中国では、キャッシュレス化の進展によって決済におけるキャッシュレス比率が約60%まで普及しているといわれています。
日本の社会でも、「キャッシュレス決済」の比率を2025年に40%に高めるなどして、キャッシュレス化が推進されています。
こうした状況のなか、中国のキャッシュレス事情から、各種決済サービス利用における利点や欠点、インバウンドでのキャッシュレス決済導入の実態を紹介します。
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中国のキャッシュレス事情とは?
中国では急速なスマホ決済の普及により、キャッシュレス決済の普及率は60%を超えるといわれています。「キャッシュレス」は、クレジットカードや電子マネーを含む、現金以外の手法による決済を指し、スマートフォンを使った決済は「モバイル決済」を意味します。
近年、中国ではモバイル決済市場が急成長を遂げています。普及の背景や実態について解説します。
もともとは銀聯カードが中国人の財布代わりに
中国のカード決済では「銀聯カード」が普及しています。銀聯カードは、買い物のとき、決済と同時に自分の預金口座から即時に引き落としされる、デビットカードです。クレジットカードとは異なり、低所得者でも銀行口座を開設すれば、キャッシュカードとして発行されます。
また、利用手数料が不要といったメリットもあり、スマホ決済普及以前の中国人にとってはキャッシュレス決済のための重要な一手段でした。モバイル決済普及の背景
中国でモバイル決済が普及した背景には、インターネットユーザーのうちスマートフォンの利用比率が圧倒的に高いという特徴があります。中国のインターネットユーザーにおけるモバイル比率は99%を超えています。さらに、特定のモバイル決済サービスが普及した理由には「利便性」と「お得感」があります。
また、お正月には「紅包」を送ったり、何かのお礼に少額のお金を送ったりする中国人にとって、気軽に送金ができる点もモバイル決済の普及を後押ししたといわれています。
モバイル決済対応店舗によるキャッシュバックキャンペーンや、利用手数料の安さも普及を後押ししました。
ユーザーは支払いに対し決済手数料は無料で利用できモバイル決済を導入する加盟代理店についても、業種ごとに契約は違うものの平均で0.6%未満と低く抑えられています。
あらゆるシーンで使えるモバイル決済:Alipay・WeChat Pay
現在では、中国の小売り店舗やレストランはもちろん、道端の屋台まで、あらゆる場面でモバイル決済(QRコード決済)が利用できます。こうした決済サービスは日本で複数展開しているキャッシュレス決済サービスとは異なり、ほとんどがAlipayとWeChat Payです。
中国ではこの2つのサービスが様々な業界に浸透しています。小売店や飲食店、ECサイト、タクシー等の支払いシーンではもちろん、公共料金やレジャーシーンのチケット代などあらゆる場面で利用されています。
中国では2018年には現金を持ち歩かなくとも、不自由なく生活ができることが珍しくなくなっており、モバイル決済はインフラとして機能しているといえるでしょう。
モバイル決済の先、最新の顔認証決済が登場
たとえば、公共交通機関(市内の鉄道)の乗車に顔認証を用いてゲートを通過する試験や、横断歩道で信号無視の違反者の記録と警告に利用されています。
これらの様子は、中国のSNSでも驚きの声とともにシェアされており、注目を集めています。
モバイル決済により、詐欺も発生
こうしたモバイル決済が普及するにつれて、詐欺被害も発生しています。たとえば、通販サイトの利用時、店舗側から送られてきたQRコードを読み取った瞬間、モバイルウォレットから18万元(約288万円)が引き落とされる事態が発生しました。
その他、シェアサイクルを開錠しようとQRコードをスキャンした際、デポジットの名目で299元(約4,780円)が引き落とされた事件も発生しています。
数秒でお会計 中国の「顔パス認証」支払いがすごい!QRコードはもう古い!?
