新型コロナウイルス対策どうする?春節インバウンド市場盛り上がりを前に高まる不安:「武漢封鎖」感染拡大阻止に中国政府が動いた

公開日:2020年01月23日

新型コロナウィルスについて、もっとも心配されていたヒトからヒトへの感染が確認されました。世界保健機関(WHO)は22日、専門家による緊急委員会を開き「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるかどうか協議しましたが、現在の情報だけでは判断が難しいと緊急事態宣言の発令を延期しました。

一方、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染源地である武漢市は、感染拡大を阻止するために本日の現地時間10時から武漢市を閉鎖すると発表がありました。中国国内の薬局などではマスクの売り切れが起こるなど、大きく状況が変動しています。

新型コロナウィルスに関する最新動向とインバウンド事業者として求められる対応に加え、武漢市の海鮮卸売市場で最初に感染が確認された患者が、その後どうなったかについてもお伝えします。

関連記事
韓国版「マスクマップ」登場!
アメリカ、フランスのディズニーも続々閉鎖!
【速報】WHO「新型コロナウイルスはパンデミック」
新型コロナマップまとめ

ついにヒトからヒトへの感染が確認

中国内陸部の湖北省武漢市で集団発生している新型コロナウィルスについて、ヒトからヒトへの感染例が確認されたことが分かりました。

これは20日に、中国の感染症研究者の第一人者であり、新型肺炎を調査する中国衛生当局の専門家チームのトップでもある鐘南山氏が、国営中央テレビ(CCTV)で明らかにしたものです。

世界保健機関(WHO)は、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるかを判断するための緊急会合を22日に開きました。この日は緊急事態宣言には至らず、23日も協議を継続することが決まっています。

もし緊急事態宣言が出されれば、コンゴで発生したエボラ出血熱以来の深刻な事態となります。

【春節本番】中国OTA「キャンセル無料」で新型コロナウイルスを武漢に封じ込め:日本のホテルで宿泊キャンセルは?対策を調査

中国で流行している新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、春節連休で旅行を楽しみにしていた人々に影響が出ています。感染源地である武漢市が23日に封鎖され、続いて武漢市と隣接する黄岡市の当局も鉄道などの公共交通機関の運行を24日に停止すると発表されています。さらに各国で航空機の運行を取りやめるなどの対応も出ています。日本政府は、24日付けで中国の武漢を含む湖北省全体に対する「感染症危険情報」をレベル1からレベル3に引き上げており、ここからも事態の深刻さがうかがえます。ここでは、1月2...

「ウイルス変異」「スーパースプレッター」出現の懸念と感染者の傾向

中国の国家衛生健康委員会の会見では、ウイルスが変異する可能性があると発表しました。また世界保健機関(WHO)の会見では、新型コロナウイルス(COVID-19)にかかった患者の傾向についても言及がありました。

ウイルス変異の可能性と「スーパースプレッター」出現の懸念

新型コロナウイルス(COVID-19)はSARSと遺伝子が似ているため、ヒトからヒトへの感染が拡大することによって変異するのではないかと危惧されています。ウイルスが変異することにより、人へ感染しやすくなる可能性が高まりさらなる拡大が懸念されています。

世界保健機関(WHO)発表では、感染源から感染した第一世代、その第一世代から感染した第二世代(家族や医療従事者など)の確認はされているものの、第二世代から感染した人は確認されていないということです。ウイルスの変異により第二世代から感染した第三世代が確認されるかが、注目されています。

ウイルスの変異とは別に「スーパースプレッター」の出現も危惧されています。「スーパースプレッター」とは1人から10人以上へ感染する感染源のことで、持病がある、免疫が下がっている人の体内でウイルスが繁殖し、多くの人に感染する現象です。

感染者の傾向

世界保健機関(WHO)の会見では、感染者には下記の傾向が見られると発表されています。

  • 全体の約72%が40歳以上
  • 全体の約40%が循環器系や糖尿病などの持病がある

ただし先ほども述べたように、今後感染が拡大することによりウイルスが変異する可能性があるので注意が必要です。

中国政府の対応は?

新型コロナウィルスの感染拡大と人から人への感染が確認されたことを受け、中国政府で取られている対応について紹介します。

「武漢封鎖」現地時間10時から

中国湖北省武漢市は23日に、空港や鉄道駅を閉鎖し、交通機関の運行を停止する事実上の移動制限すると発表しました。バスや地下鉄、フェリーなども運行しなくなるようです。

中国政府は感染拡大の勢いを完全に封じ込めるため、2003年に世界で感染拡大したSARSと同様の対策に乗り出しました。

このことを受け、全日空は23日夕方に成田から武漢へ向けて出発する便を欠航する調整をするなど、影響が広まりつつあります。

22日までの対応

武漢市内では白い消毒液が気体にして撒かれる、武漢発着の鉄道・航空チケットのキャンセル料を取らない、武漢市内への出入りを制限するなどの措置が取られています。

武漢封鎖が発表されるまでは、特別な理由がない限り武漢市には行かない、武漢市から出ないことが求められていました。

また習近平国家主席は、ウィルスの感染拡大の阻止に向け、対策を取るよう指示しました。

日本の水際対策にも変化が

日本では水際対策として、空港の検疫ブースに設置したサーモグラフィーで発熱者をチェックするなどの対策を取ってきました。感染の拡大を受け、日本の対策にも動きが出ています。

