国土交通省は2019年11月、世界に誇れる日本のサイクリングルートをアピールする目的で「第1次ナショナルサイクルルート」を指定したと発表しました。
環境省をはじめエコツーリズムを推進している政府は、ロゴの制作も同時に行い国内外での認知度向上を目指しています。
今後増えていく「エコ意識の高い」訪日客の取り込みを考えると共に、これから盛り上がりを見せるはずの「サイクリングインバウンド」について、体験者の声を元に考察していきます。
福島県、サイクリングツアー開催でインバウンドを誘客!地域の魅力を紹介
目次インバウンドは人や文化など地域の魅力を満喫インバウンドも楽しめる環境を整備インバウンドは人や文化など地域の魅力を満喫福島県は5月22日、白河市から会津若松市の鶴ヶ城を目指すサイクリングツアー「中通り・会津の魅力発見!新緑の景色自転車ツアー」を5月13日に開催したことを発表しました。同ツアーのテーマは「新緑」。当日は、28歳から47歳までの中級レベルの台湾人8名が参加し、県内の魅力を存分に楽しみました。▲自転車インバウンド誘客事業インバウンドも楽しめる環境を整備福島県では、FIT地域(福...
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日本3箇所 指定「ナショナルサイクルルート」とは?
今回国土交通省に選出されたルートは、全国で3か所です。
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つくば霞ヶ浦りんりんロード Tsukuba-Kasumigaura ring-ring road
延長:176km
区間:JR岩瀬駅~JR土浦駅および霞ヶ浦湖岸一周(茨城県) -
ビワイチ Biwaichi
延長:193km
区間:琵琶湖岸一周(滋賀県) -
しまなみ海道サイクリングロード SHIMANAMI KAIDO cycling road
延長:70km
区間:JR尾道駅(広島県)~サンライズ糸山(愛媛県)
ナショナルサイクルルートは複数自治体をまたぎ、主要な観光地を連絡する延長100km超のロングライドルートを想定しており、サイクリストの受け入れが可能な「ゲートウェイ」の整備が必要とされています。さらに危険回避のためのルート上の迂回が可能であり、休憩やメンテナンスが可能な施設をルート上に有していることが条件とされ今回の選出に至りました。
訪日外国人サイクリング経験者の声は?
国内で厳選されたルートも、訪日外国人のニーズに応えることができるのでしょうか。体験者の声を拾ってみました。
Twitterに見える、正直な感想とサイクリスト像
Twitterには、訪日外国人のサイクリストの声が投稿されています。
いくつかを紹介します。
「これはしまなみ海道サイクリンロードの最後の橋からのサイクリング。全長76kmととても長いが走破が難しいものではなく、サイクリングロードにある6つの橋の上り坂はまだ簡単な方。」(筆者訳)
「日本は自転車旅行をするには最高の国だ。自転車専用道やサイクリングロードは増加の一途を辿っており、多くの地元民にも使われている。天気は素晴らしく、古いヒンディー語の曲を口ずさみながらのサイクリングはとても楽しかった。」(筆者訳)
「日本でのサイクリングはとても魅惑的だ。今までに2回日本でサイクリングをしたが、もう一度サイクリングをしに行きたくて仕方ない。」(筆者訳)
経産省によるサイクリング・ツーリズムに関する調査報告
平成29年に経済産業省が発表したサイクリング・ツーリズムに関する調査報告によると、調査を実施した「しまなみ海道」でサイクリングを利用する外国人観光客のうち5割強が「サイクリング目的で訪日した」と回答しています。
今後、このようなコアなサイクリストを何度も来日させるような魅力的なサイクリングロード作り、さらに未経験者にどうアプローチするかがポイントとなってきます。
YouTubeを使って、日本のサイクルルートの魅力を世界に発信
アクティブな旅行を好む訪日外国人の中には、一部始終を動画に収め、YouTubeに投稿している人たちもいます。
それぞれ視聴者は数十万から百万人ほどであり、自転車旅というコアなファンに向けたものにもかかわらず、再生回数を伸ばしています。
外国語でなんの宣伝もなく発信される「生の声」は、これから日本に来てサイクリングを楽しみたいと思っている人だけでなく、潜在的顧客層の関心を引き付けると考えられます。
オフィシャルな情報発信だけでなく、口コミの重要性は昨今多く指摘されてきているところです。こうしたコンテンツの存在からも、今後の市場の成長が期待されます。
体験者が語る「ここを改善してほしい!」
多くのサイクリストは日本国内のサイクリングを楽しんでいますが、中には「こんなものがあればよかったのに」「ここが改良されればもっと良いのに」という声も見受けられました。
外国人サイクリストを中心とした、日本国内のサイクリスト同士の情報交換サイト「Tokyo Cycling Club」に寄せられていた意見をご紹介します。
数年間、福岡をサイクリングしていた時の感想ですが、怒りっぽい車のドライバーが居たのとイギリスやタイよりも酷いクラクションの使われ方をしていました。
いくつかの都市で生活をしましたが、仙台の自転車道はかなり役に立たなかったです。まず第一に、歩行者と自転車に乗っている日本人は自転車道の使い方を気にしません。ほんの少し注意を払うくらいです。さらに自転車専用道に捨てられ廃棄された大型のゴミが行く手を阻み、自転車のための道もぬって走る必要がありました。
朝方6時前は例外として、本当に都心のサイクリングは大大大嫌いです。都心以外はほぼ快適なサイクリングの環境です。道はあまり整備されていませんが。
主に、「道路整備」の不完全さ、さらに「自転車と共に走行する車や歩行者による道路でのマナー」がサイクリスト達の中で評判が悪い結果となりました。
サイクリストの間で有名? 日本サイクリングに関する噂
同サイトでは、「福岡」はサイクリストにはオススメしないとしたコメントが複数見受けられました。
「私は体験していないですが、ある友人から聞いた話によると福岡は悪質な車のドライバーが多いため評判が悪いのは有名な話です。」とコメントがあるように、どうやら土地によっても運転のしやすさがあり、その噂はサイクリストたちの間で共有されているようです。
まとめ
現在のインバウンドのトレンドとなっている「コト消費」も、時代とともに形を変えていきます。今回はそんな観光客の行動背景とともに、世の中の流れである「エコ」を組み合わせた観光手段であるサイクリングに焦点を当てました。
冒頭で紹介した「ナショナルサイクルロード」の認定にはじまり、各自治体で訪日外国人向けに魅力的な地域の訴求方法としてサイクリングを採用するところが増え、今後盛り上がっていくことは必至です。
今回紹介した口コミからは、歩行者やドライバーのマナー向上や、自転車道の「整備」をすることがより良いサイクリング体験につながることがわかりました。
サイクリングインバウンドを活性化させるためには、関係する領域の事業者が体験者それぞれの発信にアクセスし、そこから見えてくる当事者のニーズや反省点をもとに、よりよい環境を提供できるよう心掛けることが有効です。
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<参照>
https://www.travelvoice.jp/20191108-140860
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/national_cycle_route/index.html#outline
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/assets/pdf/jitensha_detail.pdf
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000413.pdf
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