観光産業にも影響大!21世紀の教養「持続可能性な開発目標」SDGsとは?世界が追う17のゴール

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環境問題の重大性についての議論が増加している近年、SDGsの取り組みは世界中で注目されています。

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭文字で、日本語では「持続可能性な社会の実現のために設定された目標」です。SDGsは、世界中の国々が一丸となって目指すべき17の目標を意味します。

この記事では、SDGsの概要、国内外におけるSDGsに対する意識、観光とSDGsの関連性について解説します。

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世界中で取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)

SDGsとは、持続可能な開発目標のことです。

2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継となる目標として定められたもので、17のゴールと169のターゲットが設定されています。

SDGsの目的は持続可能な世界を実現することで、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。

SDGsは2016年から2030年にかけての国際目標を設定しており、発展途上国、先進国を問わず取り組むべき目標であるとされています。

ミレニアム開発目標(MDGs)との違い

SDGsが作成される前に設定されていたMDGsとは、ミレニアム開発目標と呼ばれるもので、2000年に国連サミットで採択された目標です。

MDGsでは2015年までの目標を定めており、貧困や飢餓の撲滅、HIVやエイズ、マラリアをはじめとする疾病の蔓延防止などの8つのゴールを設けていました。

SDGsが発展途上国と先進国が一体となって取り組む目標を設定しているのに対し、MDGsでは先進国が一体となって発展途上国を支援するような目標を設定しています。

企業や投資家も注目

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業の社会的責任を指す語ですが、日本におけるCSRの認識は利益の一部を社会に還元するものという傾向にありました。

しかし、SDGsの存在によって企業が持続可能性を重視した開発や業務に取り組むことでCSRを担うという新た考え方が生まれ、利益をあげて経済的発展を後押しするだけでなく、地球環境の改善につながるようなビジネスモデルを確立することが求められるようになりました。

SDGsの17のゴールを紹介

SDGsでは17のゴールを設けており、それぞれにロゴを設定することで周知の促進を図っています。

17の目標はそれ1つでは解決することができず、1つの目標を解決するためには他の目標も達成する必要があります。

以下では、それぞれのロゴの指し示す目標について解説します。

1. NO POVERTY:貧困をなくそう

あらゆる形態の貧困をなくすために、世界中の人々が資源やサービスへとアクセスできる環境を整えることを目指しています。

2. ZERO HUNGER:飢餓をゼロに

食料の安定的な確保や栄養状態の改善を実現するために、農業生産性の改善や持続可能な農業規範の推進を目指しています。

3. GOOD HEALTH AND WELL-BEING:すべての人に健康と福祉を

年齢や性別を問わずすべての人々が健康的な生活を実現できるよう、健康や疾病に関する教育や予防接種の推進を目指しています。

4. QUALITY EDUCATION:包摂的かつ公平で質の高い教育と生涯学習の機会を促進する

さまざまな理由によって学校に通えない子供たちの数を減らし、すべての人々が質の高い教育を受けられる環境を作ることを目指しています。

5. GENDER EQUALITY:ジェンダー平等を実現しよう

女性や女児に対する差別の撲滅とジェンダーの平等を実現するために必要な政策や法規の施行を目指しています。

6. CLEAN WATER AND SANITATION:安全な水とトイレを世界中に

すべての人々が水や衛生へのアクセスを手に入れられるよう、インフラ設備への投資や衛生設備の拡充を目指しています。

7. AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY:エネルギーをみんなにそしてクリーンに

すべての人々に手ごろでクリーンなエネルギーを普及させるべく、再生可能エネルギーの発展を目指しています。

8. DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH:働きがいも経済成長も

生産性の向上や技術革新の発展により持続的な経済成長を可能とすることを目指しています。

9. INDUSTRY, INNOVATION AND INFRASTRUCTURE:産業と技術革新の基盤をつくろう

産業と技術革新について強固な基盤を作ることで経済成長の促進を目指しています。

10. REDUCED INEQUALITIES:人や国の不平等をなくそう

国内はもちろん、国家間における年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、所得格差をなくすことを目指しています。

11. SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES:住み続けられるまちづくりを

スラムの改善や脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮した公共交通機関の拡大などを通じ、持続可能な都市づくりを目指しています。

12. RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION:つくる責任つかう責任

天然資源の管理や有害廃棄物、汚染物質の処理を適切に行うことによって、持続可能な消費と生産のパターン確保を目指しています。

13. CLIMATE ACTION:気候変動に具体的な対策を

温室効果ガスなどによる気候変動に伴う生態系や自然への影響を防ぐために対策を講じることを目指しています。

14. LIFE BELOW WATER:海の豊かさを守ろう

海洋の汚染や海洋資源の乱獲や陸上活動などからの汚染を防ぎ、海洋資源の保全を目指しています。

15. LIFE ON LAND:陸の豊かさも守ろう

陸上の生態系や生物を守るために干ばつや砂漠化の防止を目指しています。

16. PEACE, JUSTICE AND STRONG INSTITUTIONS:平和と公正をすべての人に

平和で包摂的な社会を推進するとともに、すべての人々に司法へのアクセスを提供することを目指しています。

17. PARTNERSHIPS FOR THE GOALS:パートナーシップで目標を達成しよう

グローバルなパートナーシップを結び、互いに協力することでさまざまな観点から持続可能な開発の実現を目指しています。

観光産業にどのような影響が出る?

SDGsは観光業界においても取り組まれており、各国の観光産業にも影響を与えている要素です。

以下では、日本の観光分野におけるSDGsへの取り組みや日本と海外の意識の差、日本のエコツーリズムについて解説します。

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日本の旅行・観光分野におけるSDGsへの取り組み評価

各国のSDGsに関する取り組みの達成率は「国連持続可能な開発目標進捗報告書」において、年ごとに発表されており、2019年の報告書によれば日本は達成度ランキングで15位にランクインしています。

上位にはデンマーク、スウェーデン、フィンランドがランクインしており、トップ20位の多くをヨーロッパ諸国が占めていることを考えると、日本の結果は健闘していると言えるでしょう。 

日本と海外の意識の差

日本人と外国人では、旅行業界において取り組まれるSDGsの内容についての許容度も異なります。

JTB総合研究所の調査によれば、日本人は

  • 地産地消をうたう施設の活用
  • 厳選食材で必要な量だけ提供するメニューを取り入れた旅行

などの食に関する自給自足や無駄の節減、

  • 自然エネルギーで運営する宿泊施設の活用
  • 公共交通機関の活用

などのエネルギーやエコに関する取り組みといった点をSDGsの組み込まれた旅行であると感じています。

一方、外国人は「ツアーで使用する備品類が、障がい者支援やフェアトレードに繋がる旅行」といった点をSDGsの一環であると感じており、旅行商品の価格についても日本人より許容度が高い傾向にあります。

取り組み事例全国エコツーリズム大会

日本エコツーリズム協会では全国エコツーリズム大会を実施しています。

当初は旅行業界や官公庁におけるエコツーリズムへの理解を広め深めることを目的として実施していましたが、近年では自然資源への配慮や大会実施に伴う集客効果を目的としています。

分科会では、実践的なテーマを設定した上で、プロモーションエコツーリズムの促進を目指すための試みについて議論が交わされており、全国から多くの自治体が参加しています。

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21世紀の世界が抱える課題を解決する

SDGsでは持続可能性という点に重点をおいて、環境問題をはじめとする経済や産業、教育など、さまざまな課題を解決するための目標設定をしています。

2015年までの目標を定めたMDGsの後継として、2016年から2030年までの目標を定めたSDGsは、まさに21世紀の世界が抱える課題解決のための糸口であると言えるでしょう。

国ごとの取り組みはさることながら、世界が一丸となってSDGsに関連する取り組みを進めていくことで持続可能な世界をつくることが可能となります。

<参考>

外務省:SDGsとは?

外務省:ミレニアム開発目標(MDGs)

SDGs総研:SDGsとは?

国連グローバル・コミュニケーション局:持続可能な開発目標

JTB総合研究所:SDGs達成に向けた旅行・観光分野の役割

UNDP:持続可能な開発目標

文中の数値は https://www.tourism.jp/tourism-database/column/2019/10/sdgs-tourism/ より引用

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
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  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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