東京オリンピック延期、でも「祝日はそのまま」新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えなくても、観光業がすべきことは?

公開日:2020年04月02日

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

2020年7月から開催予定だった東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、3月末に延期の方針が発表され、その後、開幕を当初予定の1年先である7月23日とする旨が伝えられました。

4年に一度の世界の祭典とあり、日本国内でも法律を制定し、7月、8月の祝日を移動させる予定となっていました。交通機関の混雑緩和や、観戦時間を確保できることで関心の高まりを促す効果があると考えられます。

世間では、オリンピックの開催が2021年に延期されたことで、当初定めれていた2020年の祝日の移動が取りやめられる可能性も指摘されていましたが、4月1日の報道によれば、予定通り、2020年7月23日、24日、8月10日が祝日となる見通しが伝えられています。

この記事ではオリンピックに関連して変更があった祝日について整理し、今年オリンピックが開催されない中でも連休が増えることを、観光業界はどのように活用すべきかについて考察します。

関連記事
インバウンド中国市場を「今このタイミングで」狙うべき5つの理由
新型コロナ流行…インバウンド業界「非常時」との向き合い方
五輪延期の「ピンチ」を「チャンス」に!インバウンド戦略を練り直す

オリンピック開催で変更された祝日

平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律(平成30年法律第55号)が平成30年6月20日に公布され、 2020年東京五輪の円滑な準備・運営のため、「国民の祝日に関する法律」の特例が設けられました。

この特別措置法により、2020年7月24日から開催予定だった東京五輪に合わせ、「海の日」が7月20日(第3月曜日)から7月23日に、「スポーツの日(旧・体育の日)」が10月12日から7月24日に移動するなど、今年限り祝日が変更されました。

土日を含めると、開会式の予定であった7月24日前後は4連休、閉会式の予定であった8月9日の前後は3連休となっています。 

祝日 例年 2020年

海の日

7月第3月曜日

7月23日(木曜日)
(オリンピック開会式前日予定だった)

体育の日(スポーツの日)

10月第2月曜日

7月24日(金曜日)
(オリンピック開会式当日予定だった)

山の日

8月11日

8月10日(月曜日)
(オリンピック閉会式翌日予定だった)

五輪延期で2020年のカレンダーは変わる?2021年の祝日は?

特別措置法により定められた2020年の祝日ですが、国民生活への影響を考慮し、移動後の日程のまま維持することが決定しました。

また、2021年に五輪が延期したことにより、政府・与党は今年と同様に祝日を移動させることを検討しており、改正案を国会に提出すると見られています。

祝日の変更は特別措置法を改正することが必須になり、昨年定められた特措法は2020年に限るものであるため、2021年の祝日を変更する場合にも再び特措法を改正することになります。

2021年の祝日は、開会式前日の7月22日(木)、開会式当日の7月23日(金)、閉会式翌日の8月9日(月)となる見通しです。

観光業にとって、残った「2020年の祝日移動」は復活のチャンス?

観光業は、新型コロナウイルスの影響でツアー等のキャンセルが相次ぎ、特に大きな打撃を受けている業界の一つです。

コロナウイルスが収束する時期はいまだ不透明ですが、夏に事態が落ち着いている可能性もあります。その際には、オリンピック不在でありながら増えた連休という、旅行需要の刈り取りのチャンスが訪れます。

五輪期間とは違い首都圏に人口が集中することもないため、全国各地に観光客を呼び込むチャンスともいえます。

政府は観光庁予備費の使用を決定、観光業のコロナ対策を支援

政府は3月10日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で大きな影響を受けている観光業界へ向けて、感染拡大終息後のインバウンド需要回復に向けた支援を目的とした約36億円の予備費を3つの施策に充当する閣議決定をしました。

観光庁の資料では、35億7,200万円の予備費の内訳について、以下の通り示されています。

  • 日本政府観光局(JNTO)による正確な情報発信(10億円)
  • 観光地の多角化等のための魅了的な滞在コンテンツ造成(7億円)
  • 訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(19億円)

正確な情報発信は、新型コロナウイルスの風評被害対策を目的としたものです。

滞在コンテンツの造成と訪日外国人の受入体制の強化は、今の期間をインバウンド需要拡大のための積極的な助走期間とらえた基盤整備を意味しています。


▲[観光庁発表の報道資料]:編集部キャプチャ
▲[観光庁発表の報道資料]:編集部キャプチャ

観光業界のPR、注意すべきは「メッセージ」「タイミング」

観光業が取り組むべきはPR施策を通じて、風評被害を先手先手で防ぐようなメッセージを発信することです。

ホテルの従業員やツアーに関連する人員、または参加者に新型コロナウイルス感染者が出た場合、関連した施設や旅行会社の商品に対して、根拠のないままに「感染リスクがある」と吹聴されてしまう可能性があります。

