訪日外国人観光客が増加するメリットとは?地方活性化・経済効果・必要な4つの対策も紹介

外国人観光客の増加には地方活性化や経済効果などのメリットがある一方で、オーバーツーリズムをはじめとした観光公害などのデメリットも存在します。

しかし、外国人観光客の増加によるデメリットについては、多言語対応やインフラ整備などの対策によって緩和・解消させることが期待できます。

この記事では、外国人観光客の増加によるメリットとデメリットへの対策について解説します。


訪日外国人観光客が増加することによるメリットとは?

上記は直近10年間における訪日外客数の推移についてまとめたグラフです。2018年には訪日外客数が3,000万人を突破しています。

訪日外国人が年々増加している現状は知っていても、具体的にどのようなメリットがあるのかについて理解している人は少ないようです。

以下では、訪日外国人増加によるメリットについて解説します。

▲訪日外国人客数の推移:日本政府観光局(JNTO)統計より作成
▲訪日外国人客数の推移:日本政府観光局(JNTO)統計より訪日ラボ編集部作成

経済効果

現代の日本では少子高齢化や先行きの不安な情勢による貯蓄重視の動きによって、日本国民の消費量は今後どんどん低下すると見られており、そんな状況下で日本経済の基盤となりうるのが訪日外国人客のインバウンド消費です。

特に2010~2015年頃の爆買いブームでは訪日中国人をはじめとした各国からの訪日客が多額の消費をしており、2015年の1年間における訪日中国人による旅行消費額は1兆4,174億円にものぼりました。

近年では爆買いブームは落ち着いてきたもののコト消費」のブームが訪れており今後もインバウンド市場の経済効果には期待できそうです。

地域活性化

訪日外国人客の増加は経済効果や金銭的消費だけでなく地域活性化にもつながります。

現在の日本では都心に若者が集中し地方の少子高齢化や過疎化が加速、若者の就職先がなくなり経済が回らなくなるという悪循環に陥っています。

そんな中で訪日外国人観光客誘致によるインバウンド消費は、地方創生のための切り札としての可能性を秘めており、地方の観光地化やプロモーションには国家レベルでも力を入れています。

訪日外国人客の消費によって地方財政が潤い、その地域に住む人々への手厚い社会福祉やインフラ整備、公共のサポートが可能になるという利点が考えられます。

国際交流

訪日外国人観光客の増加は国際交流の機会にもなります。

島国である日本は技術や経済においては先進国といえますが、他国との結びつきについては乏しいといわざるを得ません。

また、海外では母語が異なる他国の人とコミュニケーションを取る手段として英語を話せる人がほとんどですが、これまで国際交流の機会が少ない日本では日本語のみしか話せない人が大多数です。

訪日客増加による国際交流の機会は日本人にとって貴重な経験となるでしょう。

外国人観光客が増加することによるデメリットとは?

訪日外国人観光客の増加には多くのメリットがある一方で観光公害に代表されるデメリットも存在します。

また、訪日外国人観光客を受け入れる体制についても改善の余地があるといえるでしょう。

オーバーツーリズム

オーバーツーリズムは許容量を超えた観光客来訪により適切な対応が取れなくなってしまうことです。

例としては駅や交通機関、商業施設のキャパシティや従業員、翻訳人員の不足などが挙げられます。

「観光公害」の実例:京都

訪日外国人観光客に人気の京都では訪日外国人の急増により現地に住む府民が市バスを利用できないという観光公害が発生しています。

年々増加する訪日外国人観光客数に加え、人気観光地を結ぶ市バスの1日乗車券が500円に値下げされたことが事態に拍車をかけています。

また、外国人観光客が、バスの乗り方や降車バス停がわからず運転手に訊ね、バスの定時運行に支障をきたすといった問題もあります。

バスの運行本数増加や外国語でのアナウンスや、案内に特化した訪日外国人向けのバスを追加運行するなどの対策が求められています。

訪日外国人増加に伴い必要となる対策

訪日外国人客数は年々増加していますが彼らの中には日本での旅行中にさまざまな不便を感じている人が少なくありません。

特に多言語対応、Wi-Fi設備、キャッシュレス決済対応、交通機関については不満を抱いている訪日外国が多くなっています。

  1. 多言語対応観光庁におけるアンケートでは訪日旅行中に外国人が困った点として、日本人スタッフとのコミュニケーション、案内やメニューにおける多言語表示の少なさが最も大きなパーセンテージを占めています。
    少なくとも日本語と英語の2言語、可能であれば中国語や韓国語、その他欧州言語を含む多言語への対応が必要とされています。

