航空機には、インフライトメディアとよばれる雑誌が座席前のポケットに置かれています。
インフライトメディアは航空機の利用客に対し、機内で行える宣伝ツールの一つです。
この記事ではインフラメディアを通して、インバウンド客が日本に着く前にどのようにPRできるのかを解説します。
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インフライトメディアとは?
インフライトメディアとは、航空機内で読むことができる雑誌や放送されている動画などのメディアのことを指します。
基本的に電子機器での通信が制限され、行先によっては長時間座席にいなければならない飛行機移動の状況を利用し、利用客に効率的に宣伝活動を行うことが可能です。
飛行機の中で提供される情報
インバウンドメディアは機内誌などで移動中に利用できるサービスの紹介のほかに、機内販売や現地情報などの広告が掲載されています。
他にも前の座席や機内前方にある画面で放映されている動画広告もインフライトメディアに含まれます。
空港内や周辺施設での広告と並行して活用することで、より大きな宣伝効果を得られる広告媒体と言得えるでしょう。
【有名機内誌】ANA「翼の王国」、JAL「SKYWARD」
大手航空会社各社では、会社ごとに独自の機内誌を持っている場合もあります。
例えば、日本の二大航空会社のひとつであるANAでは「翼の王国」、JALでは「SKYWARD」という機内誌を自社発行しています。
他にもLCCのSolaseed Air(ソラシドエア)では「ソラタネ」、AIRDO(エアドゥ)では「rapora(ラポラ)」という機内誌を発行しています。
航空機の中で読まれることを想定しているので、海外特集・日本特集などの観光情報や、インタビュー、コラム、その他には関連会社の運行情報などが掲載されています。
インフライトメディアがインバウンド市場で効果的な理由
多くの機内誌は、月に一度のペースで発行されており、そのシーズンに合った季節感のある情報などを掲載しています。
ここでは、これらのインフライトメディアが持つ効果についてご説明してます。
手にとってもらいやすい
日本は島国という立地のため、訪日外国人のうち90%以上は飛行機を利用しています。
飛行機の利用者が圧倒的に多いため、集中的に宣伝を行うことができます。
特にLCCでは機内でのオーディオ設備が充実していないことが多く、機内での暇つぶしのためにインフライトメディアを手に取る人が多い傾向にあります。
またそれ以外の暇つぶしがないことやこれから向かう場所の情報が載っているためしっかりと読んでもらうこともできます。
LCCの就航の増加
さらにこれらのインフライトメディアが今注目されているもう一つの理由が、LCC国際線の増加にあります。
一般の観光客にもLCCという形態が浸透してきたこともあり、利用者数も増加しています。
利用者数は2017年で1,874万人にものぼり、全体の21.7%も占めています。
アジア圏を中心に今後もLCC増加が見込まれるため、より多くの訪日外国人がLCCを利用することが予想されます。
航空機の利用者が増加するということは、それだけ多くの訪日外国人が機内誌を手に取る可能性があります。
LCCは地方空港発着など地域を限定できる
LCCは大手航空会社とは違い就航路線が限定しているため、その地域の特性や情報について深く掘り下げた内容を掲載することが可能です。
現地に到着する直前にその場所の情報を提供でき、読み手にとって関心のある情報を提供できることも機内誌での広告を行う利点の一つと言えます。
LCCの高需要とインバウンドメディアの可能性
ここまでLCCが機内誌を発行することのメリットについてご説明しました。
この項目では特に海外からの観光客に向けて、機内誌などのインフライトメディアを活用した宣伝方法の具体例や、新たに就航した宣伝効果が見込まれるLCCについて紹介します。
2020年JALのLCCが就航
日本航空は日本初の国際線中長距離LCCエアライン「ジップエア トーキョー(ZIPAIR Tokyo)」を設立しました。
エアラインブランド名を「ZIPAIR(ジップエア)」とし、欧米路線就航を目指すとしています。
最初の路線は成田―バンコク線で、2020年5月14日に開設される予定です。
太平洋線で洋上飛行に必要な信頼性認定「ETOPS」の取得を目指し、まずはバンコク線とソウル線で実績を積むそうです。
アジア圏の訪日外国人の間で高いLCC利用率
これまで近隣諸国のみへの就航がされてきたこともあり、アジア圏の多くの訪日外国人がLCCを利用して日本を訪れています。
特にLCCが充実している隣国の韓国では、訪日韓国人の多くがLCCを利用して日本を訪れています。
他にもフィリピンからの観光客の多くはLCCを利用しており、訪日外国人に対してインフライトメディアを通じて様々な観光情報を提供していくことで、到着する前に現地の情報をスムーズに提供することができます。
LCCが増える仙台国際空港の「みちのく観光案内」
LCCの就航は観光エリアのみならず、地方の国際空港にも広がっています。
仙台国際空港では、観光客に対し「みちのく観光案内」と呼ばれるJTBが運営するツーリストインフォメーションがあります。
「みちのく観光案内」では、観光客のニーズに合わせて知識豊富なスタッフが行先を提案したり、各種手配などをその場で進めたりすることができます。
またインターネットでは入手困難な現地の旬の観光情報を常に取り入れて案内をしているため、より観光客の理想に近い観光案内を実現しています。
交通手段や割引情報など、より具体的な情報を伝えることで、観光客から高い評価を得ています。
「パンフレット」実際どのくらい効果がある?+アルファの効果を見せつけた仙台国際空港みちのく観光案内の取り組み
東北の玄関口として訪日外国人観光客を迎える仙台国際空港では、台湾便やタイ便の増加などを受け、今後もさらなる利用者拡大が見込まれます。仙台空港国内線到着口の目の前に構える、JTB運営のツーリストインフォメーション「みちのく観光案内」には、訪日台湾人観光客を中心に1ヵ月に約3,000名のインバウンド客が来店しています。今回は「みちのく観光案内」における訪日客の受け入れ態勢をふまえ、ツーリストインフォメーションが担うインバウンド対応への取り組みについて紹介します。関連記事外国人宿泊者数「東北」伸...
LCCのインフライトメディアを活用してインバウンド対策を
以上のように、インフライトメディアは宣伝を行いたい相手に的確なアプローチができる広告媒体であると言えます。
さらにここまでで述べた通りLCCの台頭によって特に増加したインバウンド観光客に対して、就航先のご当地情報を深く詳しく伝えられるのも、LCC機内誌のメリットの一つです。
さらに、映画を見たりゲームしたりできる画面などがないことも、暇つぶし目的でインフライトメディアを手に取る後押しになります。
2020年以降、日本航空による中距離LCCの参入によるさらなるLCC業界の拡充もあるため、訪日外国人観光客に、効果的な宣伝を行うためにもインフライトメディアは一つの宣伝方法として効果的であると言えるでしょう。
<参照>
観光庁:訪日外国人消費動向調査
国土交通省:我が国のLCC旅客数の推移
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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