東京オリンピックの開催を目前に、日本は訪日外国人の受け入れ環境を整えていますが、思わぬスポットが訪日外国人に人気になることがあります。
訪日外国人の間で意外な人気を博したことにより、日本人に改めて注目され、国内観光客の誘致にもつながるという現象が起きはじめています。
今回は、最近注目されているこうした現象である「リ・バウンド効果」をテーマに、リ・バウンド効果の意味や事例などを紹介します。
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リ・バウンド効果とは?
「リ・バウンド効果」は日本の観光スポットや魅力が、訪日外国人の評価を通じて再確認される動きのことです。
まずはリ・バウンド効果の意味について、より詳しく解説します。
日本の観光資源を再評価
リ・バウンド効果とは、訪日外国人の人気の高まりをきっかけに、日本人が日本の観光スポットやサービスの価値を再評価する動きを指します。
中国人による「爆買い」等でインバウンドが注目されるようになった2015年、日本の観光地が外国人に人気になったことにより、再び日本人の注目を集めるという現象が起きました。
モノ消費からコト消費へ
中国人をはじめとした訪日外国人による爆買いが落ち着きはじめたころから、モノ消費からコト消費への消費傾向の変化がみられています。
モノ消費は商品を「所有」することに価値を見いだす消費傾向のことです。つまり、商品・サービスそのものの機能に価値を見いだしています。
一方で、コト消費は、商品・サービスを通じて得られる「体験」に価値を見出しているという違いがあります。
後述する動物カフェの人気の高まりからも、「体験」に価値を見いだす訪日外国人が徐々に増えている状況がうかがえます。
「モノ消費からコト消費」の意味や種類とは?変化の理由とインバウンド対策方法を解説
世界的な消費行動の変化として、商品を購入する「モノ消費」から体験型の「コト消費」へと変化しています。 この変化は国内消費だけでなく、訪日外国人観光客のために酒造見学や田舎暮らしの体験ツアーなどが提供されている事からも変化を感じ取ることができます。 この記事ではモノ消費からコト消費へシフトしている理由とインバウンド誘致における対策方法について解説します。 インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応...
リ・バウンド効果で、各地の動物ふれあいスポットが再注目?
可愛い動物たちとふれあえる店は訪日外国人にも人気があります。近年、動物とふれあえるアニマルカフェブームの火付け役となった猫カフェをはじめ、フクロウやうさぎなど、動物たちとふれあえる施設が都内では数多く営業されています。
海外でも動物のいるカフェ自体はあるものの、その多くはあくまで喫茶店がコンセプトのメインでした。そのため、日本の動物とのふれあいを前面に押し出したコンセプトが新鮮に受け取られ、訪日外国人の間で人気を博したといわれています。こうした人気の高まりから、現在では日本式の動物カフェも海外で広がっています。
「動物とのふれあい」をコンセプトにしたインバウンド向けのプロモーションは、動物カフェに限らず国内で多くの成功事例が生まれています。
アキバフクロウ
アキバフクロウは秋葉原駅から徒歩2分の位置にある、フクロウとふれあえるカフェです。
メンフクロウやアナホリフクロウなど多くの種類のフクロウと遊ぶことができ、各種グッズも販売しています。
2017年には「トリップアドバイザー」の人気観光スポットランキングで2位を獲得しました。
JR秋葉原駅中央口改札から徒歩2分の距離に位置しており、立地の良さとそのユニークなコンセプトをもとに多数の訪日外国人の集客に成功しています。
さらに語学が堪能なスタッフが在籍していることも訪日外国人に人気を後押ししているといえるでしょう。
専属カメラマンが一眼レフで素敵な写真を撮影してくれるサービスもあり、Instagramでは、訪日外国人がフクロウと撮った記念写真の投稿も多くみられます。
こうしたインスタグラムの投稿が新たな宣伝効果を発揮し、日本人の投稿も増加傾向にあります。
