食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。
「ムスリムの観光客をお呼びしたいです」
最近は、大変ありがたいことに、全国の自治体・行政からこのようなご相談をいただきます。韓国や香港が厳しい状況下なので、緊急度も高い相談です。
しかし弊社からは「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」でやりませんか?と必ずお伝えをします。
※自治体・行政との連携実績はこちら(フードダイバーシティ株式会社公式サイト)
前回の更新
各国のベジタリアンニーズ【台湾編】
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
なぜ「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」が必要なのか
本日はその理由を下記に記載したいと思います。主に下記5点になります。
1. 「ハラール単体」だと自治体・行政として特定の宗教色が出てしまう
立ち上がったばかりのときには特に何もないのですが、結果が出て注目され始めると「特定の宗教」「政教分離に反する」「私の宗教にも配慮して欲しい」という声が地域から出てくることがよくあります。
しかしベジタリアンやヴィーガン等も含めた「食の多様性(フードダイバーシティ)の一環」という形で進めると、上記のような声などなく進めていくことができます。
ハラール対応はあくまでも「One of them」感を出すことが大切です。自治体・行政が公平さを保っていかないと、持続可能な取組みにはなりません。
2. 「ハラール認証取得セミナー」を一度聞いた飲食店の方の多くは完全に耳をふさいでいる
過去にどこかで一度ハラール認証取得セミナー(認証取らないといけません系)を聞いた飲食店の方の多くが「うちにはそんなの無理!」と既に判断しています。
「認証費用で50万円、厨房を別で作る、ムスリムスタッフ雇用必須」などの話を聞いたらそう思って無理はありません。
そういった方々にもう一度話を聞いていただくためにも「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」で声をかけることが重要になってきます。
現に「ハラールセミナー」では10社ほどしかセミナーに集まらなかった地域で、「食の多様性(フードダイバーシティ)対応セミナー」にした途端に100社以上が集まったという事例もありました。事業者様も「One of them」対応を求めていることがよく分かります。
3. ベジタリアンをベースに→お客様の幅が広がる→飲食店としての結果も出やすい
食事に禁忌を持っているのはムスリムのお客様だけではありません。
一つの団体の中にムスリム数名、ベジタリアン数名、グルテンフリー数名といったケースも多くあります。
こうした多様な食に関するルールを把握するのに、以下の図が役に立つでしょう。
![▲[飲食店で注意すべきことを整理した図]:フードダイバーシティ作成 ▲[飲食店で注意すべきことを整理した図]:フードダイバーシティ作成](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5309/main_fds_12_1.png?auto=format)
![▲[ベジタリアンを基本に、それぞれの禁忌や摂取可能な食品を示した図]:フードダイバーシティ ▲[ベジタリアンを基本に、それぞれの禁忌や摂取可能な食品を示した図]:フードダイバーシティ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5311/main_fds_12_2.png?auto=format)
4. 「ハラール単体」だと関係組織が多く、その数だけ主張や正解がある
ハラール単体でスタートすると、各認証機関、ハラール協会系、コンサルティング会社から「そのやり方は間違っている」とか「ハラールを分かっていない」といった連絡がよく来ます。
各協会の主張にお付き合いしているとこれはキリがないですし、正解もない世界です。しっかりと公平を期して観光庁のガイドラインを参考に、「消費者に判断していただく体制」を作ることが重要です。
フードダイバーシティの公式サイトでは、消費者に判断頂くために重要となるポリシーの明示についての事例を紹介しています。
5. 「ハラール」を謳いすぎると、一般客が離れるリスクもある
まだまだ一般日本人にとって「ハラール」や「ベジタリアン」について「自分とは無縁の食事」というイメージがほとんどです。こうした社会では、それらを強く謳ってしまうと、避けられてしまう可能性もあるでしょう。
こうした一般の消費者にも受け入れられるためにも、「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」が重要になります。どういった食のルールに対応しているのかという情報は、基本「その情報を欲する人」にのみ届く形で示すことが望ましいと考えられます。
詳しくはこちらの記事で紹介してます。
ハラールやベジタリアンのインバウンド需要、どう取り込む?必要なのは「違和感のあるなし」目線へのシフトだった!
食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。最近弊社では量販店を運営される企業様からご相談をいただくことが多くなってきました。「売り場でスタッフがハラールやベジタリアン等について聞かれることが増えてきた」とのことです。今回、ご相談時に毎回必ずお伝えするポイントについてまとめてみました。ベジタリアンも混ざると文章が複雑になるので、ここからは「ムスリム」に絞って話を進めていきますが、基本ベジタリアンについても同じです。目次どのように「ハラールフード」を伝えるか?図のパ...
飲食店におけるハラール対応などをメディアで紹介いただく場合にも、しっかりと報道の仕方について調整する必要もあると言えるでしょう。
まとめ
企業様からの依頼については、個別の状況をヒアリングの上、商圏分析のもと「ハラール単体」で提案するケースもあります。
しかし、公平性の求められる自治体・行政となると、やはり上記理由から「単体」での取り組みをおすすめしないケースもあります。
食の取り組みは本当に重要なので、単年度の一過性のものにしてはいけません。上記5点を意識しながら持続可能なものにしていかないといけないと考えています。
過去記事
「ハラール」実践本当に大切な3つのポイント
ベジタリアン対応がもたらす、予想外の大きな効果とは?
食の需要取り込みは「視点の転換」がポイントに
<参照>
国土交通省観光庁:ムスリム対応に関する取り組みについて
フードダイバーシティ株式会社公式サイト:ついに登場!創業93年・山本屋大久手店が名古屋名物ムスリムフレンドリー味噌煮込みうどんを開始!
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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