岩手のインバウンド施策「もち食」の勝算は?世界で勝つために選んだ2つの方策

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岩手県一関・平泉地域の「もち食文化」が平成28年度に食と農の景勝地SAVOR JAPAN」に認定されて以来、一関・平泉地域では、地域一丸となって認知拡大と誘客促進に取り組んでいます。

2019年3月には、フランス・パリで開催された旅行見本市「Salon de Tourisme」に出展し、「もち食文化」をきっかけとしたプロモーションを実施しました。

今回は、一関・平泉地域の「SAVOR JAPAN」としての取り組みや、インバウンド向けのプロモーション活動について解説していきます。



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SAVOR JAPANとしての取り組み

農林水産省が創設した「SAVOR JAPAN農泊:食文化海外発信地域)」は、地域の食と農林水産業・伝統文化観光資源として訪日外国人観光客の誘致をSAVOR JAPANというブランドとして官民で連携を行い地域が誘客促進を図るための認定制度です。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた取り組みにもなっており、現在は全国で21の地域が認定を受けています。

一関・平泉地域では「SAVOR JAPAN」の認定を機に、観光関係者や農林関係者だけでなく、地域全体が「もち食文化」に関わるようになりました。

一関の「もち食」とは

一関では、藩政時代の仙台藩による「毎月1日と15日はおもちを搗き、食べなさい」というしきたりから「もち食文化」が広まりました。

一関・平泉地域では、お正月だけでなく冠婚葬祭や入学式、卒業式といったさまざまな場面でおもちが提供されており、現在も地元の人々にとって身近な食文化です。

一関・平泉地域では「もち食推進会議」が中心となり、SAVOR JAPANとして「もち食文化」を国内外に発信することで、訪日外国人観光客を中心に誘致拡大を図っています。

一関市内の飲食店では、田植え体験や古くから伝わる地域のもちつき唄に合わせながら行うもちつき体験を実施するなど、観光客が農村生活体験を通して一関・平泉地域の魅力に触れる仕組みを作りました。

月間利用者数が100万人以上!訪日外国人向けグルメサイト「SAVOR JAPAN」

目次アクセス数・ユーザー数・ページビュー数で業界1位にアクセス数トップはアメリカ 予約数トップは香港にアクセス数・ユーザー数・ページビュー数で業界1位に株式会社USEN-NEXT HOLDINGSが、運営する訪日外国人向けグルメサイト「SAVOR JAPAN」の月間利用者数が100万人以上になり、業界1位に認定されたと、5月28日に発表しました。調査会社の株式会社東京商工リサーチによって行われた「インバウンド向け専門グルメサイト」実態調査において、「SAVOR JAPAN」のアクセス数・ユ...

一関・平泉地域の「もち食文化」をきっかけとしたインバウンド誘客

東北6県におけるインバウンドの訪問率は依然として1%ほどに留まっており、東北地方へのインバウンド誘客には、まだまだ課題が多い状況です。

今後はSAVOR JAPAN東北地方ならではの豊かな食文化を海外に発信することで、東北地方の認知拡大ならびに誘客促進が期待されています。

SAVOR JAPANに認定された一関・平泉地域は、「もち食文化」を起点に海外でのプロモーションやターゲットを絞った施策を展開しています。

フランスやイタリアなど、海外プロモーションも実施

SAVOR JAPANは、2019年3月にフランス・パリで開催された「Salon de Tourisme」に出展し、訪日外国人観光客の潜在層の生の声を聞くことで、最新のニーズを調査する絶好の機会となりました。

来場者からは、フランス人があまり訪れていない地域に行ってみたいといった声が多く寄せられ、長期滞在が主流の欧米圏からの訪日外国人観光客受け入れ態勢強化の重要性を再確認しました。

イタリアで開催されたミラノ万国博覧会においても、もちつきイベントを実施することで、「もち食」に馴染みのない欧米圏での認知拡大を図っています。

約6割を占める訪日台湾人観光客をメインターゲットに

一関・平泉地域では、個人旅行客によるLCCの利用やリピーターが多く、台湾からの観光客が60%超を占めているのが特徴的です。

同じアジアということで「もち食」への理解も示してもらいやすく、訪日旅行のリピーターとして地方への関心も高い市場であるため、台湾をメインターゲットとして誘客に取り組んでいます。

地域のブランド力を高めながらインバウンド誘客促進を図ることで、さらなる交流人口の拡大や地域活性化が見込まれるでしょう。

【事例アリ】スローツーリズムとは?インバウンド観光客の細分化するニーズ・地方創生・石川県の取り組みを紹介

現在、日本全体の人口動態を見てみると、地方では過疎・都心部では過密化が進んでいます。 観光業界でもこれと同様の構図があります。東京や大阪、京都といった定番スポットには観光客が集中しており歩くのも大変な状況も出てきている一方で、地方には観光客が少なく収益化が難しくなっています。 日本の観光立国や経済活性化を考える際には、どのようにして地方を活性化するかという点が課題となっています。 解決策としてゆるキャラや祭りなどを活用した「町おこし」の策が講じられています。同時にインバウンド客を対象...

まとめ:地域の食をきっかけにインバウンドの誘客促進へ

岩手県一関・平泉地域はSAVOR JAPANとして、フランスイタリアなど欧米圏でのプロモーションも実施しながら、台湾をメインターゲットとし、地域ならではの「もち食文化」を起点とした誘客促進への取り組みを実施しています。

今後も「もち食」を全面的にPRしつつ、世界遺産としての平泉など、多角的に地域の魅力を発信することで、東北地方のインバウンドの訪問率アップへの効果が期待できるでしょう。


<参照>

・JTB INBOUND SOLUTION:DMOが主体となり1歳から触れる身近な「おもち」の食文化をフランスパリでPR ミラノ万国博覧会でも「もちつき」を実施

・Iwanichi Online:世界へアピール「SAVOR JAPAN」もちサミット応援マガジン

・農林水産省:「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」について

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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