訪日外国人観光客の増加にともない、ゴールデンルートでは物足りなくなった外国人観光客が地方を訪れるという傾向が見られることから、高知県はインバウンドの潜在的な需要があると推察されます。
県外観光客入込数の目標を2019年は435万人としている高知県では、さまざまなインバウンドの取り組みをしています。
この記事では、高知県のインバウンド対策やインバウンド事例について紹介していきます。
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高知県のインバウンド需要を解説
高知県の訪日外国人観光客数は、2013年からゆるやかながらも連続して増加傾向にあり、前年比の伸び率では全国を上回る数値がでています。
インバウンドでは遅れをとっている
2018年の高知県への訪日外国人観光客訪問者数は6万4,661人であり、全国第46位と低い順位になっています。
訪日外国人の割合は、1位が台湾の31.03%、2位が香港の24.28%、3位が中国の10.42%、4位がアメリカの7.95%です。
また訪日外国人宿泊者数は7万9,160人泊であり、平均宿泊数は4.7泊、こちらは全国第45位となっています。
この順位からもインバウンド需要をうまく取り込めていない実情がうかがえます。
インバウンド消費金額は高め
高知県への訪日外国人観光客訪問者数の全国順位は低いものの、1人1回あたりの旅行消費金額は4万4,921円と高く、全国第17位と順位が一気に上昇します。
インバウンド消費金額の割合は、香港が27.37%、韓国が25.29%、台湾が25.27%、中国が10.01%です。
1人当たりの消費金額では中国が25万249円と突出しており、内訳の上位は買物費が12万4,809円、宿泊費が5万3,278円、飲食費が4万4,516円となっています。
高知県のインバウンド需要
訪日外国人訪問率や訪問数、インバウンド宿泊人泊数など全国的にみてもかなりインバウンド需要が小さいことが伺える高知県。
「世界に通用する高知」目指す三つの戦略
高知県では、いちばんの強みである歴史に、食・自然を連動させた観光地づくりを推進しています。具体的な施策として、観光資源の発掘・磨き上げ、PR・プロモーション、受け入れ環境整備・リピーターの獲得の三つの戦略を展開しています。
1. 観光資源の発掘・磨き上げ
高知観光の玄関口である高知龍馬空港の整備や、アジアからの国際4路線が定期就航する高松空港と高知駅を直結する定期路線バスの運行など、アクセス環境の向上をはかっています。
また、中国の旅行会社と連携協定を結び、訪日外国人旅行客のニーズにあった旅行商品の販売を促進しています。
実際に、坂本龍馬記念館をメイン会場とした「志国高知 幕末維新博」の開催を軸として、サイクリングを中心としたスポーツツーリズムや食文化、自然体験などといった観光地づくりを進めています。
愛媛県のインバウンド事例と対策3選|「サイクルツーリズム」「道後温泉」で訪日外国人観光客誘致に成功
愛媛には様々な観光資源があり、動画によるアピールや立地を生かしたサイクリングロードなどにより、これからの訪日外国人観光客誘致に期待が集まります。中でも有名なのが松山市にある道後温泉です。現在の元号「令和」の名前の由来となった万葉集に登場する温泉で、愛媛県に関係する歌は、すべて道後温泉にかかわる歌とも言われています。この記事では愛媛県のインバウンド事情やどのような対策が行われているのかについてご紹介します。目次愛媛県のインバウンド事情は?愛媛県の訪日外国人数訪日外国人で多い国は?外国人観光客...
