和歌山県のインバウンド偏差値、実はこんなに高かった!「空港無し」の観光地の戦い方:欧米人観光客3割を実現した3つの取り組み

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和歌山県は、日本屈指の有名観光地である京都や大阪に隣接しながら、訪日外国人観光客の訪問率・訪問数ともに平均以上を記録しています。

近年の和歌山県インバウンドの状況は、アジアや欧米などさまざまなインバウンド市場を取り込み、受け入れ体制の強化にも取り組んでいます。

今回は、和歌山県の地域ならではの魅力を活かしたインバウンド誘客例をふまえ、和歌山県訪日客を惹きつける理由について紹介します。

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地域の特産物をフックにインバウンド誘客、中国の学校から「教育旅行」も

2018年の和歌山県訪日外国人観光客訪問率は1.14%、訪問者数は356,741人と、いずれも平均以上の全国第23位を記録しています。

圏内の施設内案内表示の英語化率も75%以上、「Japan.Free Wi-Fi」の登録件数も全国14位の3,038施設と、インバウンド受け入れ体制整備に積極的です。

近年は、地域の特産物をコンテンツ化したインバウンド誘客に力を入れています。

「果物の景勝地」を目指す紀の川グリーンツーリズム推進協議会は、農産物直売所「めっけもん広場」を拠点に旬の農作物の収穫体験や米作り体験などを実施し、2018年度には年間2,336人の交流実績となりました。地域に眠る観光素材を発掘・ブラッシュアップしたPRは、インバウンド誘客を引き起こせることを示した成功事例と言えるでしょう。

さらに2018年10月には「一般社団法人紀の川フルーツ観光局」が発足し、フルーツ狩りをコンテンツに訪日教育旅行の誘致をし、2019年夏には中国から2校の受け入れに成功しました。

問題は二次交通…欧米客誘致への3つの取り組みが成功

インバウンド地方誘客における課題の1つに二次交通問題が挙げられます。和歌山県世界遺産高野山から熊野古道など、交通が不便なエリアを抱えているにもかかわらず、訪日旅行の初心者が多い欧米人観光客の誘致が進んでいるのが特徴的です。

欧米人観光客が、和歌山県を訪れる外国人観光客の約3割を占めるまでに成長した要因として、以下の3点が考えられます。

  1. 大阪府の関西国際空港と連携し、空港と高野山を結ぶリムジンバスの運行を開始。
  2. 高野山と熊野古道をダイレクトに結ぶ「『高野山・熊野』聖地巡礼バス」を県内の2社のバス会社が運行し、広域周遊ルートを整備。
  3. 空港〜高野山のリムジンバスから「『高野山・熊野』聖地巡礼バス」への接続と、次の交通手段への接続をスムーズにするため、多言語の乗り換え案内情報を提供。

このようにインバウンド受け入れ体制を徹底的に整備することで、訪日旅行に不慣れな欧米人観光客も足を運べる観光地として、満足度UPが見込めるでしょう。

和歌山県の観光スポットは?3つを紹介

和歌山県インバウンドに人気の観光スポットは、市場別に違った特徴が見受けられます。今回は、欧米とアジアに人気の観光スポットやエリアをそれぞれ紹介します。

1. リゾート&動物園でアジア人観光客に人気の白浜エリア

和歌山県は訪日香港人をターゲットに受け入れ体制を整備する、マーケットイン戦略が成功していることから、香港をはじめとする中華圏からの観光客が急増しています。

特に多く見受けられるエリアが白浜です。夏の繁忙期を迎えると、南紀白浜のビーチ沿いでは中国語や韓国語などが飛び交い、アジア人観光客人気が感じられます。

白浜のシンボル「円月島は、円月島に沈む夕日が美しいと、中華圏からの観光客に人気です。中国人には「ユエンユエダオ(円月岛)」として認知されています。

土地も広く、内陸部も多い中国ではなかなか見られない、海に沈む美しい夕日が楽しめるスポットとして、人気を集めていると言えるでしょう。

2. 日本古来のスピリチュアルな世界が欧米客を魅了する、熊野古道・高野山

一方内陸の熊野古道や高野山は、欧米人観光客に人気です。高野山では、日本古来のスピリチュアルな世界や文化を体験できる宿坊への宿泊が注目を集めています。関西の玄関口・関西国際空港高野山を結ぶリムジンバスの運行が開始されたことから、アクセスの利便性が向上し、今後さらなる観光客の増加が見込まれるエリアです。

熊野古道は2004年に紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産に登録されたことや、ミシュランのグリーンガイドの日本版で熊野古道・熊野三山・熊野本宮大社が3つ星を獲得したことを機に認知が拡大し、インバウンドが急増しました。

「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼道」を有するスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ市と和歌山県田辺市が「観光交流協定」を締結し、2015年より「共通巡礼手帳」の発行を開始したことから、とりわけ欧米人観光客が増加しています。

まとめ:二次交通の利便性向上と地域の多様な魅力発信で戦う和歌山県

和歌山県は、首都圏からのアクセスが決して良いとは言えない立地ながら、空港からのアクセスや県内の人気観光地周遊の利便性向上に努めており、リピーターだけでなく訪日旅行初心者も訪れやすいのが特徴です。

フルーツ狩り体験高野山の宿坊体験、熊野古道に南紀白浜のビーチリゾートなど、地域が持つ多種多様な魅力を、ターゲット市場別に効果的にプロモーションしていると言えるでしょう。「空港無し」の観光地ながらインバウンド誘致に成功している例として、和歌山県の今後の動向には注目していくべきでしょう。

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<参照>

・事業構想:シームレスな広域観光でインバウンド拡大 人口流出減に繋ぐ構想を

・JTB INBOUND SOLUTION:SAVOR JAPAN 和歌山県紀の川市

・訪日ラボ:和歌山県のインバウンド需要

・DiG JAPAN!:中国人が訪れる日本の聖地はここ!外国人に人気の観光スポットー中国編

・産経WEST:和歌山の外国人宿泊者数急増、6割が中華圏 旅行会社売り込み作戦奏功

・和歌山県;和歌山県の観光

・日経XTREND:和歌山の山村に外国人観光客が急増するワケ

・JNTO:多くの外国人を集める熊野本宮観光協会の取り組みと課題

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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