日本はいつ中国に追いつけるのか?キャッシュレス後進国、脱出の可能性をさぐる

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今世界では、クレジットカード決済や電子マネー決済などのキャッシュレス決済の普及が進んでいます。QRコードでの決済が広がっている中国や、クレジットカード決済が普及する韓国や欧米諸国など、多くの国は2016年時点でキャッシュレス決済比率が40%を超えています。

一方、日本は2106年の時点で19.9%と他国に比べて大きく遅れをとっている状況です。訪日外国人観光客が増加の一途を辿る日本において、キャッシュレス決済に慣れたインバウンド客に対して多様な決済方法を整備することは喫緊の課題となっています。

この記事では、中国をはじめとする各国のキャッシュレス決済の普及状況やキャッシュレス決済インバウンド観光にもたらす恩恵について考察します。



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キャッシュレス決済が普及する中国の現状

中国は2016年時点でキャッシュレス決済比率が65.8%と、韓国イギリスに次いで世界3位の普及率を誇っています。昨今QRコードによるモバイル決済が急速に浸透していることが後押しになっており、中国の伸び率には目を見張るものがあります。

スーパーマーケットはQRコード決済がスタンダード

中国ではQRコード決済がスーパーマーケットや飲食店などあらゆる場所で浸透しており、今や日常生活に欠かせない決済手段となっています。

先進的な取り組みが実施されているスーパーマーケットの場合、一つ一つの商品にQRコードが貼られています。QRコードを読み込めば、産地情報などが表示される仕組みになっているため、決済だけでなく商品情報を伝えるツールの役割も果たしています。

また、飲食店においてもQRコードを有効活用した例が見られます。例えば、利用客がテーブルに貼られたQRコードを自分のスマートフォンで読み取ると、レストランメニューが表示され、注文・決済もそのままスマートフォン内で完結するという画期的な仕組みを取り入れているレストランもあります。

中国でキャッシュレス化が急速に進んだ理由

中国で一気にキャッシュレス化が進んだ大きな理由は、モバイル決済の便利さと導入の手軽さです。

チャットアプリやタオバオと連携した電子決済アプリAlipayなどを使えば、利用者はスマートフォン内での素早いオンライン購入・決済が可能です。

支払いだけでなく、友人や家族などユーザー同士の送金も簡単に行うことができます。こうした機能も普及を後押ししています。

また、導入側は何かを販売する時やサービスを提供する時に、QRコードの掲示だけで購入者の入金を即時受け取ることができます。路上パフォーマーですらQRコードで投げ銭をもらうほど、誰でも手軽に導入できるのが魅力です。 

2027年までにキャッシュレス決済比率約4割を目標とする日本

諸外国に比べキャッシュレス決済比率が2割と普及が遅れる日本の現状を受け、2017年に閣議決定された「未来投資戦略 2017」では、2027年までにキャッシュレス決済比率を約4割とすることを目標に掲げています。

世界のキャッシュレス事情

▲[ 各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年、2016年) ]:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より引用
▲[ 各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年、2016年) ]:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より引用

一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ2019」によると、キャッシュレス決済比率が最も高いのが韓国で、2016年時点で96.4%と圧倒的な普及率を誇っています。

韓国の場合は、政府主導で早くからクレジットカード決済が推進されてきたため、現在のような高い比率が実現しています。その次に多いのがイギリスの68.6%、そして中国の65.8%と続いています。

その他、欧米圏でも概ね40%から50%程度の国が多く、これらの国に比べると19.9%の日本はキャッシュレス化の進展が遅いと言わざるを得ません。

キャッシュレス決済で得られるメリット

キャッシュレス決済は、利用者・導入者どちらにとっても様々なメリットがあります。

利用者は、クレジットカード決済モバイル決済を使えば簡単に支払いができるほか、お得なキャンペーンやポイント獲得など現金支払いにはない恩恵を受けることができます。また、支払いデータも後から確認できるのでお金の管理がしやすくなるというメリットがあります。

店舗など導入側にとっても、決済記録がデータとして残るため管理がしやすく、現金を扱わないため金銭管理に割く時間や人件費を削減できるというメリットがあります。さらに、データを活かして顧客の消費動向を分析することで、経営戦略に活かすことも可能になります。