誤ったメッセージであっても、それを放置してしまえば、それを正しい情報と誤解する人も出てきてしまうかもしれません。こうしたネガティブな情報、つまり風評被害についてはきちんと否定する姿勢が必要です。

同時に、収束後の旅行需要を取り込むべく、ポジティブなメッセージを世の中に向けて発信するべきでしょう。

ただし、日本社会全体が外出自粛につとめる中、安易に外出を促すメッセージと認識されてしまうと、企業のブランドを損ねる可能性があります。新型コロナウイルスの収束が見えてくるまでは、今まで以上に慎重にメッセージやコンテンツの構成を練るべきでしょう。

2020年に予定されていたオリンピック開催の期間よりも前に、新型コロナウイルス感染拡大が収束するのであれば、本来オリンピック観戦や混雑を避け休暇を楽しむ予定だった人たちの旅行需要を取り込める可能性もあります。

香港人「コロナ騒動が終わったら行きたい」1位に日本!収束後の訪日ラッシュに備えよ

新型コロナウイルスの感染拡大には、未だ有効な対策がみつからず、各国政府の31日までの発表によれば、全世界の感染者数は50万人を超えています。感染者数ではアメリカが多く、死亡者数ではイタリア、スペインでそれぞれ1万人超、7,000人超と深刻な状況となっています。各国は対策に乗り出し、アジアを含めた多くの国で、外国人の入国や自国民の出国の制限を行っています。観光、ビジネス、親族訪問といった目的のいかんを問わず対象となるため、日本のインバウンド業界も大きなダメージを受けています。全世界で今、経済...


7月はどの国の観光客が多い?

インバウンド市場に絞って、7月の観光経済について確認してみます。7月はどの国や地域からの観光客が多いのでしょうか。

2019年7月に日本を訪れた訪日外国人は、299万1,000人で、前年比5.6%増を記録しています。延べ人数の上位5か国は、中国(105.1万人)、韓国(56.2万人)、台湾(45.9万人)、香港(21.7万人)、 アメリカ(15.7万人)でした。

これらの市場をターゲットとした施策が今年も重視されると考えられますが、それ以外に把握しておくべきポイントは「夏季休暇」と「成長市場」です。

7月は中国人が最も訪れる月?夏季休暇シーズン

夏季休暇は学生にとっても旅行に最適な時期の一つです。特に、9月に学校の年度がスタートする場合には、卒業旅行としてこの時期旅行を計画する場合もあります。

新学年が9月にスタートする中国の場合、2019年7月は前年同月比19.5%増の105万500人(のべ)が訪日しています。年間を通じて、春節国慶節といった大型休暇を抜いて最も月間の訪日数が多くなりました。

その他のアジア市場でも夏は旅行がしやすいタイミングと考えられますが、おおむね暑い気候であるアジア圏のインバウンド集客を考える場合には、居住国との差別化を意識した観光コンテンツを提案するべきでしょう。

前年度より訪日外客数が増加した国や地域は?

昨年7月に、前年同月比で訪日外客数が増えたのは中国、シンガポール、ベトナム、フィリピン、インド、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、スペインなどでした。

訪日外客数の増加が好調だった国々は、継続的な訪日旅行プロモーションの効果が出てきたと考えられます。 

現在、世界各地で新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出の自粛による経済も縮小は避けられません。感染拡大が収束したとしても、7月のインバウンド市場には例年のような活気は見られないかもしれません。

それでも、これまでのプロモーションによる認知拡大、築き上げたブランドをベースに、メッセージを届けていくべきでしょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大に対する各国政府の施策や被害の深刻さは、国によって様々です。日本観光に関するメッセージの内容や発信のタイミングは、各国の対ウイルス抗戦の様相をしっかりと把握したうえで判断する必要があります。

守りの策しか取れない今、PRの重要性は高まっているといえるでしょう。また、攻めの施策に打って出られない今は、専門家の意見を聞きながらじっくりと策を練ることのできる良いチャンスかもしれません。

<参照>

国土交通省観光庁令和元年度観光庁関係予備費使用の概要(3月10日閣議決定)

日テレNEWS24:https://www.news24.jp/articles/2020/04/01/04618535.html

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!