実は香港には、イギリスの海外市民パスポートを保有している人が多くいます。
香港は1997年に中国返還が果たされるまで、150年以上の間イギリス領とされていました。
そのため返還前から香港に住んでいた人に対しイギリスは、返還前に申請していれば海外市民パスポートの保有を認めています。
150年の長きにわたりイギリス領としての統治下にあった香港では、英語教育にも力を入れていたので多くの香港人が英語を話せるようです。
この記事では、香港人の英語力や特徴、インバウンド消費から読み解く対策ポイントについてみていきます。
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香港人は英語が話せるのか
イギリスの植民地だった香港は、今も英語が公用語とされているため、香港人は誰でも英語が上手でペラペラ話せるというイメージを持つ方が多いようです。
第二外国語として小学生から英語教育が始まり、中学、高校と話すことに重点においた授業が行われる香港では、英会話力のレベルは日本より高いといえます。
しかし実際に生活のベースになっているのは広東語で、観光地や外資系企業が多い市街地など、英語が使われる機会は限定的な部分もあります。そのため、郊外などの地域では広東語しか通じないケースもみられます。
香港人が話す英語の特徴
香港人の英語は、母語の広東語の影響もあり、アクセントや発音に独特のくせがあると感じる人もいるようです。
例えば、アクセントは音節ごとにあらわれ、toilet「トイレット」のように、単語の後ろを強く発音する傾向があります。
発音では語尾の子音の発音をしないことが多く、「east」「イー(ス)」、「stop」「ストッ」などと聞こえ、香港人の英語に慣れていない日本人にはやや聞き取りにくいようです。
イギリス植民地だったため英語が浸透
150年以上続いたイギリス植民地時代の香港では、英語教育は幼稚園段階から始まり、多くの公立学校で英語での授業がおこなわれていました。
そのため30代以上の世代は、英語が話せる人が多いと言われています。しかし1997年の中国返還後は母語教育が見直され、普通話(北京語)教育に力を入れた体制に変わりました。
現在も英語は公用語のひとつではありますが、日常ではあまり使用せず、基本的にビジネスなどの場面で使われる言語になっています。
その後、香港が中国に返還されると、公用語としての英語は使われることが少なくなり、英語力の低下を招く結果になりました。
そこで中学校では返還直後から導入されていたNET(Native English Speaking Teacher)を、2002年からは小学校でも導入するようになりました。
言語面以外でもイギリスの影響は色濃く残っており、受難節(グッド・フライデー)、復活節翌日の月曜日(イースター・マンデー)といった祝祭日が制定されています。
香港人の特徴
中国返還後も社会主義の影響を受けず、資本主義経済のままの香港は、中国とは異なる社会体系のため、同じ中華系の民族といっても国民性や消費行動にかなり違いがあります。
ここでは、訪日客数の伸び率が高い香港人の特徴やインバンド消費の傾向を詳しくみていきます。
香港人としてのアイデンティティ
イギリス統治が長く続いてきた香港人にとって、中国に返還されたとはいえ中国人としてのアイデンティティは弱いようです。
文化や慣習も中国人と異なることが多く、香港人としての意識が強い傾向にあります。
香港人の特徴としては自立心が強い、考え方が自由で進歩的、家族、友人への愛情が深い、流行に敏感などが挙げられます。
また拝金主義なところもあり、投資や資産運用などお金を増やすことに長けています。日本では少し遠慮がちになるお金の話もオープンで、何かあれば値段を聞かずにいられない性分のようです。
意思表示がハッキリ
香港人は、じっとしているのが嫌いで、常に動いていないと気が済まない人が多く、せっかちといわれています。
仕事だけでなく、しゃべり方や歩き方も、日本で目にするスピードと比較すると、とても早く感じます。
またイエス・ノーの意思表示がはっきりしていて、相手にも同じような態度を求める傾向があります。
インバウンドで注目の特徴
訪日香港人の買物場所はコンビニエンスストア、ドラッグストアはもちろんですが、百貨店での買物も人気があります。
化粧品や衣服のほかに宝石・貴金属も人気が高く、お金にシビアな反面、好きなものにはしっかりお金を使うといった傾向があります。
また香港人は「限定」や「無料」の言葉に弱く、キャラクター商品や菓子などはとても人気があります。
ほかにもエンターテイメントなどへの関心が高いため、日本で開催されるイベントやセールに合わせて訪れる人たちもいます。
訪日香港人への対策にはここに注意!
訪日香港人のインバウンド対策を、インバウンド訪日香港人の再訪数、日本滞在における観光スポット、訪日の際の情報源について過去の統計からみていきます。
約86%は日本に2回以上訪れているリピーター
2018年の訪日香港人の訪日回数をみると、日本に初めて訪れる訪日香港人観光客は全体のわずか15%程度で、残りの85%はリピーター客が占めています。
さらに日本ー香港間のフライトの選択肢が大都市以外にも増えたことで滞在期間が延び、旅行日程は4~13日間がほとんどとなり、3日以下の旅行をする人は2%ほどになっています。
そのため、定番の観光スポットより穴場スポットを楽しんだり、各地をめぐる旅行を楽しむ人が増えてきています。
食べ物や自然が人気
訪日香港人の観光目的は、日本食を食べることが96.1%、ショッピングが90.0%、自然・景勝地観光が76.2%、繁華街の街歩きが75.4%となっています。
香港では食べる機会の少ない生食できる新鮮な海産物や繊細な味が楽しめるフルーツなどを喜ぶ人も多いようです。
また雪や桜、紅葉などの日本の四季が感じられる自然を楽しみに訪日する観光客も少なくありません。
エコツーリズムとは
近年、産業の持続可能性への関心の高まりから、エコツーリズムが話題となっています。日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)が企画する「第5回ジャパン・ツーリズム・アワード」でも、こうした観点から社会性の高い取り組みの評価された組織がノミネート、表彰されています。インバウンド市場が拡大する現代の日本においても観光事業は経済の根幹を担う重要な要素の1つで、エコツーリズムは押さえておくべき基本概念と言えるでしょう。この記事では、エコツーリズムの概要、歴史や関連法、イ...
情報源はSNSやWebページ
香港人が訪日旅行前に役立ったと感じた旅行情報源は、個人のブログが31.0%、JNTO(日本政府観光局)Webサイトが26.2%、旅行専門誌が23.6%、SNS(Facebook/Twitter/ 微信等)が22.0%となっています。
なかでもSNSはここ数年で急激に増加しているツールで、今後も数字の伸びが高まると考えられます。SNSツールにはさまざまな種類がありますが、微信(WeChat)よりFacebookやInstagramが多く使われているようです。
香港のSNS利用状況
近年SNSを利用して訪日観光客を集客するプロモーション方法が注目されています。海外に向けてSNSで発信する際に気をつけるべきことはターゲットとする国のSNS事情です。もし発信に利用しているSNSがターゲットとする国で人気がなかった場合、集客効果は期待できません。そこでこの記事では「香港」におけるSNS事情や利用状況、実際にSNSを利用してプロモーションを行っている事例について紹介します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客...
繁体字が香港人には有効な言語対応
中国語には、大きく分けて中国本土やシンガポールで使用されている「簡体字」と、香港やマカオ、台湾で使用されている「繁体字」の二種類があります。
簡体字と繁体字ではそれぞれの表記方法が大きく異なるため、訪日香港人向けの印刷物や案内などでは「繁体字」の表記を使用すると良いでしょう。
また同じ「繁体字」でも、香港と台湾では、同じものを指す場合でも表現方法や用語が異なる場合があります。
ある程度意味は通じるものの、日常香港で使用しない単語が混ざっていると違和感を感じてしまいます。
誤解を防止するためにも、訪日香港人向けのインバウンド対策としては、ビデオや音声案内は広東語を使用し、印刷物は中国語繁体字を使用するのが有効と言えるでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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