ハラール・ムスリム”単体”での取り組みをおすすめしない理由【自治体・行政・公共機関向け】

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食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。

ムスリムの観光客をお呼びしたいです」

最近は、大変ありがたいことに、全国の自治体・行政からこのようなご相談をいただきます。韓国香港が厳しい状況下なので、緊急度も高い相談です。

しかし弊社からは「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」でやりませんか?と必ずお伝えをします。

※自治体・行政との連携実績はこちら(フードダイバーシティ株式会社公式サイト)

前回の更新
各国のベジタリアンニーズ【台湾編】


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なぜ「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」が必要なのか

本日はその理由を下記に記載したいと思います。主に下記5点になります。

1. 「ハラール単体」だと自治体・行政として特定の宗教色が出てしまう

立ち上がったばかりのときには特に何もないのですが、結果が出て注目され始めると「特定の宗教」「政教分離に反する」「私の宗教にも配慮して欲しい」という声が地域から出てくることがよくあります。

しかしベジタリアンヴィーガン等も含めた「食の多様性(フードダイバーシティ)の一環」という形で進めると、上記のような声などなく進めていくことができます。

ハラール対応はあくまでも「One of them」感を出すことが大切です。自治体・行政が公平さを保っていかないと、持続可能な取組みにはなりません。

2. 「ハラール認証取得セミナー」を一度聞いた飲食店の方の多くは完全に耳をふさいでいる

過去にどこかで一度ハラール認証取得セミナー(認証取らないといけません系)を聞いた飲食店の方の多くが「うちにはそんなの無理!」と既に判断しています。

「認証費用で50万円、厨房を別で作る、ムスリムスタッフ雇用必須」などの話を聞いたらそう思って無理はありません。

そういった方々にもう一度話を聞いていただくためにも「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」で声をかけることが重要になってきます。

現に「ハラールセミナー」では10社ほどしかセミナーに集まらなかった地域で、「食の多様性(フードダイバーシティ)対応セミナー」にした途端に100社以上が集まったという事例もありました。事業者様も「One of them」対応を求めていることがよく分かります。

3. ベジタリアンをベースに→お客様の幅が広がる→飲食店としての結果も出やすい

食事に禁忌を持っているのはムスリムのお客様だけではありません。

一つの団体の中にムスリム数名、ベジタリアン数名、グルテンフリー数名といったケースも多くあります。

こうした多様な食に関するルールを把握するのに、以下の図が役に立つでしょう。

▲[飲食店で注意すべきことを整理した図]:フードダイバーシティ作成
▲[飲食店で注意すべき食材とその理由を整理した図]:フードダイバーシティ作成

▲[ベジタリアンを基本に、それぞれの禁忌や摂取可能な食品を示した図]:フードダイバーシティ
▲[ベジタリアンを基本に、それぞれの禁忌や摂取可能な食品を示した図]:フードダイバーシティ作成

4. 「ハラール単体」だと関係組織が多く、その数だけ主張や正解がある

ハラール単体でスタートすると、各認証機関、ハラール協会系、コンサルティング会社から「そのやり方は間違っている」とかハラールを分かっていない」といった連絡がよく来ます。

各協会の主張にお付き合いしているとこれはキリがないですし、正解もない世界です。しっかりと公平を期して観光庁のガイドラインを参考に、「消費者に判断していただく体制」を作ることが重要です。

フードダイバーシティの公式サイトでは、消費者に判断頂くために重要となるポリシーの明示についての事例を紹介しています。

5. 「ハラール」を謳いすぎると、一般客が離れるリスクもある

まだまだ一般日本人にとって「ハラール」や「ベジタリアン」について「自分とは無縁の食事」というイメージがほとんどです。こうした社会では、それらを強く謳ってしまうと、避けられてしまう可能性もあるでしょう。

こうした一般の消費者にも受け入れられるためにも、「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」が重要になります。どういった食のルールに対応しているのかという情報は、基本「その情報を欲する人」にのみ届く形で示すことが望ましいと考えられます。

詳しくはこちらの記事で紹介してます。

ハラールやベジタリアンのインバウンド需要、どう取り込む?必要なのは「違和感のあるなし」目線へのシフトだった!

食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。最近弊社では量販店を運営される企業様からご相談をいただくことが多くなってきました。「売り場でスタッフがハラールやベジタリアン等について聞かれることが増えてきた」とのことです。今回、ご相談時に毎回必ずお伝えするポイントについてまとめてみました。ベジタリアンも混ざると文章が複雑になるので、ここからは「ムスリム」に絞って話を進めていきますが、基本ベジタリアンについても同じです。目次どのように「ハラールフード」を伝えるか?図のパ...

飲食店におけるハラール対応などをメディアで紹介いただく場合にも、しっかりと報道の仕方について調整する必要もあると言えるでしょう。

まとめ

企業様からの依頼については、個別の状況をヒアリングの上、商圏分析のもと「ハラール単体」で提案するケースもあります。

しかし、公平性の求められる自治体・行政となると、やはり上記理由から「単体」での取り組みをおすすめしないケースもあります。

食の取り組みは本当に重要なので、単年度の一過性のものにしてはいけません。上記5点を意識しながら持続可能なものにしていかないといけないと考えています。

過去記事
「ハラール」実践本当に大切な3つのポイント
ベジタリアン対応がもたらす、予想外の大きな効果とは?
食の需要取り込みは「視点の転換」がポイントに

<参照>

国土交通省観光庁:ムスリム対応に関する取り組みについて

フードダイバーシティ株式会社公式サイト:ついに登場!創業93年・山本屋大久手店が名古屋名物ムスリムフレンドリー味噌煮込みうどんを開始!

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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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この記事の筆者

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩。千葉大学卒。2007年楽天株式会社入社。2014年に日本国内のハラール情報を多言語で世界に発信するポータルサイトHALAL MEDIA JAPANをサービスイン。またハラールにおける国内最大級のトレードショーであるHALAL EXPO JAPANを4年連続で主催し、2万人以上動員。現在ではフードダイバーシティをコンセプトにハラールだけでなく、ベジタリアンヴィーガン、コーシャなどありとあらゆる食の禁忌に対応する講演やコンサルティングを行う。流通経済大学非常勤講師も務める。

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