訪日外国人を歓迎できないのはどの世代?欠かせない「食」「宿泊」発想転換で商機をつかんだラブホテル【JTB調査レポート2019】

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JTB総合研究所が「進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)」の調査結果を発表しました。

このレポートでは現代社会の国内旅行者の動向についてまとめられており、増加傾向を見せる訪日観光客が与えた影響なども記述されています。

今回は訪日旅行がどの様に国内旅行者に影響を及ぼしているのか、インバウンド担当者目線で考察してみます。


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JTB「日本人の国内旅行(2019)」レポート

消費者の消費行動と旅行の関連性をリサーチする目的で行われた本レポートは、JTB総合研究所が不定期に行っているアンケート調査で、昨今のテクノロジーの導入や新サービスがどの様に観光業界に影響を及ぼしているのかをみることができます。

進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)調査概要

調査方法:インターネットアンケート調査
対象者:過去 1 年間(2018 年 9 月以降 2019 年 9 月まで)に 1 泊以上の国内旅行(業務旅行も含む)をした、全国に居住する 20~69 歳の男女 30,000 人(スクリーニング)、2,062 人(本調査)
調査時期:2019 年 9 月 10 日~9 月 13 日

国内旅行人口と消費額は?「旅行者の減少」でも「消費額の増加」

国内の観光業界は、近年盛り上がりを見せている訪日外国人による観光需要だけでなく、国内旅行市場にも変化が現れています。

日本の人口は2008年をピークに減少し続けています。2019年1月の統計では1億2,632万人と前年同月比マイナス27万人であり、少子化高齢化が進んでいます。

そのあおりを受け、国内旅行を楽しむ旅行者も減っています。2018年は日帰り旅行と宿泊旅行を合わせた総数は5,617万人と、前年と比べ約860万人も減少しました。

しかしながら「国内旅行消費額」に焦点を当ててみると、旅行をする人は減少しても一人当たりの消費額は若干の上昇傾向のあることがわかります。

▲[日本人の国内延べ旅行者数の推移、日本人国内旅行消費額の推移]:JTB総合研究所・進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)より
▲[日本人の国内延べ旅行者数の推移、日本人国内旅行消費額の推移]:JTB総合研究所・進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)より

観光庁が11月に発表した最新情報によると、2019年7-9月期の日本人国内旅行消費額(速報)は6兆6,336億円(前年同期比3.0%増)で日本人国内旅行の1人1回当たり旅行単価(速報)は39,497円/人(前年同期比0.4%増)に上っています。

860万人もの旅行者数の減少にもかかわらず、前年同期と比べ若干の増加傾向を見せています。

訪日外国人に対して思うこと:40代はネガティブ、若年層では歓迎ムード

アンケートの中では「最近国内旅行で感じたこと」というアンケートも実施しています。

訪日外国人の増加に伴い、日本の良さを再認識し新たに観光したい場所を見付けるなどポジティブな意見がある中で、観光地の混雑具合や宿泊施設について不満に思う意見が上がりました。

ネガティブな意見は40代以降に多く、知的好奇心が盛んな若者世代は経済面、文化面ともにメリットがあるとして、訪日外国人にも比較的寛容な考えを持つことがわかりました。

▲[最近、国内旅行について感じること(訪日外国人旅行者の増加による影響)]:JTB総合研究所・進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)より
▲[最近、国内旅行について感じること(訪日外国人旅行者の増加による影響)]:JTB総合研究所・進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)より


日本人の京都離れのニュースをシェアするTwitter投稿

Twitter:日本人の京都離れのニュースをシェアする投稿(https://twitter.com/chirolin4/status/1209934071846989824)

訪日外国人増加で「食」「宿泊」に商機、ラブホテルが人気を博す?!

訪日外国人の増加で、国内旅行者にとって人気の観光地など旅行しづらくなったなどネガティブな声がよく聞かれます。

しかし訪日外国人の滞在は、日本国内の様々な業界にとって、売上の拡大につながる要因となります。

特に「食」「宿泊」については観光客にはかならず必要なものです。実際に訪日外国人の増加した2011年から2018年にかけて、客室稼働率は10%以上上昇しています。

▲[訪日外国人旅行者の増加による影響]:JTB総合研究所

なかでも「ラブホテル」産業は思わぬ形で恩恵を受けているようです。インバウンド客で連日にぎわう浅草では、その昔閉業に追い込まれたラブホテルが、インバウンド向けの宿泊施設として市場に復帰することとなりました。

会社の創業者は「外国人に日本を楽しんでもらいたい」ホステルの構想を練っていただけに、まさに目的とぴったりだった。そのため、あやしく緑に光るベッドの部屋はそのまま(この日、この部屋の予約はすでにはいっていた)。

さすがにベッドルームからスケスケのお風呂は、その窓ガラス部分はふさいだものの、純和風の派手な装飾も、もちろんそのまま。いろりも当時使用されていたもの。

(中略)

「インスタ映え」効果もあり、宿泊客のおよそ8割が外国人。いまでは冒頭のオーストラリア人一家のように、狙い通りに客の心をつかんでいる。

出典:FNN PRIME

日本人宿泊者には「オールドファッション」と受け止められていたホテルも、ターゲットが変われば「日本らしい」とポジティブに捉えられ宿泊客が急増するといった逆転劇が起きています。

インバウンドの宿泊施設利用についてのTwitter投稿
▲[インバウンドの宿泊施設利用についてのTwitter投稿]:編集部スクリーンショット

Twitter:インバウンドの宿泊施設利用についての投稿(https://twitter.com/no_saitama/status/1177956315395608576)

ホテルの客層の変化を考察するTwitter投稿
▲[ホテルの客層の変化を考察するTwitter投稿]:編集部スクリーンショット

Twitter:ホテルの客層の変化を考察する投稿(https://twitter.com/canned_aji/status/1164061307651256321)

まとめ

来年のオリンピックに向け盛り上がりを見せるインバウンド市場ですが、文化的背景の違いを理解がすすまず、時に不便や不都合を強いられていると感じる国内旅行者もいるようです。

しかし、少子高齢化により、国内消費だけでは先が細る日本経済において、大きなチャンスであることは間違いありません。

市場に関係するすべての人物が、なんの不満もなく利益やメリットだけを享受するのは、「異文化」が存在するインバウンド市場においては簡単なことではないのかもしれません。

今回紹介したような調査結果や、SNSの声を参考に、日本居住者や訪日外国人が「どこに疑問を感じるのか」「どこに不満を感じるのか」「何がうれしいのか」といった具体的なポイントをあぶりだし、解釈の手助けとなるような取り組みをすすめることで、今成長しているインバウンド市場の可能性はより高まるのではないでしょうか。

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<参考>

JTB総合研究所 進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)

観光庁 2019年7-9月期(速報)旅行・観光消費動向調査

FNN PRIME あえて“華美な装飾”はそのまま 浅草の「元ラブホ」が外国人観光客に人気上昇中

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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