中国のマッチングアプリ「陌陌」の読み方は?MAU1億超・ 2019年は純利益10億元増・業界2位「探探」買収・ライブストリーミング・インバウンド市場での活用法

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陌陌は中国で利用されている、スマートフォン向けのマッチングアプリです。

2011年からサービスの提供を開始し、2016年にはライブストリーミングサービスを開始しています。

2020年3月時点でネットユーザーが9.4億人を超えた中国で、高い知名度のあるSNSの一種です。

この記事では「陌陌」の読み方、アプリの機能や活用法について詳しく解説していきます。


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陌陌(Momo、モモ)とは

陌(はく)という漢字は日本ではあまり使われておらず、意味としてはあぜ道ですが、中国語の場合は「あまりよく知らない」という意味があります。

陌陌の中国語の発音は、モモ(mòmò)で、英語名はそのままMomoとされています。

2019年には月間アクティブユーザー数が1億を突破し、中国のネットユーザーには知られたアプリといえるでしょう。

中国発のSNSプラットフォーム、位置情報を活かしたサービスが特徴

陌陌は、中国のインターネット企業である「北京陌陌科学技術」が2011年8月にリリースしました。

陌陌の最大の特徴は位置情報サービスを利用する点機能のバリエーションに富んでいる点です。

位置情報サービスによって自分の周辺にいる同じように陌陌を使用している人を検索し、ショートメールや音声、画像を無料で送信することが可能となっています。

陌陌が「出会い系アプリ」のイメージを持たれた理想呼ばれたりする理由は、こうした機能にあります。

周辺のユーザーとつながる以外には、自分の趣味や興味、関心に合わせてグループを作成したり、参加したりできるサービスです。

グループではメンバーとチャットをしたり、情報を共有することが以外にも、オンラインのイベントに参加することもできます。

この他にも、ライブストリーミング機能や、位置情報から付近のイベントを調べたりする機能なども搭載されており、総合的なSNSプラットフォームとして運用されています。

運営会社は2014年末にナスダックに上場、2019年の売上げは2,600億円

陌陌の運営会社である「北京陌陌科学技術」は2014年12月11日に米国ナスダック上場を果たしました。

同社の2019年上半期の売上高は、78億7,550万元(約1,204億円)で、前年同期比で33%の成長となりました。純利益は10億2,110万元(156億円)です。

また2019年全体の売上高は、170億151万元(約2,600億円)で、前年同期比で27%増、純利益は44億9,330万元(686.9億円)です。

ユーザー数:2019年末のMAUは1.1億人、有料ユーザーは1,380万人

陌陌の公式プレスリリースによると、陌陌の月間アクティブユーザー(MAU)数は、2019年12月現在で1億1,445万人です。前年同期は1億1,133万人で一年間でユーザー数を300万人ほど増やしています。

また、ライブストリーミングの有料サービスに加入したユーザーが1,380万人に達しています。この中には、2018年に買収した、同じく中国でサービスを展開する探探(Tantan)の450万人も含まれます。

陌陌の機能

陌陌はマッチングアプリとして知られたサービスですが、マッチング機能だけでなく様々な機能が存在します。

中国では他国同様、ミレニアム世代を中心に動画配信、ライブストリーミングの利用も増えており、陌陌はこうした機能で収益をあげています。

マッチングサービス

陌陌はもともとマッチングサービスを起点として、機能の多角化に努めてきました。LBS(ロケーション・ベース・サービス)と呼ばれる、ユーザーの位置情報に基づき、ユーザーとユーザーが出会うサービスを提供していました。

しかし、ライブストリーミング以外での収益の柱となるサービスがなく、経営上の不安要素となっていました。そこで、陌陌は2018年に探探(Tantan)という中国のマッチングアプリサービスを買収しています。

この買収により、中国のマッチングアプリ業界最大手の陌陌と2位の探探(Tantan)が手を組むことになりました。その取引価格は6億ドルと530万株であったことが伝えられています。

