中国で流行している新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、春節連休で旅行を楽しみにしていた人々に影響が出ています。
感染源地である武漢市が23日に封鎖され、続いて武漢市と隣接する黄岡市の当局も鉄道などの公共交通機関の運行を24日に停止すると発表されています。
さらに各国で航空機の運行を取りやめるなどの対応も出ています。
日本政府は、24日付けで中国の武漢を含む湖北省全体に対する「感染症危険情報」をレベル1からレベル3に引き上げており、ここからも事態の深刻さがうかがえます。
ここでは、1月24日17時時点の新型コロナウイルス(COVID-19)の現状と中国国内での対応についてお伝えします。
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830人が感染、25人が死亡…死者の多くは高齢者
中国国家衛生健康委員会は、中国国家衛生健康委員会の発表によれば、2020年1月23日時点での感染者の数は830人、死亡者の数は25人です。
死者の多くは48歳から89歳の中高齢者で、糖尿病などの基礎疾患を抱えている患者だったとのことです。若年層にも感染者は存在しますが、多くがすでに退院しており、重症化は見られないと伝えられています。
武漢市は「移動制限措置」発動、中国国内の対応は?
武漢市は1月23日午前10時より全ての交通機関を停止させる移動制限措置を発動しました。
これにより武漢の空港や駅は閉鎖され、武漢発着や武漢経由の飛行機、鉄道、高速バスや、武漢市内の地下鉄や路線バスは全て運休となっています。
合わせて、武漢市内の学校などは春節の休みを前倒しにするなど対策を講じており、多くの企業や店も営業を停止しています。
さらに武漢市と隣接する黄岡市も鉄道などの公共交通機関の運行が停止され、感染拡大を阻止する対策が取られています。
武漢市は観光名所も多く、春節の休みに合わせて武漢旅行を計画していた人も少なくありません。
こうした旅行者は武漢の封鎖により、予定をキャンセルせざるを得ない状況となりました。
現在、各旅行会社や交通機関などはキャンセルの対応に追われていると考えられます。
中国の旅行会社、配車プラットフォームの動きについてWeiboから情報を確認しました。
Ctrip、Qunar「無料でキャンセルを受け付ける」
中国最大のOTA(オンライン旅行会社)であるTrip.comグループ(2019年10月にCtripから社名変更)のCtrip(携程、シエチェン)と、主要OTAの一つであるQunar(去哪児)は、Weiboに開設する公式アカウントにおいて、1月21日から1月31日に武漢旅行を予約していたユーザーから手数料を取ることなくキャンセルを受け付けると発表しています。
また、ユーザーが新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した場合にも無料キャンセルの対象になることを合わせて伝えています。
Ctirp(携程、シエチェン)とは
Trip.comグループ(2019年10月にCtripから社名変更)のCtrip(携程、シエチェン)とは、中国最大のオンライントラベルエージェンシー(OTA)です。中国国内だけでも約3億人が利用するサービスで、海外向けのサービスTrip.com(国際版Ctrip)も展開しています。中国では年々海外旅行に出かける人が増えており、その旅行形態も、大人数で行く団体旅行から少人数の個人旅行へと変化しています。個人で旅行を計画するときに、多くの中国人がこのCtirp(携程、シエチェン)を利用していま...
タクシー配車サービスの滴滴出行「武漢市内でのサービスを停止」24日から
中国国内でシェアライド・タクシーの配車サービスを展開する滴滴出行は、現地時間の1月24日正午をもって武漢市内におけるサービスの提供を一時的に停止することを、同じくWeiboの公式アカウントを通じて発表しています。
滴滴出行のプラットフォームを利用するドライバーに対しては、できるだけ早く家に戻り、身の回りの安全を確保するように呼びかけています。サービスを再開する時期は政府の指示により決まるため、現時点では未定です。
中国でUber超えの配車アプリ「滴滴出行」とは?ソフトバンクと提携で日本進出、インバウンド影響は
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日本インバウンド業界の対応は?ホテル「注意喚起を徹底」
日本でもすでにコロナウイルスに感染した患者が2名確認されています。
16日に武漢滞在歴のある神奈川県在住の中国人男性、24日に武漢から観光に訪れた中国人男性がそれぞれコロナウイルス陽性と診断されました。
春節の時期には多くの中国人が日本を訪れるため、インバウンド業界ではコロナウイルスを国内で拡散させないための対応を迫られています。
訪日ラボでは株式会社阪急阪神ホテルズに対し独自で電話取材を行いました。
担当者によれば、コロナウイルスに関連する旅行のキャンセルについてはまだ発生していないそうです。
ウイルスの拡散を防ぐため、スタッフのマスク着用・うがい手洗いの徹底・健康チェック表の確認・消毒スプレーの常備・各所の消毒など、普段から行っている健康管理や消毒を更に強化しており、加えて、体調の悪い宿泊客には近隣の病院を受診するよう促す対策をとっているとのことでした。
また別の都内ホテルにも同様に電話で話を聞いたところ、「新型コロナウイルス(COVID-19)が流行しているため体調の悪い宿泊客はスタッフまで申し出るように」という内容の文書を掲示していることがわかりました。
中国国内と日本の空港では、体温測定などの検査を今まで以上に強化しています。
訪日旅行客の中には、武漢に滞在歴のある中国人も含まれると考えられます。
また、訪日外国人の利用が想定される店舗や施設は増えています。
こうした場所では、消毒や健康管理だけでなく、体調の優れない観光客の病院への誘導を通じて、新型肺炎患者が拡散するリスクを低減させるよう努めることが必要でしょう。
<参照>
AFPBB:https://www.afpbb.com/articles/-/3264953
Bloomberg:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-23/Q4KQ4JDWX2PZ01
Bloomberg:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-23/Q4JCT8T1UM1301
PRIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000034124.html
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54781090U0A120C2CE0000/
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