羽市で「持続可能な観光国際年」記念国際観光シンポジウムを開催。
岡山市のシンポジウムのテーマは「遺産、自然、そして人が関わりあう観光モデルに向けて」。そして鳥羽市では「観光業の持続可能な発展における女性の役割」。鳥羽市周辺では古くから海女など女性が活躍しています。ここでは観光業界で女性が中心的な役割を果たしている事例などが発表されました。
「持続可能な観光」の議論が深まる
この続きから読める内容
- まとめ:オーバーツーリズムに陥らない、持続可能な観光に取り組むメリット
- 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
- 【2/19開催】”効率重視"のAI時代だから考えたい、本質的なVOC活用法:大手レストランが実践する口コミ活用術を紹介
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