台湾で「スタジオジブリ・レイアウト展」世界をめぐる展示が終幕:海を越えて人気のジブリ作品

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

2019年1月19日から4月18日まで、台北・中正紀念堂にて、ジブリ作品の原画などが多数展示される「スタジオジブリ・レイアウト展(吉卜力動畫手稿展)」が開催されました。

この「スタジオジブリ・レイアウト展」は2008年の東京興行を皮切りに世界各地を巡行して開催されていたもので、2019年の台北興行を以て11年間に及ぶ世界興行が終了となります。海を越えた台湾で、ジブリ作品はどのように愛されているのでしょうか。

今回は台湾とジブリの関係について、インバウンド目線から紹介します。

関連記事
台湾、実はモデルじゃない「千と千尋」
「天気の子」聖地巡礼スポット!海外の反応は?
【中国】新たな「聖地」東京に誕生:人気No.1歌手MVのロケ地を紹介



【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

「千と千尋の神隠し」の雰囲気を持つ街「九份」

2001年に公開された「千と千尋の神隠し」は、台湾でも同年に「神隱少女」という名前で公開されています。

現在でもDVDやブルーレイディスクで発売されるなど人気を博しており、特に「千と千尋の神隠し」の作品に出てきた異世界に似た雰囲気を持つ台北郊外の街「九份」は、休日になると観光客で大賑わいの様子を見せています。

九份老街(九份旧市街)の様子
九份老街(九份旧市街)の様子

19世紀の雰囲気を今に伝える歴史のある街

台北駅から電車バスを乗り継いで東へ向かい、1時間半程で到着する九份は、19世紀末に付近の「金瓜石」にて金鉱の採掘が始まったことがきっかけで、鉱山街として栄華を極めました。

多くの建物が建てられ、鉱夫や関連企業の社員とその家族などで街は活気に溢れていましたが、金の採掘量は次第に低下し、1971年には遂に閉鉱となったため街は衰えてしまいました。

その後、1989年に映画「悲情城市」の舞台となったことで観光客が増加し、その後は街全体で観光産業に力を入れたことで、現在では多くの観光客で賑わう明るい街になっています。

「千と千尋」登場するあの食べ物は実在した

映画「千と千尋の神隠し」の序盤では、主人公・荻野千尋の父と母が異世界の食べ物を食べて豚になるシーンがありますが、そこに登場した食べ物に酷似した「肉圓(バーワン)」という食べ物が、九份にはあります。

元々この「肉圓」は、台湾中部彰化県の郷土料理で、豚肉、キノコ、フカヒレ等がゼラチン状の皮に包まれたものです。店によって具は様々で、香菜(パクチー)をつけて食べることもあります。九份にも肉圓の専門店がいくつか存在するため、映画の雰囲気そのままの街で作中の料理に舌鼓を打つ観光客が多く見られます。

2019年1月「スタジオジブリ・レイアウト展」台湾で開催

このように、九份の存在などがあり台湾では多くの人にジブリ作品が愛されています。そのことを踏まえて、世界興行をしていた「スタジオジブリ・レイアウト展」は、最後の興行先として台湾を選びました。

2019年1月19日から4月18日までの3か月に渡る展示には多くの人が足を運び、無事に有終の美を迎えられました。

ジブリ会長「これが最後だ」台北興行に込められた思い

日本では2018年6月〜9月に宮崎県にて行われた興行が最後となっています。台湾の開催は11年に渡る世界興行の最後を飾るものであり、スタジオジブリ代表取締役会長・星野康二氏は「『これが最後だ』という思いで臨んだ、作品から創作者の思いを汲み取って欲しい」とメディアの取材に答えています。

会場では『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『風の谷のナウシカ』等、数あるジブリ作品のレイアウト約1,400点が展示され、前年4月に逝去した高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』等のレイアウトも併せて展示されました。

台湾でもジブリは人気『風立ちぬ』興行収入2億1,697万円記録

台湾では、ほぼ全てのジブリ作品が中国語に翻訳されて上映されています。

『風の谷のナウシカ』は『風之谷』、『となりのトトロ』は『龍貓』、『千と千尋の神隠し』は『神隱少女』等、それぞれオリジナルの名称がつけられています。

2013年に公開された映画『風立ちぬ』も同年中に『風起』という名称で上映され、『千と千尋の神隠し』の7,454万元(2億4,729万円)には及ばないものの6,450万元(約2億1,697万円)の興行成績となりました。

ちなみに、ジブリ作品の中で台湾で最も大きな興行収入を上げたのは2005年の『ハウルの動く城』で歴代興業成績トップの9,545万元(3億1,666万円)となっています。現在制作中の新作映画『君たちはどう生きるか』にも注目が集まっています。

2016年~2017年にも「ジブリ展」

実は2016年6月18日から同年9月18日までの3か月にも、台北・華山1914文化創意產業園區にて「ジブリ・アニメの世界展(吉卜力的動畫世界)」が開催されています。

ジブリ作品9本の名シーン23箇所をピックアップし、ジオラマなどを用いて再現したこの展示は前売り券が発売開始から3日で10万枚以上を売り上げ、開幕1か月で20万人以上が訪れるなどの人気を博しています。ジブリ関係の展示会としてはアジア最大規模となりました。

翌年には台湾の台中、高雄でも同イベントが開催されています。

訪日台湾人の旅行動機であるアニメや漫画作品

日本では多くのアニメ漫画が日々生まれており、アニメ大国・漫画大国と言っても過言ではないほどにその文化は成長しています。

これら多くの作品は海外でも親しまれており、ファンの中には舞台となった場所を見るために日本を訪れる人も多く存在します。アニメ漫画インバウンドは切っても切れない関係性を持っていると言えるでしょう。

最近はアニメ漫画を利用して地方創生に取り組んでいる自治体も増えてきました。アニメ漫画から始まるインバウンドに注目することで、より多くの訪日外国人に日本を楽しんでもらえる可能性が広がるはずです。


【独自調査】台湾人の97%が日本旅行に興味あり:「日本旅行をしたい理由・したくない理由」から探る次のインバウンド需要とは?【台湾市場編】

日本政府観光局(JNTO)によると、2020年3月の訪日外客数は19万4,000人でした。前年同月比では93.0%減少しており、6か月連続で前年同月を下回っています。この要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中の国々において海外渡航制限や外出禁止などの措置がなされたことが挙げられます。 現在は世界的に旅行需要が減少しており、流行の状況とともに今後の市場動向を注視していく必要があるでしょう。 また2021年には、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されています。 ...

訪日台湾人観光客は何を目的に日本旅行に来ているのか

2016年3月の訪日外客数シェア:日本政府観光局(JNTO)より引用訪日台湾人観光客は日本をよく訪れる外国人観光客になっています。先月リリースされたJNTOのプレスリリースによれば、2016年3月の訪日台湾人観光客数は32.8万人。これは訪日外客数全体の15%を占める数値です。訪日台湾人観光客はどのような目的で日本を旅行しにくるのでしょうか。そんな訪日台湾人観光客の来訪目的について詳しく見ていくことで、観光業界がしていくべき方針も探っていきましょう。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラ...


【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに