富山県のインバウンド事情は?訪日観光客数1位は台湾人・多言語対応で不安を解消した事例を紹介

立山黒部アルペンルートや黒部渓谷など美しい豊かな自然、白エビ、氷見ぶりなど海の幸に恵まれたグルメ、多くの美術館や博物館など、いろいろな楽しみ方ができる富山県は日本でも有名な観光地です。

しかし、訪日外国人観光客数は全国で25位と、決して多いとは言えません。

今年は暖冬とあり、富山県でもスキー場に雪が不足しており深刻な事態となっています。2020年2月16~19日には冬季国体「とやま・なんと国体2020」が予定されていますが、十分な雪が積もるのかが現地での大きな関心ごととなっているようです。

富山県ではさまざまなインバウンド対策に取り組んでおり、近年では着実に訪日外国人観光客数の増加を実現しています。この記事では、富山県のインバウンド事情と対策の事例をみていきます。


富山県の特徴は?

黒部渓谷、世界遺産五箇山(ごかやま)、ます寿司、氷見ぶりなど、豊かな自然とグルメが楽しめる富山県は、どの季節も魅力があふれる観光地です。

北陸新幹線の開通により、東京駅から富山駅までの所要時間は約2時間10分になりました。飛行機では羽田空港から富山きときと空港までの所要時間は1時間と、どちらの交通手段でもアクセスしやすくなっています。

富山県の名産・グルメ

日本海に面した富山県は、「天然のいけす」とたとえられるほど海の幸に恵まれています

富山湾の宝石と呼ばれる白エビ、富山湾の王者と呼ばれるひみ寒ブリ、高志の紅ガニやホタルイカ、江戸時代より富山藩の献上品とされていたます寿司など、「とやまブランド」としてその魅力を広く全国へ発信しています。

また富山のソウルフードでは、醤油が多めでしょっぱさのある富山ブラック、弾力感のある氷見うどんを使用した糸庄の「もつ煮込みうどん」、ぶつ切りにしたタラを味噌で煮込んだ漁師飯のたら汁などが人気です。

人気の観光地は?

豊かな自然環境に恵まれいている富山県では、美しい四季の移り変わりが楽しめます。

日本最大級のアーチ型ダムから水が流れ落ちるさまが大迫力の黒部ダム、日本一深いV字型の黒部峡谷や渓谷美が満喫できるトロッコ列車、世界遺産に認定された五箇山の合掌造り集落などは人気の高い定番の観光スポットです。

また世界的な建築家の隈研吾氏が設計を手掛けた複合施設「TOYAMAキラリ」内にある富山市ガラス美術館、前田利長が使用したといわれる140cmの高さの兜が展示されている、富山城址公園内にある富山市郷土博物館、ホタルイカ発光ショーが楽しめるほたるいかミュージアム、ますのすしミュージアムなどの文化施設も人気があります。

富山県のインバウンド事情を解説

富山県のインバウンド事情について、訪日外国人の割合やインバウンド消費金額から読み解いていきます。

富山県のインバウンド事情は、こちらのページにグラフや表でまとめられています。

富山県のインバウンド需要

富山県は訪日外国人の訪問率や訪問数は一般的な数値か、それ以上となっており、決してインバウンド需要の少ない県ではありません。

台湾からの観光客が圧倒的

▲調査方法:「訪日外国人消費動向調査(2018年)訪問地別1人1回当たり旅行消費単価」および「同 国籍・地域別費目別購入率および購入者単価」より訪日ラボ推計
▲調査方法:「訪日外国人消費動向調査(2018年)訪問地別1人1回当たり旅行消費単価」および「同 国籍・地域別費目別購入率および購入者単価」より訪日ラボ推計

富山県を訪れる訪日外国人は、台湾からの観光客が圧倒的に多く、2018年は全体の51.67%と、ほぼ半数を占めています。

2位は韓国の12.71%、3位は香港の10.14%、4位は中国の7.36%と続き、アジア圏だけで8割を超える結果となっています。

このことから台湾やアジア諸国を中心としたインバウンド施策が、集客の増加に有効といえるでしょう。

インバウンド「1人1回当たり旅行消費単価」はシンガポールが多い

▲調査方法:「訪日外国人消費動向調査(2018年)訪問地別1人1回当たり旅行消費単価」および「同 国籍・地域別費目別購入率および購入者単価」より訪日ラボ推計
▲調査方法:「訪日外国人消費動向調査(2018年)訪問地別1人1回当たり旅行消費単価」および「同 国籍・地域別費目別購入率および購入者単価」より訪日ラボ推計

富山県に来ている訪日外国人の割合に比例して、インバウンドの消費金額が全体で一番多いのは台湾です。

ですが「1人1回当たり旅行消費単価」では、第6位に位置するシンガポールが、41,751円で1位になっています。

消費金額の内訳は、宿泊費が15,300円、買物費が10,075円、飲食費が10,006円となっており、シンガポール人は宿泊費に多くお金をかける傾向です。

次に消費金額の多い中国人は、買物での消費が多い傾向になっています。

インバウンド対策の事例を紹介

訪日台湾人の多い富山県では、インバウンドの獲得に向けて受け入れ体制の強化や環境の整備など、台湾人向けの施策を中心としつつ、そのほかの訪日外国人の誘客活動にも力を入れています。

ここからは富山県がおこなっているインバウンド対策の事例をみていきます。

台湾インバウンドプロジェクト

多くの台湾人観光客が富山県を訪れているものの、集客は一部の有名観光地に留まっていました。そのため県内の各自治体も独自の活動を行い、観光客誘致に力を入れるようになりました。

富山県魚津市では、2014年度から台湾人向けのインバウンド施策として、飲食店メニューを「繁体字」対応にしたり、台湾人スタッフを雇用するなど、訪日台湾人の受け入れ態勢を強化してきました。

その後、視察ツアーの交流やSNSを利用したプロモーション、台北で行われる観光イベントへの参加など、地域団体や企業を巻き込んだ取り組みに広げていくことで認知度をあげ、訪日台湾人の増加につなげています。

豊富な多言語案内パンフレット

富山県のホームページでは、訪日外国人向けにさまざまな言語に対応した観光案内を掲載しています。

「Toyama」は英語、フランス語、繁体字、簡体字、韓国語、ロシア語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語の9種類があります。

また「Toyama Japan」は韓国語・中国語(繁体字)、英語・中国語(簡体字)、英語・タイ語の3種類があり、どちらもPDF形式で観光スポット、伝統、アクセスなど富山の情報が詳しく掲載されています。

「ポケトーク」72台導入

富山県は、外国人住民数が5年連続で増加していることから、外国人住民の受入整備の一環として、2019年9月9日から「POCKETALK(ポケトーク)W」を72台導入しています。

「POCKETALK(ポケトーク)W」は世界74言語に対応した、手のひらサイズの音声翻訳機で、話しかけるだけで通訳を介せずに対話ができます

設置場所は、富山県内の各消費生活センター、各厚生センター、各警察本部などです。

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多言語対応で満足度アップ

訪日外国人の受入体制や環境の整備など、台湾を中心としたインバウンド施策の効果が徐々に見えてきているようです。

今後は多言語による対応やSNSを利用したプロモーションの強化といった施策が、そのほかのアジア諸国や欧米の訪日外国人の集客増加につながっていくでしょう。

北陸新幹線の開通により訪日外国人の集客が増えており、また2020年には東京オリンピックも控えています。

今後のインバウンド施策により、訪日外国人の満足度が高まれば、富山県だけでなく、北陸地方全体のさらなる集客の増加が見込めるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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