大規模なキャンペーンを伴うQR決済のシステム「PayPay」が全国的に導入され、昨年は日本もキャッシュレス社会の仲間入りを果たしました。こうした仕組みを数年前から作り上げ、社会に浸透させているのが中国です。ご存知「WeChatPay」や「Alipay」のようなQRコードを使った決済は、小さな店舗はもちろん、ECサイトや鉄道の特急券のネット予約時の支払い、そして路上パフォーマーの投げ銭にいたるまで、様々な場面で採用されてきました。こうした「キャッシュレス先進国」の中国では昨年から、世界最先端...
キャッシュレス比率 日本20%・中国60%・韓国96%/もはやキャッシュレス後進国の日本
2018年に入って、ここ日本でも、コンビニなどでのお支払いをスマートフォンで済ませる人の姿をよく見かけるようになりました。モバイルQRコード決済サービスも続々と誕生しています。そんな日本のキャッシュレス比率は、なんとまだ2割程度。ところが、訪日大国であるお隣の中国では、その比率は60%を超え、韓国は限りなく100%に近いと言われています。まだまだ現金のみでの支払いが必要なシーンが多い日本での旅行。海外からのお客様をお迎えし、いざお支払いの際に「現金がない!」…などというエピソードもよく聞き...
日本のキャッシュレス化はどのように進めるべきか
現在、日本でもキャッシュレス化が推進されるなか、日本のキャッシュレス導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。キャッシュレス大国である中国の事情をふまえながら、解説します。
キャッシュレス決済を導入するメリット
現在、多くの中国人観光客が日本に訪れています。それによって、店舗側は外国人対策として、キャッシュレス化が急務となっています。キャッシュレス化によって、外国人観光客に利便性をもたらすだけでなく、店舗側にもメリットがあります。キャッシュレス決済を導入すべき5つの理由は、次の通りです。
- 外国人の財布のひもが緩む
- 入出金記録が確実に記録される
- レジ閉めの負荷が軽くなる
- 盗難リスクが減る
- 売り上げを銀行に持ち込む手間がなくなる
もはや導入しない理由がない?!インバウンド対策にも必須、キャッシュレス決済5つのメリット
現金があれば、日本で買い物をしたり食事をするのに困ることはありません。それなのに、インバウンド対策としてキャッシュレス化(クレジットカード、ICカード、QRコードなどの電子決済)を推し進める声は絶えません。どうして手数料を払ってまでキャッシュレス決済を導入しなければならないのでしょうか。実は店頭のキャッシュレス化には、外国人観光客に利便性をもたらすだけでなく、お店にもうれしいメリットがあります。キャッシュレスを導入すべき5つの理由についてまとめます。目次1. 外国人の財布のひもが緩む2. ...
中国の主なモバイル決済
モバイル決済サービスのシェアでトップを占めるのは、アリババグループ(阿里巴巴集団)が運営する「支付宝(Alipay)」と、テンセント(騰訊)が運営する「微信支付(WeChat Pay)」です。両社は、中国のスマホ決済90%以上のシェアを誇ります。 モバイル決済額は、2012年に5.2兆元(83.2兆円)だったのに対し、17年には約40倍の202.9兆元(3,246.4兆円)に達しています。 両社のうち、中国国内シェアのトップは「支付宝(Alipay)」です。現在、日本でもその勢力は加速しており、「支付宝(Alipay)」の加盟店舗数は、30万人を突破しています。支付宝とその戦略的パートナーは現在、アジア各地で10億人以上のユーザーに対しサービスを提供しています。「海外滞在先にアリペイ対応店舗があれば、購入意欲が高まる」と回答した中国人観光客は90%以上に達したとの調査結果もあり、中国人のキャッシュレス決済に対応した環境整備はインバウンドでも欠かせないものになってきていると言えるでしょう。
日本のキャッシュレス決済で、中国のモバイル決済にもマルチに対応
日本でもキャッシュレス決済が普及しつつあるなか、代表するいくつかのキャッシュレス決済サービスは、中国のモバイル決済にもマルチに対応しています。-
Airペイ、AirペイQR
リクルートの「Airペイ」は、クレジットカードと電子マネー対応のモバイル決済サービスです。「Airペイ」は「AirペイQR」併用で、中国二大モバイル決済に対応しています。「AirペイQR」の併用で、中国二大モバイル決済の「支付宝(Alipay)」「微信支付(WeChat Pay)」に対応しています。 -
Origami Pay(オリガミペイ)
「Origami Pay」のQRコード決済は、オプションで、「支付宝(Alipay)」が利用できるほか、2019年6月1日より、(株)ロフトの運営する「LOFT」のOrigami導入店舗にて、「銀聯QR」での支払対応が開始となりました。 ※2020年6月サービス終了 -
Coiney(コイニー)
「Coiney(コイニー)」は、クレジットカードと電子マネー対応のモバイル決済サービスです。中国二大モバイル決済のうち、「微信支付(WeChat Pay)」に対応しています。
インバウンド向けキャッシュレス決済導入の3事例
近年、増加する訪日外国人のインバウンド対策として、キャッシュレス決済サービスを導入する店舗も少なくありません。ここでは、いくつかのキャッシュレス決済サービスの事例を紹介します。
1. ツルハドラッグ
ドラッグストア大手の(株)ツルハホールディングスは、2017年10月に「微信支付(WeChat Pay)」、同年11月に「支付宝(Alipay)」を全国のグループ店舗に導入しています。爆買いは減速したといわれるものの、未だにドラッグストアなどで化粧品などを買い求める訪日中国人は後を絶ちません。 観光庁の発表により、2019年1~3月期の訪日外国人の旅行消費額は1兆1,182億円にのぼり、うち中国は4,021億円(構成比36.0%)と最も大きい割合を占めています。彼女たちの買物代の約8割が「化粧品・香水」とされています。こうした状況から、インバウンド対策として、中国二大モバイル決済サービスは、必須であると言えるでしょう。2. ホテル日航熊本
ホテル日航熊本は、宿泊利用者数のうち、訪日外国人の割合が全体の約20%を占めています。主に、中国・香港からの利用客が半数以上です。 同宿泊施設では、中国人がお財布代わりに利用するデビットカード「銀聯カード」の決済対応はしていました。2018年4月に「支付宝(Alipay)」を導入したことで、宿泊利用者にとって利便性が高く、年々増加する訪日中国人の需要に対応することが可能です。3. 海鮮居酒屋はなの舞
チムニー(株)が運営する「海鮮居酒屋はなの舞」では、LINE Payとアリペイ2種類の決済が可能です。使用しているキャッシュレス決済サービスは、(株)リクルートライフスタイルが運営する「モバイル決済 for Airレジ」です。「モバイル決済 for Airレジ」のサービスでは、中国モバイル決済向けでは「支付宝(Alipay)」のみでしたが、2018年8月に「微信支付(WeChat Pay)」が可能となりました。同年9月には、「モバイル決済 for Airレジ」から「AirペイQR」へと名称変更されています。「海鮮居酒屋はなの舞」へ「モバイル決済 for Airレジ(現:AirペイQR)」の導入は、中国の旧正月である春節の繁忙時期に合わせて、訪日外国人の決済における利便性の向上や来店率を高めることが背景にあります。
キャッシュレス化で、訪日中国人の満足度向上へ
日本政府がキャッシュレス化の推進を掲げています。また、インバウンド市場が年々拡大しており、特にキャッシュレス決済が日常の一部である中国人市場は積極的にアプローチすべき対象です。キャッシュレス決済の利用者は日本人だけでなく、インバウンドも視野に入れたものであるべきでしょう。中国で普及されているモバイル決済のサービスを導入すれば、インバウンド中国市場の消費拡大やリピーター、宣伝効果なども期待できるでしょう。※資料請求には無料の会員登録が必要です
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