「アキバフクロウ」とは?秋葉原のフクロウカフェが人気の理由・インバウンド対策を紹介
2018年、日本を訪れた外国人観光客の数は3,000万人を超え、過去最高を記録しました。さらに近年、
嵐山モンキーパークいわたやま
京都の観光地、嵐山に「嵐山モンキーパークいわたやま」はあります。
ここでは約120頭の野生のニホンザルが餌付けされており、可愛らしいニホンザルたちと間近でふれあることができます。
日本人観光客のみならず、訪日外国人にも人気のスポットとなっています。
特に頂上の展望台広場にある休憩小屋では、ニホンザルにエサを手渡しすることができる体験が人気です。
エサをあげる人間が小屋に入り、中からサルたちに餌を差し出すため、人間が檻に入っているような不思議な体験ができます。
サルは主に温帯地域や熱帯地域に生息するため、ヨーロッパや北米ではあまり身近な存在ではありません。それだけに、日本各地のサルが見られるスポットは訪日外国人の人気が高い傾向にあります。
こうした訪日外国人の人気が日本のWEBメディアで取り上げられ、日本人の目に止まる現象が起きています。
宮城蔵王キツネ村
宮城蔵王キツネ村には、約100頭以上のキツネが放し飼いされています。本施設はアジアを中心とした訪日外国人に大変人気です。
特に、冬毛のキツネの丸みを帯びた姿が人気を集めています。
宮城蔵王キツネ村は2014年頃から訪日外国人が急増し、現在では月間600名から700名ほどの訪日外国人が訪れるといいます。
2018年5月から9月まで運行し、好評を博したJR仙台駅から発着する定期観光バス「宮城蔵王キツネ村号」は、2020年冬季も運行することとなりました。
2019年の夏季では乗客の約7割が訪日外国人、そのうちの8割が訪日台湾人でした。
この訪日外国人の人気ぶりがミヤギテレビの2018年1月18日放送「OH!バンデス」内のコーナーで取り上げられ、多くの日本人にも知られるところとなりました。
人気拡大を後押しした要素とは
ここまで訪日外国人に人気の動物カフェ・ふれあいスポットを紹介しましたが、なぜここまで訪日外国人からの人気を得ることができたのでしょうか。
それは企業の宣伝方法や、しっかりとしたコンセプトによるものや、訪日外国人によるSNSの拡散の効果が大きいと言えます。
SNSを活用し口コミを促進
アキバフクロウはInstagramではフクロウの特徴について、TwitterやFacebookではイベント情報という具合に、それぞれのSNSをフル活用して情報発信しています。
宮城蔵王キツネ村は動画サイトのYouTubeで人気に火がつきました。大がかりな宣伝をせずとも、ネットの口コミで評判が拡散され、訪れた人が再び発信するという好循環が生まれています。
独自のコンセプトや強みをアピール
人気の施設はそれぞれ「ここにしかない」ような強みを持ち、それをうまくアピールしています。
アキバフクロウの32種類のフクロウが飼育されている店内は、来店した人がリラックスできるよう清潔感のあるホワイトカラーのインテリアで統一し、ゆったりとしたテンポのBGMがかかっています。
嵐山モンキーパークいわたやまは、先進国の中で野生のサルが生息しているのは日本だけという点をPRしています。また、動物が檻の中に入るのではなく、人間が檻に入って動物とふれあいという逆転の発想に対して、多くの訪日外国人は好印象を持っています。
宮城蔵王キツネ村は世界で唯一キツネを抱けるという強みにより、多くの訪日外国人の人気を獲得しています。
SNSを通じた情報発信と体験者の口コミで集客効果
訪日外国人の人気の高まりによって日本人が日本の観光地を再評価するリ・バウンド効果について詳しく説明しました。
今回紹介した事例はいずれもネットをうまく使い、体験者がSNSで口コミを拡散する動きを促進させたことで、さらに多くのファンを獲得しています。
商品を「所有」することに価値を見出すモノ消費から、「体験」に価値を見出すコト消費へシフトしていく中で、動物カフェや動物とのふれあいスポットは、多くの人気を獲得することに成功した事例といえるでしょう。
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