デメリット・課題はありつつも普及を目指すべき

キャッシュレス決済はメリットばかりという訳ではなく、利用者側と導入側それぞれにデメリットや課題もあります。

まず利用者側としては、盗難・紛失による個人情報漏洩などセキュリティ面のリスクが懸念されます。

しかし、現在は2段階認証など本人確認の強化が一般的となっており、簡単に悪用されることはありません。また、カードもスマートフォンもすぐに利用停止措置が取れるため、素早く対応すれば最低限の被害に抑えることが可能です。もしこれが現金なら、盗難・紛失に遭えば取り返す術はありません。

一方、導入側は導入費用や決済手数料などのコスト面が課題と言えます。インターネットの通信環境整備や専用端末の購入など、導入するサービスによって初期費用がかかる場合があります。また、導入後は決済手数料も発生します。

しかし、初期費用と言っても比較的安価に済ますことができ、決済手数料についても手数料を考慮した値段設定に変えるなど、コスト面に対応する策は必ずあります。

キャッシュレス決済はデメリットがゼロという訳ではありませんが、享受できる恩恵の方が圧倒的に多く、インバウンド観光においても効果的な対策の一つであるため、普及を目指すべきと言えます。

キャッシュレス化によるインバウンド集客への効果

▲[訪日外国人旅行消費額]:観光庁平成28年年次報告書「訪日外国人の消費動向」より引用
▲[訪日外国人旅行消費額]:観光庁平成28年年次報告書「訪日外国人の消費動向」より引用

年々増加する訪日外国人観光客の数は2018年に3,000万人を超え、それに伴い旅行消費額も右肩上がりに推移しています。

買い物代・宿泊費・飲食費に多く費やされており、増加するインバウンド客を上手く取り込むことによって、小売店宿泊施設飲食店はさらなる売上増が期待できます。また、地方のインバウンド活性化においても有効な対策の一つとなるでしょう。

訪日外国人観光客の利便性の向上

キャッシュレス決済の便利さに慣れている訪日外国人観光客にとって、現金決済が主流の日本の環境は非常に不便に映ります。現金しか取り扱っていない小売店飲食店などは、取り込めるはずのインバウンド客を逃すなど機会損失している可能性があり、キャッシュレス決済の導入は喫緊の課題と言えます。

訪日外国人観光客の利便性が向上すれば、高評価の口コミの拡散による新規顧客獲得やリピーター獲得にも繋がります。さらに決済方法の拡充に合わせて、Wi-Fi整備や外国語対応などの受け入れ体制も整えることができれば、より一層インバウンド集客には効果的です。

今後ますます活発になる地方観光の後押しにも

中国などアジア圏の観光客は、訪日のリピート率が非常に高いという特徴があります。そして2回目、3回目とリピートするほど、よりディープな日本体験を求めて地方へと足を伸ばす傾向があります。

地方を訪れる訪日外国人観光客が増えている今、飲食店・ショッピングスポット・宿泊施設など多くの場所でクレジットカード決済モバイル決済などができるようになれば、より利用しやすく便利な印象を与え、インバウンド集客の後押しになる可能性があります。

キャッシュレス導入事例

実際に、地方においてキャッシュレス決済を導入して、一定の効果が見られた例も出てきています。

例えば、長野市にある「ホテル国際21」では、インバウンド客を取り込むためにQRコード決済を導入するとともに、24時間7ヵ国同時通訳のサービスなども利用できるように整備しました。

これにより、スムーズな決済とコミュニケーションが可能になり、利用客とホテルスタッフの双方にとってストレスのない環境が整ったと言います。このようなきめ細やかな対応が利用者の満足度向上やリピートへと繋がり、インバウンド集客に一定の効果をもたらしています。

さらに、キャッシュレス決済などのインバウンド対応に取り組む周辺の観光スポットと手を組み、長野市内の観光を楽しむプランも打ち出しています。これによりホテル単体のインバウンド集客に留まらず、地域一帯のインバウンド観光の活性化も図っています。

キャッシュレス決済は必要不可欠なインバウンド対策

キャッシュレス決済を導入することは、利用者・導入者どちらにとっても非常に大きなメリットとなります。インバウンド集客においては、訪日外国人観光客の利便性の向上を図ることによって、より多くの旅行客の取り込みやリピーターの獲得へと繋げることが可能になります。

さらに、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、ますます多くの外国人観光客が日本を訪れることが予想されるため、インバウンド客の取り込みが大きな商機となるでしょう。そのためには、キャッシュレス決済をはじめインバウンド対策に早々に取り組むことが求められます。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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