【現地レポート】フランス・パリの暴動「黄色いベスト運動(gilets jaunes)」で数千億円レベルの経済損失…風評被害で観光客と経済への打撃が顕著に

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フランスで2018年11月から実施されている「黄色いベスト運動」。デモなどの長期化を受け、観光や小売りへの打撃の拡大が顕著となっています。2018年に観光客数が過去最高の9,000万人を突破した、フランスの人気観光地・パリの風評被害の現状や経済と観光客への影響を、フランス・パリからの現地レポートとして報告します。今後日本で災害等が発生した場合の風評被害に対するインバウンド対策についても、改めて考えていきましょう。


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黄色いベスト運動の風評被害による経済打撃/観光施設の閉鎖も

▲閑散としている人気観光地・凱旋門(イメージ)

2018年11月17日から毎週土曜日に、マクロン政権への抗議として「黄色いベスト運動」が、パリをはじめフランス全土で実施されています。ピーク時には30万人もの人が参加し、デモ行進だけでなく暴動に発展するケースも度々発生しており、観光業界や経済への打撃も顕著です。

ハイブランドの店舗が揃い凱旋門で有名なシャンゼリゼ通りをはじめ、エッフェル塔付近やバスティーユ広場など、パリ中心部の人気観光地においてもデモが発生しています。一部報道によると、12月と1月は宿泊者が20%減となったシャンゼリゼ通りのホテルや、利用者が50%も減ったと語るタクシードライバーなども取り上げられました。年末年始のパリでは観光客数が4.2%減、レストランやショッピングモールの経済損失は2500億円にも上っています。2019年1〜3月のパリへのフライトの予約も6.8%減となりました。

12月8日土曜日のパリでは、凱旋門・エッフェル塔・ルーヴル美術館など、24箇所の美術館やモニュメントが閉鎖、9つの朝市がキャンセル、5箇所の主要デパートとシャンゼリゼ通りを中心とする複数の高級ブティックが閉店となり、インバウンド客へ大きな影響を及ぼしました。

観光客にとってパリ"全体"が危険地帯?

▲インバウンド大国フランス・パリの街並み

連日SNSやニュース等で「黄色いベスト運動」の暴動の様子が見受けられます。しかし実際は、パリへの旅行は控えたほうが良いというほど危険ではないのが現状です。事前にデモが実施予定の場所やルート・交通機関の閉鎖状況を確認し、特定の場所を避ければ、パリ観光は問題なく可能になります。

もちろん先に述べたように、シャンゼリゼ通りなど、一部の人気観光スポットに行けないといった行動の制限はありますが、安全面から考えると、パリ市内全体を危険地帯と認識する必要は全くありません。

日本の外務省が提供する「たびレジ」というサービスに登録しておけば、パリ滞在中、毎週金曜日にメールで翌日のデモの詳細や注意喚起情報を、在仏日本大使館から受信できます。在仏アメリカ大使館もホームページ上で、英語でデモや交通機関の最新状況が英語で確認できる現地メディアの情報を紹介していました。観光客側も正しい手段で情報収集をすることで、現地の最新情報を的確に入手することが可能です。

風評被害を最小限に!インバウンド客への正しい情報発信を

▲SNSで広がる風評被害

各国の在外公館がデモに伴うパリの治安の最新情報を発信する一方で、観光客の目につきやすい情報は、やはりSNSやニュースなどのメディア経由が多い傾向にあります。特にTwitterやニュース番組で繰り返し報道される、パリの複数箇所で発生した暴動の様子だけを目にすると、パリ全体が危険と勘違いする可能性は非常に大きいでしょう。実際にパリ行きのフライトの予約数の減少や小売業への経済損失をふまえると、パリの風評被害は顕著となっているのが事実です。

メディアはインバウンド対策として自国の魅力をPRするのに有効な手段です。一方でSNSの普及により、フェイクニュースを始め、誤解を招き風評被害を助長させる情報の発信元にもなりえることが、フランス・パリでの「黄色いベスト運動」から再認識される結果となりました。

まとめ:災害発生時こそメディアを有効活用し、インバウンド誘客のピンチをチャンスに変えよう

フランス・パリでは「黄色いベスト運動」の一部メディアやSNSでの偏った情報発信により、風評被害が顕著となっていることが明らかになりました。風評被害の長期化を防ぐ上で、官民一体となりいち早く正しい情報発信を開始・継続することが有効な対策の1つと言えます。具体的な例としては、海外のインフルエンサーを招聘し安全性をPRしてもらうことも効果的と言えるでしょう。

現在フランス観光開発機構やパリ市観光局は、SNSや公式ウェブサイト上で、魅力的な観光スポット等の情報発信を継続しています。「黄色いベスト運動」の長期化を受け、今後は具体的な対策や情報発信が開始されることも考えられるでしょう。インバウンド大国フランスが、今回の風評被害をどのように乗り越えていくのか、今後も目が離せません。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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