2. PR・プロモーション
高知県の観光資源の魅力を広めるため、テレビやインターネットなどのメディアを通して国内外に発信しています。
訪日外国人向けの観光情報サイト「Visit Kochi Japan」では、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、タイ語の5か国に対応しており、WEBサイト、Facebook、YouTubeで情報を発信しています。
ほかにも、よさこいを世界に広める「よさこい情報発信サイト」、公式の観光サポートアプリ「公式!こうち旅アプリ」などがあります。
四国DMOに向けた取り組みでは、環境省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を結び、足摺宇和海国立公園などのプロモーション活動を展開しています。
DMO インバウンド用語集
インバウンド用語 DMO とは について解説します
3. 受け入れ環境整備・リピーターの獲得
高知県では、訪日外国人観光客の受け入れ環境を整備するため、観光案内所の設置、観光地や飲食店などでの多言語表記、Wi-Fi環境の利便性向上、洋式トイレの充実などの取り組みを支援しています。
訪日外国人観光客とのコミュニケーション力の向上支援として、観光エリア別のセミナーや個別事業者向けの研修を実施し、受け入れ態勢を整えています。
増加傾向にあるクルーズ客船乗客の受け入れ態勢の充実を図り、 満足度を高めることで、高知への観光客のリピーター確保につなげるとしています。
高知県のインバウンド対策を紹介
高知県に訪れた訪日外国人観光客が、旅ナカでの情報収集がスムーズにできるよう、実際に取り組んでいるインバウンド対策を紹介します。
JR高知駅に「多言語表示 観光ウェルカムボード」を設置
表示灯株式会社と株式会社ジェイアール四国企画は、6月1日よりJR高知駅に「多言語表示 観光ウェルカムボード」を設置しています。
これは観光情報を提供するタッチパネル式デジタルサイネージで、日本語のほか、英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語に対応しています。
「多言語表示 観光ウェルカムボード」は、高知県内の主要な観光地や観光施設、バス乗り場への案内、地域のお店や施設の情報をイラストや動画で分かりやすく表示しています。
「モバイルWi-Fiルーター」の無料貸し出し
高知県内の8カ所の外国人観光案内所では、2020年3月31日までモバイルWi-Fiルーターの無料貸出しを行っています。
利用する場合は、利用者本人がパスポートを持参のうえ、8カ所の外国人観光案内所のいずれかを訪問し手続きを行うことが必要です。
貸出期間は4日間、1日の容量は無制限となっています。
24時間4言語対応「通訳コールセンターサービス」
高知県では、訪日外国人観光客の旅のサポートとして、24時間対応の多言語通訳コールセンターサービスを実施しています。
店舗や施設にて日本語が通じず質問に対応できない、店舗や施設のルールを説明できない場合に通訳が間に入り、3人で交互に会話をするサービスです。
英語、中国語、韓国語、タイ語の4言語に対応しており、県内にある観光案内所、観光協会、観光協会会員、龍馬パスポート参画観光施設等のうち、申込みのあった施設が対象になります。開設期間は、2020年3月31日までです。
四国遍路にインバウンドを誘客するには?「新時代の遍路受入態勢」報告書を発表
目次聖地巡礼旅は世界的に人気な旅スタイル宿泊施設の整備が最重要課題聖地巡礼旅は世界的に人気な旅スタイル株式会社四国銀行は6月18日「新時代における遍路受入態勢のあり方~遍路宿泊施設の現状・課題等調査~」報告書を発表しました。四国では現在、四国遍路の世界遺産登録に向けた活動を展開中です。もし実現した場合には、インバウンドの更なる増加も見込まれ、今後の受入態勢等の対策が重要となります。今回の調査は、将来の世界遺産登録を見据えたものでもあり、遍路受入態勢の現状や課題を分析しました。新時代における...
少しずつ受け入れ態勢を整えている
訪日外国人旅行者が都市部から地方へシフトしてきている傾向にあるものの、高知へのインバウンド集客はまだまだ改善の余地を残しています。
旅行出版社のロンリープラネットが公表した、2019年に訪れるべきアジア太平洋地域で、日本では唯一「Shikoku(四国)」が選ばれました。こちらを追い風とし、四国の認知度向上が期待されます。
徐々に伸びていく四国エリアの認知度向上に備え、必要な受け入れ体制を整備していくことが求められるでしょう。
四国が外国人に人気/インバウンド対応に底力、その秘訣は?【ロンリープラネットBEST IN ASIA PACIFIC】
英語の旅行ガイドブックのシェア世界一を誇る「
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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