コードシェア(共同運航)とは?便名・利用者のメリット・注意すべきポイント・航空会社にとってのメリットを整理

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コードシェア(共同運航)とは、2社以上の航空会社が共同で1つの航空便を運航することや、運行する航空便を意味します。

東京オリンピックが予定されていた2020年には、日本航空(JAL)は立て続けに海外航空会社とのコードシェアの開始を発表しました。

同じく日本を代表する航空会社である全日空(ANA)も2020年1月に、ヴァージン・オーストラリアとのコードシェア開始を発表しました。

複数の航空会社で1つの便を運航する「コードシェア」は、航空会社だけでなく利用者にもメリットがあります。また、日本と海外をつなぐコードシェアが増えれば、訪日外国人にとっては日本へのアクセスが良くなることを意味します。インバウンド業界の活性化も期待できるでしょう。

今回は、コードシェア(共同運航)について解説します。

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コードシェア(共同運航)とは?

自分が利用する航空便はANAだと認識して搭乗口まで行ったら、機体のデザインや、機内食のサービスがANAとは違ったという体験をしたことのある方もいるのではないでしょうか。

航空便の便名がANAのものであるものの、実際にはもう一つ便名が設定されており、航空便がそのもう一方の航空会社により提供されている状況です。

複数の航空会社が共同で運航する飛行機のこと

コードシェア(共同運航)は、2社以上の航空会社が共同で1つの航空便を運航することや、運行する航空便を意味します。

JTB総合研究所の観光用語集では、以下のように解説されています。

コードシェアとは、一つの航空便に複数の航空会社の便名(コード)をつけ運航すること。座席の販売は複数の航空会社がそれぞれの便で行う。

コードシェアは国内外の組み合わせだけでなく、国内の航空会社間でも運行してます。国際線、国内線かかわらず、特に最終目的地まで乗り継ぎがある場合に、航空便の利用者の利便性を高めています。

例えば、JALは2019年の夏から、天草エアラインとの国内線コードシェアを提供しています。

天草~福岡~羽田と予約する場合、これまではコードシェアがなければ天草~福岡間は天草エアラインで、福岡~羽田間はJALで予約しなければなりませんでした。コードシェアの提供によって、天草~福岡~羽田のすべてのチケットをJALのサービスを通じて予約、購入できるようになりました。

コードシェアの便名のルール

コードシェアは複数の航空会社で行い、便名には航空会社分の便名が表示されます。

運行会社とコードシェアする航空会社の見分け方は、便名の桁数です。運行会社の便名は3桁、コードシェアする航空会社の便名は4桁です。

例えばJALと天草エアラインのコードシェア便の場合、福岡発天草行きの便名はJALの公式予約サイトで「JAL3891 AMX運行」といった形で表示されます。この場合、「3891」と4桁の表示なので、JALは運行会社ではなくコードシェアであることがわかります。

このときの天草エアラインの便名は「AMX102」です。「102」と3桁なので、天草エアラインが運行会社であると判断できます。

機体やクルーの提供は運行会社1社が担いますが、搭乗チケットの販売はコードシェアしている会社全てで提供しています。

コードシェアの航空便(コードシェア便)に乗るメリットと注意点は?

コードシェアによって利用者が得をする点がいくつかありますが、注意しなければならないこともあります。

コードシェアの提携先や提携内容は各航空会社により異なります。

ここではコードシェアの航空便(コードシェア便)を利用する際のメリットと、一般的な注意点について解説します。

大手航空会社の航空券を安く買える場合も

コードシェアによる利用者のメリットの1つは、航空券を通常より安価で購入できる点です。

LCC(ローコストキャリア)とのコードシェアの場合は、LCCで購入することで大きく費用を削減できることもあります。

コードシェアの航空便の航空券を購入するときには、運行会社とコードシェア会社の販売価格を比べてから購入すると良いでしょう。

しかし、キャンセルポリシーなども購入した航空会社のものが適用になります。LCCの場合、キャンセルできなかったりキャンセル費用が高くつく場合もありますので、メリットとデメリットをきちんと把握してから選択する姿勢が大切です。

航空券を買った航空会社のマイルが貯められる

コードシェアを利用する場合、各航空会社を利用することで獲得できるマイルは、両航空会社が同じアライアンスのメンバーである場合には積算されます。アライアンスメンバーではない場合は、航空券を購入した航空会社のマイルが貯まります。

アライアンスとは航空会社連合のことで、1990年頃から同じグループの航空会社同士の業務提携が行われてきました。1990年代以降、航空業界での規制緩和や競争の激化を背景に、航空会社は世界規模でグループ化が進んでいます。JALはワンワールド、ANAはスターアライアンスに加盟しています。

コードシェア便に乗る際の注意事項は?

