ビザの緩和や航空便の就航、そして経済成長により、訪日旅行に来る中国人が増えています。2018年の訪日外国人3,000万人のうち、国・地域別で最も多かったのは中国人の838万人でした。
中国から来るインバウンド旅行客の誘客や集客のために、オンラインでできるアプローチの一つに「検索エンジン」を通じた施策があります。
中国で主に使用されている検索エンジン、百度(Baidu/バイドゥ)は、中国の3大IT企業「BAT」の「B」にあたる企業です。2001年から中国国内にサービスを提供し、2005年にアメリカのナスダック株式市場に上場しています。
本編では、BATの「A」「T」であるアリババ、テンセントと比べ、比較的以前から日本で知られていた百度について改めて紹介していきます。
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百度(バイドゥ/Baidu)は中国1位・世界2位の検索エンジン
「百度(バイドゥ/Baidu)」とは、中国の百度公司が提供している検索エンジンの名称です。
中国国内における百度のデスクトップでの検索におけるシェアは42.54%となっており、他の検索エンジンよりも圧倒的に高い状況です。
またそのアクセス回数は、全世界で見ても圧倒的に多いです。百度によれば、ユーザー数は6億で、1日あたり60億回の検索が行われているといいます。世界中で利用されているGoogle、Facebook、YouTubeに続いて、百度は4位にランクインしています。フリー百科事典のWeikipediaよりも多くアクセスされています。百度のモバイル版のアプリである手机百度( Baidu Mobile )は、累計ダウンロード数が8億超で、これは中国のインターネットユーザーの数とほとんど同じです。
中国ではインターネットユーザーのほとんどがモバイルユーザーです。インターネットユーザーの大多数が百度を利用していると考えられます。
中国では政府の方針により、中国国内のインターネットのアクセスに制限があります。アクセスを制限されているのはYahoo!やGoogleといった検索エンジンはじめ、世界でシェアをとっているインターネットサービスです。こうしたサービスの多くは基本的に中国国内では使用することができません。
そのため、中国で検索エンジンを利用したプロモーションを行う際には、百度(Baidu/バイドゥ)をうまく活用する必要があり、これはインバウンド集客を仕掛ける場合も同様です。
中国のインターネット検閲やSNSの利用状況についてはこちらの記事をご覧ください。
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こちらの記事では、中国をはじめとした世界各国の検索エンジンシェアをまとめています。
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百度の特徴5点:Googleとの相違点
世界シェア1位のGoogleと比較すると、以下のような違いがあります。
1. 検索結果は別タブで開く
検索結果の表示はGoogleととても似ています。
ただし、個別の結果をクリックすると、そのウェブページは別タブで開きます。(Googleは検索結果の画面が個別の検索結果に遷移します。)
2. 地図サービス、カテゴリ別検索結果も提供、アクセスできる系列サービスが多い
百度はGoogleと同じく、地図サービスを提供しています。Googleと同じく、検索結果から地図に飛ぶことができます。
また、ニュース、動画、画像、Q&Aなどのカテゴリで検索を行うことができる点も、Googleと類似しています。
ただし、以下のように百度からアクセスできる系列のサービスは多岐にわたり、Google以上に細分化されたサービスを提供しています。
3. MP3検索が有名だった
百度(Baidu)のユーザーに人気だったのが、MP3検索です。これはMP3、WMA、rmファイルなどの音声・動画ファイルを検索できるサービスで、主に中国の音楽の検索に使用されていました。こうしたサービスに対し、中国の音楽会社が2005年、著作権を侵害されたとして百度を提訴しました。その他にも大手レコード会社から同様の訴えがありましたが、2006年11月に百度の勝訴となっています。
ただしこうした著作権の問題に対し、百度は2007年からEMIなど音楽業界との提携を進めており、新しいビジネスモデルのプラットフォーム作りに着手しています。
4. 話題の検索ワードが表示される
ユーザーが検索を行うと、検索結果の脇にリアルタイムで話題となっている検索キーワードが表示されます。
5. UGC(消費者生成コンテンツ)の作成を促す様々なサービス展開
百度は検索エンジンですが、すでにインターネット上に存在するコンテンツをインデックスし検索結果として表示するだけではなく、ユーザーがオリジナルのコンテンツを生成するようなサービスをいくつも展開しています。
BBSのBaidu Tieba(百度貼吧/バイドゥティエバ)やQ&Aの百度知道(バイドゥジーダオ)ではユーザーによる書き込みによりサービスを成り立たせ、これらのコンテンツもインデックスし、検索エンジンでの検索結果として表示させるようにしています。
百度で利用できる広告
中国でシェアナンバーワンの検索エンジンである「百度」には広告出稿が可能です。
自社ホームページへの広告のクリックは商品購入や集客、売り上げアップに繋がるためとても大切です。それぞれの広告の違いを知り、自社に合った広告で百度を効果的に使いましょう。
1. リスティング広告
百度リスティング広告とは、検索結果画面に企業広告などを掲載できるサービスです。一般ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示します。
百度のリスティング広告は、中国における検索連動型広告市場の80%ものシェアを占めていると言われています。
リスティング広告は入札式で、購入するキーワードによって値段が変わり、人気の高いキーワードは単価が高くなります。
2. アドネットワーク広告
百度アドネットワーク広告とは、百度がネットワークしている専門サイトにバナーやテキスト広告を掲載するというものです。
昨年から百度アドネットワーク広告はすべて「百意」(BaiYi)に統一されました。百意を利用してディスプレイ広告やリマーケティング広告を配信することができます。
百意ではプランの設定とターゲティングができます。日ごとのクリックを制限したり、配信時間帯を設定したりすることもできるため、効果的に活用できます。
百度のSEOマーケティングで知っておくべきポイント2つ
前項を参考に広告を選んだら、次は百度を実際にマーケティングで使っていきます。その時に気をつけるべき2つのポイントを紹介します。
1. 情報鮮度の高さを重視する
Googleのコンテンツボリュームや質を重視する傾向の一方で、百度はコンテンツ鮮度に重きを置く傾向があります。中国のインターネット空間においてSEOマーケティングを実施する場合は、Google以上に情報の鮮度には気をつける必要があります。
2. サイトマップの送信
SEOマーケティングを行う際にはコンテンツを作成しますが、そのコンテンツが百度の検索エンジンのデータベースにインデックスされなければなりません。
インデックスのためには、サイトマップと呼ばれるウェブサイトの構造を示したファイルを作成し、百度に送信する必要があります。
また、百度が検索順位を修正するために必要な評価作業を行う頻度は、Googleの評価作業に比べ低くなっています。サイトの変更を行った際にはこまめにサイトマップの再送信が大切です。
百度を活用し中国での認知度アップに
中国のインターネット空間は、政府による規制が行われているため、日本や世界の主流とは大きく異なっています。
こうした事情を理解し、中国最大手の検索エンジンである百度を活用してマーケティングを行うことが必要で、それは訪日中国人をターゲットとした場合も同じです。
インバウンド市場で訪日中国人需要を高めたい場合には、まずは百度を意識したコンテンツ作りや、広告出稿を始めてみるのも有効な手となるはずです。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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