  2. Wi-Fi設備訪日外国人は旅行中の情報検索や翻訳のツールとしてスマホや音声翻訳機を所持していることが多いですが、日本国内での通信回線に対応した機器やSIMを用意していない場合は通信をするためにWi-Fiが必要です。
    しかし、現状ではホテルや飲食店においてもWi-Fi環境が十分整ってないところがあり、訪日外国人は不便を感じています。

  3. キャッシュレス決済対応:海外ではキャッシュレス化が進んでおり中国ではQRコード決済が、欧米ではクレジットカード決済がほとんどの店舗で可能になっています。
    また、慣れない通貨を使用しての買い物にストレスを感じる訪日外国人も多く、早急なキャッシュレス決済への対応が求められています。

  4. 交通機関:東京や大阪では電車、バスなどの公共交通機関が充実していますがその複雑さゆえに混乱してしまう訪日外国人もいます。
    一方で地方では電車やバスなどが少なくタクシーを利用する際にも乗り場や料金体系がわかりにくいという点も訪日外国人の悩みのタネとなっています。案内表示の多言語対応化や通訳案内士の配置により訪日外国人への交通機関に関する情報を充実させることが必要です。

現在日本では訪日外国人の増加に対応すべく早急なインバウンド対策が求められていますが、いちはやく対策に取り組んでいる地方もあります。

以下では、京都府、静岡県、栃木県における具体的なインバウンド対策の事例について解説します。

1. 多言語対応:京都の町家での事例

京都の街並みを形作る町家はホテルに宿泊するよりも日本的な雰囲気を楽しむことができると訪日外国人の宿泊先としても人気です。

近年、特に増加している外国人宿泊者への対応として町家では「TRIP CONCIERGE」を導入し、外国人宿泊者の質問や要望にチャットを介して回答するサービスや、周辺の観光施設や飲食店の情報を提供しています。

伝統的な施設においてもニーズに応じて先端技術を取り入れることでより快適な旅の提供を目指しています。

2. Wi-Fi設置:静岡県

静岡県では通信事業を手がける株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスと連携協定を締結することにより富士山、清水港周辺に40ヶ所以上のWi-Fiアクセスポイントを設置しました。

同地域は訪日外国人も観光を目的として多く訪れている地域でWi-Fiを求める声は以前からあり、通信設備の整備は長らく課題とされていました。

静岡県では富士山登山者向けの情報共有アプリも開発し、通信環境の整備と併せてより安心安全な登山環境を整えています。

3. キャッシュレス対応:日光市

栃木県の日光市では訪日外国人の受け入れ対策の一環としてキャッシュレス化を推進しています。

日光東照宮の隣に位置する日光二荒山神社ではQRコード決済によるお賽銭を納められるようになっており、AlipayWeChatPayPayなど複数の決済システムに対応しています。

また、案内看板にもQRコードを設置しており、そのQRコードを読み取ることで案内内容が多言語翻訳されて表示されるようになっているため、外国人でもスマホ1つで各所の案内を読むことが可能です。

4. 交通機関の充実:京都府・北海道

京都市では訪日外国人の急増にともなう市バスの大混雑により市民が市バスを利用できなくなってしまうという状況に陥っており観光公害化していました。

対策として京都市では市バスの1日乗車券を値上げし、市バスと地下鉄、京都バスで利用できる1日乗車券を値下げすることにより現在市バスに集中している混雑を緩和するねらいです。

また、北海道の豪雪エリアでは4つのスキー場と駅やホテルを結ぶシャトルバスの運行によりウィンタースポーツに訪れた訪日外国人の交通手段を充実させています。

オーバーツーリズムを防ぎ、経済・地域活性化へ

インバウンド対策では訪日外国人が快適な旅を楽しむための環境を整えることに加え、予想を上回る人数が訪れた場合にオーバーツーリズムによる観光公害が発生しない受け入れ体制を整えることも重要です。

また適切なインバウンド対策を講じられるよう、常に外国人目線で多言語対応キャッシュレス決済対応などの点について改善の余地がないかどうかを精査していくことも大切でしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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