コードシェア便は、運行会社のルールに則って運行されます。手荷物の重さやチェックイン時間なども運行会社のルールに準拠します。

注意すべきは手荷物の重量制限の取り扱いです。国内大手航空会社のJALとANAは手荷物量などについて比較的寛容といわれていますが、LCCや海外の航空会社では少しでも重さをオーバーしている場合には追加料金が必要になるといったケースがあります。

LCCにせよ国外の航空会社にせよ、コードシェア便に搭乗する場合には、運行会社の定める規定を事前にしっかり確認、理解しておくべきでしょう。

コードシェア便に限りませんが、乗り継ぎの際には荷物を積み替えてくれる場合とそうでない場合があります。後者の場合は、経由地で荷物を受け取り再度預ける手続きを利用者自身で行います。

コードシェア便を運航する航空会社のメリットは?

続いて、コードシェアが航空会社にもたらすメリットを紹介します。

座席を分け合うことは売り上げの低下につながるようにも思えますが、実際には座席の共同販売によって販売効率は高まるといわれています。

コストをかけずに新規路線を開拓できる

航空会社が新規路線を開拓する場合、空港との交渉やチェックインカウンターの設置、航空機やスタッフの手配など、非常に大きなコストがかかります。

ところがコードシェアの場合は運行会社との提携を行い座席を買い取ることで、運行自体やサービスは運行会社に任せられます。コストを抑えることができるだけでなく、時間をかけずに路線を整備することができます。

座席の稼働率を上げるためにもコードシェアは有効です。複数の航空会社で座席を販売すれば、販売経路が広がり、利用者の増加が見込めます。

人気のある路線でさえ、繁忙期は満席でも閑散期には空席が発生することがあります。コードシェアによって他の航空会社の利用者と座席を共有できれば、こうした状況を改善できる可能性もあるでしょう。

他国の国内路線を自社路線として販売できる

航空業や海運業において、国内路線(船の場合は沿岸航行、内海航行)を他国の会社が運航することを禁止する制度をカボタージュといいます。EU内など規制を緩和している地域もありますが、日本ではカボタージュ制を採用しており、自由化の予定はありません。

カボタージュ制度がとられている地であっても、コードシェアの提携を結べば、その地の航空券を販売できるようになります。日本国内で路線を新規開拓できない海外の航空会社にとっては、コードシェア便の運行は、日本国内の航空便を自社で販売するための道となります。(ただし、日本国内の航空便のみの販売はできません。)

日本と海外、双方の航空会社にとっては需要拡大の機会となり、観光業界へもポジティブな影響があるといえるでしょう。


コードシェア便で入国する訪日外国人、どう付き合う?

日本の航空会社と他国の航空会社のコードシェア提携は、これまで日本への訪問に訪れることが少なかった国からの訪日観光客増加につながりが期待でき、インバウンド業界の活性化が期待できます。

東京オリンピックが予定されていたこともあり、2020年コードシェア便が増加しました。今現在は新型コロナウイルスの流行を受け市場は停滞していますが、収束した折には東南アジアやロシアといったインバウンドの成長市場、またメキシコや中東といったこれまで訪日旅行がそこまでメジャーでなかった地域からの訪日外国人も増えてくると考えられます。

コードシェアは便利な反面、航空会社が各社異なる規定を運用している中で、運航会社の規定に準じるという構図があり、利用者が戸惑う場面も今後発生すると考えられます。

サービスの丁寧な解説や、相手国の文化に合わせたサービスを提供することはもちろんですが、その解説をどういった形で発信するかにも一工夫できるとよいでしょう。

利用者の課題を解決するためのコンテンツは、情報ニーズを満たすことから、コミュニティにシェアされることも期待できます。単なる「公式サイトのお知らせ」にとどまらない形の情報発信が、ターゲット市場の認知獲得の鍵を握っています。

世界の旅行者に向けて日本ブランドをアピールするためにも、訪日旅行に関連したサービスについて把握し、利用者の課題や情報ニーズをしっかり検知していくべきでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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