安倍首相は2020年5月25日夕方ごろに記者会見を開き、現在発令されている緊急事態宣言を全国で解除すると発表しました。
それだけではなく、新たに支援体制の強化や今後の規制緩和の方針についても言及しました。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
全国で緊急事態宣言が解除、でも警戒は怠らないで
5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、東京都では26日0時から東京版ロードマップのステージ1に移行するなどウイルスによる脅威をコントロールしながら社会経済活動の再開を行う動きが活発化しています。
記者会見で安倍首相は、国民や各事業者、医療関係者がそれぞれの立場で外出自粛や営業自粛、医療提供を行った功績であり、世界でも稀に見る成功事例であると強く強調しました。
その一方でウイルスによる脅威が去ったわけではなく、これを気に警戒を緩めることは新型コロナウイルスの感染拡大の2波が起こる危険性があるとし、段階的な社会経済活動の活性化に取り組むように求めました。
そのためには、政府が営業再開にむけて公表している事業者ごとのガイドラインを参考に、新しい日常を作り上げることを提唱しています。
さらにコンサートや演劇のような文化活動、スポーツ感染なども感染状況を注視しながら段階的に開催を実施していくと述べました。
例えば、プロ野球の試合は無観客試合からはじめ、段階的に観客を増やす方針です。コンサートや各種イベントなどは100人程度の規模から再開をはじめ、感染状況見ながら段階的に動員数を増やし、収容率50%へと順次拡大していく予定です。
安倍首相はあらゆる活動について感染予防することを前提に再開を行い、リスクあるから実施しないのではなく、どう感染リスクをコントロールしながら実施できるか考えることが大切だと語りました。
支援体制の強化と第2波への警戒
安倍首相は緊急事態宣言は全国的に解除されましたが、ウイルス感染のリスクをコントロールしながら社会経済活動を本格化していくことはさらに時間が必要だとし、さらなる支援の強化の方針を明らかにしました。
事業と雇用をまもるため追加の助成200兆円超
安倍首相は5月27日に決定される第二次補正予算は、すでに行われている支援事業と合わせると200兆円を超える大規模な事業規模となる見込みを示しました。
人件費の助成金の上限を15,000円に引き上げ、被雇用者が助成金を直接受け取れる制度を構築するとしています。さらに家賃負担の軽減のために最大600万円の給付金の創設、最大200万円の使い道が自由な地獄化給付金の対象を拡充し、ベンチャー企業などでも利用できるようにしていく方針を明らかにしました。
他にも総額130兆円を超える資金繰り支援を行うとも明らかとしました。また地方自治体がそれぞれの状況にあった支援を行えるように「地方創生臨時交付金」を2兆円増額すると発表しました。
いまだ休業要請が解除されない接待を伴う飲食店やバーナイトクラブ、ライブハウスなどの事業者に対しては、上限200万円の支援を行うとともに6月中旬をめどに営業再開のためのガイドラインの作成を行う方針も明らかにしました。
「接触確認アプリ」導入、日本で普及は可能なのか?
安倍首相は社会経済活動を本格化させつつ新たな感染を抑制するためには、外出自粛などの制限ではなく、市中感染リスクを下げ感染者の早期発見・クラスター対策への取り組みが重要だと述べました。
そのため日本でも6月中旬ごろに「接触確認アプリ」を導入する方針だと述べました。スマートフォンの位置情報をもとに、感染者と濃厚接触をした可能性が高い人に向けて自動的に通知を行う仕組みとなるようです。
位置情報を利用するのみで個人情報の取得は一切行わないとしていますが、政府のこの方針に多くの反発の声が上がっています。Twitter上では「#接触確認アプリ」というタグが作成され、監視社会の始まりではないかという懸念が広がっています。
Twitter:堀江貴文氏の投稿(https://twitter.com/takapon_jp/status/1264702745056931840)
このような意見がある一方で、容量や充電残量の懸念、都市部は電車が混雑する傾向にあること、仕事中はスマートフォンを使用できないため別の場所で保管しているような業種についている人にとって、この接触アプリの有効性が疑問視されています。
Twitter:アプリのインストールに際し、スマホのコンディションを心配する投稿(https://twitter.com/comeco7starish/status/1264926441017184262)
Twitter:勤務先ではスマホ携帯ができないとの投稿(https://twitter.com/nay24a8/status/1264926519530450945)
安倍首相は4月にオックスフォード大学が公表した研究を引き合いに、人口の6割に普及すれば濃厚接触者を早期に確認でき、外出自粛や営業自粛などの要請を回避できると期待を示しました。
医療体制強化と水際対策
安倍首相は医療体制についても今後さらなる強化を進めるとし、PCR検査体制のさらなく拡大を目指しています。すでに医師会の協力で全国約100か所にPCR検査センターが設置されていますが、2兆円を超える予算を投入し全国で新型コロナウイルス重点医療機関を指定し、今後の流行に備病床を確保するとしています。
高機能マスクや医療用ガウンなどを医療機関へ配布するため、水際対策の強化や特定の国へサプライチェーンが集中していることによる物資の不足を解決していく方針を示しています。
