2018年、フランスからの訪日外客数は初めて30万人を突破し、前年比13.5%の伸び率を記録しました。2020年に東京オリンピックを控えていることもあり、今後も訪日フランス人観光客は増えていくと考えられます。本記事では、フランスにおける観光メディアの現状や選定ポイントなど、訪日フランス人の集客に役立つ情報を解説します。
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訪日フランス人市場の特徴
訪日フランス人市場は、ここ5年間安定して成長し続けています。2018年には前年比+13.5%である30.4万人のフランス人が日本を訪れており、欧州では英国の33.4万人に次いで2番目に多いです。ヨーロッパからのインバウンド市場において極めて重要度の高い市場であるといえるでしょう。まずは訪日フランス人の市場傾向を理解しておきましょう。
1. 訪日フランス人の8割が「日本食」に期待
観光庁が昨年3月に発表した、訪日外国人消費動向調査の「2017年年間値の推計」※確報値「集計結果」によると、フランス人が訪日前に期待していたことの1位は「日本食を食べること(81.9%)」、2位は「自然・景勝地観光(44.9%)」、3位は「日本の酒を飲むこと(日本酒・焼酎等)」となっています。このデータからは、フランス人の日本観光において最もニーズが大きいのが「日本食」であることがわかります。
2. 全国を周遊する傾向
訪日外国人消費動向調査の「2017年年間値の推計」※確報値「集計結果」には「第12表 国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率」のデータも含まれます。それによるとフランス人の訪問率の高い地域は東京が86.7%でトップとなっていますが、続く4位までの地域の訪問率がすべて4割以上という高い数値となっています。


※グラフは[都道府県別訪問率]:観光庁訪日外国人消費動向調査の「2017年年間値の推計」※確報値「集計結果」より作成
フランスの観光メディアは集客に効果ある?選ぶ際のポイントは?
訪日外国人向けメディアをインバウンド集客に利用する場合、一般的なメディアあるいは観光に特化したメディア(観光メディア)に純広告や記事広告、タイアップ記事、あるいはバナー広告などを出す方法が考えられます。こうした広告を通じて対象の国で認知度を高めて、インバウンド市場での集客につなげることが可能です。
集客の効果を高めるために重要な点は「観光メディアの選定」です。メディアを選ぶ際に重視すべき3つの指標は「メディアの認知度・ジャンル・PV数」です。順に説明します。
1.メディアの認知度
フランスの観光メディアを選ぶ上で最大のポイントは、フランスでのメディアの認知度です。フランスの観光メディアといっても、規模や知名度はさまざまです。認知度があるかどうかは最も重要な指標となります。フランス人が旅行のために利用する情報源には、ガイドブックなどの紙媒体や、個人のブログや口コミの情報があります。各領域で知名度の高いものを利用すると良いでしょう。
2.メディアのジャンル
フランスの観光メディアに広告を出す場合に次に重要なのは、広告を掲載するメディアの扱っている内容が自社の商品ジャンルとマッチしているかどうかです。たとえば、日本食レストランをプロモーションしたい場合に、ファッションや美容といった分野の情報発信に強いメディアに広告を出したとしても、ターゲット層に訴求できないでしょう。メディアの扱うコンテンツのジャンルを正確に理解することが必要です。
3.PV数
フランスの観光メディアを選ぶ際、3つ目の指標となるのが「メディアのPV」です。単純にPVが多ければ多いほどリーチする対象が増えると言えます。メディアのPVを絶対的な数字はもちろん、相対的に多いのか少ないのかといった観点からも把握することが施策の成否を分けるでしょう。
フランスの観光メディア3選
日本旅行に関わる、フランスの主な観光メディアには以下の3つがあります。
1. ZOOM JAPON

「ZOOM JAPON」は2010年6月に創刊されたフランスの観光メディアで、月刊誌の発行とウェブサイトの更新をしています。フランス語圏において、日本の文化コンテンツを総合的に発信する唯一の無料月刊誌です。現在、フランス国内約850ヶ所の配布拠点を持ち、通常7万部、最大15万部を発行し、影響力のあるメディアとなっています。
「ZOOM JAPON」の特徴は、ヨーロッパの著名な新聞や雑誌にて活躍中の欧米人ジャーナリストが取材・執筆する質の高い記事です。人・旅・食・映画・音楽・文学・建築・時事問題などの多方面の分野で、日本の最新情報を発信し読者のニーズに応えています。
2. LOOK LOOK!! JAPAN

「LOOK LOOK!! JAPAN」は、フランス語をはじめ、日・英・中(繁体・簡体)など16の言語に対応したウェブサイトです。日本・台湾・香港を観光する旅行者に向けて、各地域の情報を多言語で提供しています。
iOS/Android OSのスマホアプリもリリースしており、スマホユーザーの需要も取り込んでいます。フランスではスマホユーザー全体の約68%がAndroid、約31%がiOSを利用しており、「LOOK LOOK!! JAPAN」のアプリはOSに関わらず幅広くスマホユーザーをカバーできていると言えるでしょう。
「LOOK LOOK!! JAPAN」の特徴は、日本国内のレストランやWi-Fiスポット、イベントなど多彩なコンテンツを紹介している点です。また、ユーザー登録をすることでサイト内に用意された翻訳機能を利用でき、ユーザーにとってメリットの大きなサイトとなっています。
3. 日本政府観光局(JNTO)

日本政府観光局(JNTO)公式サイトは、日本のインバウンド担当者にとっても馴染みあるメディアです。外国語版のサイトでは英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、そしてフランス語の5つの言語で情報を提供しています。日本全国のオススメ観光スポットや地域や日本文化について、フランスでも人気で普及率の高いSNSであるFacebookと連動しながら日々情報を発信しています。
一方でガイドブックも根強い人気
上述の、訪日外国人消費動向調査「2017年年間値の推計」※確報値 の集計結果によると「旅行出発前の情報源」として「旅行ガイドブック(28.7%)」の回答が「日本在住の親族・知人(31.8%)」「自国の親族・知人(30.4%)」に続いて3位となっています。旅行ガイドブックは、インターネット上の口コミよりも高い割合で参考にされていることがわかります。全国籍・地域の同質問における「旅行ガイドブック」の回答の平均は14.6%であり、フランス人が「旅行ガイドブック」を利用する割合は相対的に高いと言えます。
まとめ:フランスの観光メディアを利用して効果的なマーケティングを
フランス人のインバウンド市場動向や、フランスの観光メディアについて紹介しました。フランスの観光メディアをプロモーションに活用する際は、プロモーションしたい商品と広告出稿先のメディアのイメージが合致しているかや、フランスでどの程度の知名度なのかを理解することが大切です。自社商品に合った観光メディアを利用すれば、より効果的なインバウンドプロモーションが実現するでしょう。
<参照>
- 観光庁:訪日外国人の消費動向.pdf
-
JNTO
- JNTO:訪日旅行データハンドブック.pdf
- JNTO:訪日外客数(2018 年 12 月および年間推計値).pdf
- JNTO外国語版ページ
- 訪日コム:訪日外国人向けメディア(英語)
- ZOOM JAPON
-
ZOOM JAPON:ZOOM JAPONとは
- LOOK LOOK!! JAPAN
- 訪日コム:LOOK LOOK!! JAPAN
-
世界40カ国、主要OS・機種シェア状況 【2018年9月】 ~インバウンドWebプロモーションにシェア状況データを活用する~
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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