厚労省、水際対策を強化する方針

感染拡大を受け、厚労省は水際対策をさらに強化する方針を明らかにしました。

具体的には、武漢市から飛行機で入国する人に対し、健康状態を把握するため症状に関する質問票を新たに配布します。さらに武漢に加えて上海からの航空便でも、発熱などの症状がある場合は自己申告を求める機内アナウンスを流すということです。

外務省から感染症危険情報出される

外務省は、中国について「レベル1」の感染症危険情報を発表し、感染予防に努めるよう呼び掛けています。感染症危険情報とは、危険度の高い感染症に関し、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域について発出される海外安全情報です。

感染状況まとめ

急速に拡大を続ける感染の状況について、最新の情報をまとめました。

アメリカ、マカオ、香港にも感染広がる

国営中央テレビは、23日未明までに新型コロナウィルスによる肺炎の発症者が全国で540人以上確認されたと報じています。さらに湖北省当局は22日夜、死者数が17人に上ったことを明らかにしました。

感染者は主に武漢に集中しているものの、中国の他の都市や、タイ、日本、韓国、アメリカ、台湾、マカオ、香港でも確認されています。

21日、米保健当局はワシントン州の男性が新型コロナウィルスに感染していることを確認しました。

さらに台北の保健当局が台湾で初の感染が確認されたと明らかにし、感染者は武漢で働いていた50代の女性としています。

加えてフィリピン保健省は、12日に武漢からフィリピン中部セブを訪れた中国人の5歳男児から、コロナウィルスが検出され、新型の疑いも視野に調査が進められていると発表しました。

22日には、マカオを訪れた武漢の52歳の女性が現地の病院で感染が確認されました。さらに香港の衛生当局は中国本土から高速鉄道を利用して香港を訪れた男性から、新型コロナウィルスの陽性反応が出たと発表しています。

「家族とすら会えない…」市場の感染者のその後

連日報道されるのは感染拡大に関するニュースが中心ですが、現在は閉鎖されている、武漢市の海鮮卸売市場で最初に感染が確認された患者についても、一部で報じられています。

完全隔離で家族も面会できず

武漢市内で感染したある患者は完全に隔離され、家族さえ面会できない状況が続いています。患者が隔離されている病棟の扉には、「午後3時から4時までにまとめて生活用品を届けるように」と張り出されています。

家族は直接面会もできず、病室にも入れず、持ってきたものを職員に渡すだけという状況を強いられています。

高額医療費に苦しむ患者も

武漢市はこれ以上の感染拡大を阻止すべく、健康保険の範囲内で医療費を負担するほか、後にかかる全ての医療費を武漢市政府が負担すると発表しました。

しかし感染が確認された初期の患者やその家族には、治療費の負担も重くのしかかっています。

ある患者は入院前払い金を1万元(約16万円)支払い、さらにこれ以外にも合計で約69万円支払っています。

月給が約8万円だというこの患者にとってはかなりの高額となり、今後の治療費についても不安を隠せない様子だったといいます。

どうすればいい?インバウンド事業者に求められる対応

ついにヒトからヒトへの感染が確認され、インバウンド事業者にも不安と混乱が起こっています。

箱根の駄菓子屋では、感染を防ぐためとして中国人の入店を禁止するという出来事がありましたが、人種差別だとして批判の声も出ています。感染防止の対応と人種差別の区別はしっかり行うことが重要です。

感染予防の対策

新型コロナウィルスがどのように感染するのか、現時点で詳細は分かっていません。ただ、SARSなど他のコロナウィルスの場合、感染者が咳やくしゃみによって発した飛沫の中にウィルスが含まれており、それを口や鼻から吸い込むことによって感染する可能性があります。

日本で感染が確認された男性は、武漢で詳細不明の肺炎にかかった人と「濃厚接触」があったと報じられていました。賀来満夫・東北大名誉教授(感染制御学)によれば、濃厚接触の定義は明確でないものの、1~1.5メートル以内の距離で感染者と相対し、目安として30分以上共に過ごす場合が当てはまるとされています。

賀来教授は、

手に付着したウイルスを取り込まないように、むやみに顔面を触ることを避け、手洗いを徹底してほしい

と話しています。そのためこまめな手洗いや消毒、うがいを行うと良いでしょう。さらに人が触れることが多い扉のノブなどの殺菌も感染予防に有効でしょう。

またマスクの着用は効果が立証されてはいないものの、

飛沫を取り込む可能性を一定程度下げると考えられ、リスク低減につながる

と話しています。

現時点では感染方法について不明な点も多い新型コロナウィルスですが、現時点でできる対応として、手洗いやマスク着用などの基本的な衛生管理を徹底してくことが重要です。

急速な感染拡大により、情報は日々目まぐるしく更新されているため、信頼性の高い情報やニュースをこまめに確認するなどして、最新の情報を把握し対応していく必要があるでしょう。

<参照>

CNN.co.jp:新型コロナウイルス、人から人への感染を確認 中国専門家

CNN.co.jp:新型コロナウイルス 中国での死者6人、患者は300人超に

産経新聞:WHO緊急委員会 23日も新型肺炎「緊急事態」めぐり協議継続

The Wall Street Journal:新型コロナウイルス肺炎、米国で初の感染者

時事通信社:新型肺炎、香港でも陽性患者

MBS News:マカオで新型コロナウイルス肺炎の発症者を初確認

togetter:箱根の駄菓子店が「中国人は入店禁止」の張り紙でヘイトスピーチと批判

NHK News Web:新型コロナウイルスへの対応 日本国内では

外務省:中国における新型コロナウイルスの発生

朝日新聞Digital:国内で新型肺炎、濃厚接触とは 口や鼻から吸い感染か

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!