また医療関係者に最大20万円の給付を行うことも明らかにしました。
緊急事態宣言解除でインバウンド需要回復への期待感高まる
訪日ラボが2020年5月18日〜2020年5月20日に行ったインターネット調査によると、緊急事態宣言が解除される前と後ではインバウンド需要の回復の見通しに若干の変化が見られました。
緊急事態宣言下で調査した結果では、外国人観光客の客足の回復は2021年2月ごろからオリンピックと回答した割合がもっとも多く60.9%となりました。しかし5月18日から5月20日に調査したところ2020年10月ごろから年末年始に回復するのではないかと回答した割合が25.8%となり前回調査した時よりも外国人観光客の客足が戻るタイミングが早くなると予想した人が増加しました。5月25日に緊急事態宣言が全面的に解除となり、外国人観光客の客足が回復する時期が早くなるのではないかと期待する人の割合が増えるのではないでしょうか。
これを機に訪日外国人観光客の回復に向け、準備を進めるインバウンド事業者が多くいるでしょう。10月は中国の大型連休である「国慶節」があります。日本でいう建国記念日で、例年多くの中国人観光客が訪日します。QR決済サービスの「Alipay」のデータによれば2019年には国慶節中にもっとも訪問先取引件数が多かったのが日本となりました。
中国ではすでに国内旅行が解禁されており、諸外国では夏の観光業再開に向け着々と準備が進められています。日本でもすでに政府がビジネスで訪日する外国人に対する規制の緩和を検討しており、今後ますます人の移動に関する規制緩和が世界規模で進められるのではないかと期待されます。
そのためインバウンド需要が回復した時にニーズに答えるための準備が必要です。日本の新型コロナウイルスに対する感染予防対策は、海外でも一定の評価を得ており日本は安全な国だとして訪日したいと考える外国人も多いでしょう。少しでも早いインバウンド需要の回復のためには、より感染予防対策の徹底といかに日本が安全かをアピールする必要があります。
【独自調査】9割がインバウンド売上「大きく落ち込んだ」…客足戻り始めは前回調査より楽観傾向に:新型コロナ意識調査実施
安倍晋三首相は5月14日の記者会見で、39県における緊急事態宣言の解除を発表しました。一方東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、京都府、兵庫県、北海道の7都道府県については緊急事態宣言継続となり、そのうち大阪府、京都府、兵庫県の関西3府県については21日に改めて判断される予定です。そこで、訪日ラボでは各社のインバウンド事業に対する影響度合いを探るため、読者・メールマガジンユーザーの皆様を対象に「緊急事態宣言解除と新型コロナ意識調査」を実施しました。前回の調査では主に、事業への影響やそれ...
中国スマホ決済「アリペイ」海外使用で日本が1位に!長年のライバル、タイに逆転【国慶節2019】
今月10月は中国の二大連休の一つ「国慶節」があります。建国を記念する祝日として、今年は1日~7日まで、7日間の法定休日が制定されていました。この期間、中国では国内外の旅行に出かける人が多くなっており、中国の担当官庁によれば、出国者数は7日間で700万人を超えています。日本旅行も変わらず人気です。海外旅行先の人気度で常にトップとなっていたタイですが、今回は順位が逆転すると休暇前から話題となっていました。国慶節が終わり、中国で今や使わない人の方が珍しいスマホアプリによる決済「アリペイ」の取引件...
訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ
訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。
最新インバウンド観光を行動データから読み解く! 24-25冬期シーズンのアジア圏訪日旅行動向
2024年から2025年の冬季シーズンにかけて、アジア圏から日本を訪れる旅行者数は増加傾向にあります。旅行需要はパンデミック後の回復とともに勢いを増しており、日本の観光業界はこれに対応するため、より精密なデータと分析が求められています。特に、旅行者の行動パターンや興味、消費傾向は刻々と変化しており、効果的なプロモーションやサービスの提供を行うためには、最新のデータに基づいたアプローチが不可欠です。
本セミナーでは、最新の行動データをもとに、アジア圏からの訪日旅行者の動向を徹底的に分析し、2024-2025年冬季シーズンのトレンドを解説します。特に、消費傾向や訪問先の選択、旅行中の行動パターンにフォーカスし、日本の観光業がどのように対応すべきかを示すとともに、効率的なインバウンド集客戦略を提案します。
詳しくはこちらをご覧ください
→最新インバウンド観光を行動データから読み解く! 24-25冬期シーズンのアジア圏訪日旅行動向
【インバウンド情報まとめ 2024年10月後編】百貨店インバウンド売上、30か月連続プラス ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に10月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→百貨店インバウンド売上、30か月連続プラス ほか:インバウンド情報まとめ【2024年10月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!