探探は中国版Tinderと呼ばれており、陌陌とくらべて女性ユーザーが多いのが特徴で、陌陌の弱点を補うことになりそうです。

ライブストリーミング

陌陌において最も人気のサービスはライブストリーミングです。

そもそも、ライブストリーミングとは「配信者がリアルタイムで映像や音声を配信し、視聴者はデータをダウンロードしつつ同時に再生する」ことです。ライブ配信と言われることもあります。

陌陌ではこのライブストリーミングサービスが収益の柱とも言えるサービスにまで成長しています。2017年3月時点で収益の約80%がライブストリーミングサービスによるものであることが報じられており、その収益率の高さに注目が集まりました。2019年のライブストリーミングサービスによる売り上げは124億5,000万元(1,901億円)です。

陌陌のライブストリーミングは、現在地の近くでライブストリーミングをしているユーザーを探すことができ、また視聴している側もコメントを付けたり後述するバーチャルギフトを送ったりすることで配信に参加できる双方向型のサービスになっています。

ライブストリーミングの提供を開始した2016年当時から、海外でもこうしたサービスが人気を博しており、陌陌には中国だけでなく海外ユーザーも増えてきました。

ユーザーから配信者へ贈れる、バーチャルギフト

陌陌には、ライブストリーミングの放映中に、バーチャルギフトを贈ることができる機能があります。

このバーチャルギフトとは、視聴者が配信者の興味を引いたり、ライブストリーミング上で感謝の気持ちを伝えたりするために贈られるバーチャルなアイテムのことを指します。視聴者か配信者に送られるギフトのうち一部が陌陌に入る形で収益化されています。

このライブストリーミングをただの「配信」にとどめることなく、ユーザー間のコミュニケーションの促進を図っています。そのコミュニケーションの中には、一部有料のサービスが組み込まれており、これが陌陌の大きな収益源になっています。

陌陌をインバウンド市場で活用するには

1億を超す月間アクティブユーザーを有する陌陌は、今のところは中国語のみでのサービス展開となっています。

陌陌が現在動画配信の領域で向き合っている課題や、業界での優位性、インバウンド向け情報発信への応用について整理します。

ショートムービーサービスとライブ配信者の奪い合い

ライブストリーミングは、Tik Tokなどのショートムービーサービスの人気に影響を受け、ライブストリーミング業界内で二極化が進んでいます。

陌陌はライブ配信を売りとするサービスですが、配信者の多くはTik Tokなどのショートムービーサービスプラットフォームに流れてしまっているといいます。

ショートムービーは短時間で次々とコンテンツが再生され、視聴者を飽きさせません。陌陌やその他ライブストリーミングをメインの事業に据える各社は、ショートムービーサービスとの共存関係や補完関係を目指しましたが、目立った成果は現れていないのが実情のようです。

しかし、ライブストリーミングサービスは完全に衰退したわけではなく、ショートムービーサービスとは違うメリットも持っています。

ライブストリーミングを用いた情報発信:親近感・即時性・臨場感に強み

ライブストリーミングを広報活動や情報発信、PRに用いた場合、既存のメディアやSNSと比べて明らかに優位な点がいくつか存在します。それは親近感と即時性、そして臨場感です。

ライブストリーミングは生放送であり、配信される映像に編集は加わっていないことになります。この即時性は情報の伝達を早めるだけでなく、視聴者からの信頼獲得にもポジティブな影響を与えます。

また双方向型のコミュニケーションが可能なライブストリーミングの場合、配信者が視聴者のコメントなどをその場で拾い、リアクションを取ります。こうしたコミュニケーションは、配信者に対する親近感を高め、配信される情報にポジティブな評価を下す可能性を高めると考えられるでしょう。

ライブストリーミングは、用意した脚本に沿って話を展開することもありえますが、予期せぬ事態が起こる可能性を含めたコンテンツ構成は、視聴者に臨場感をより強く感じさせる効果があるでしょう。

また、視聴者はその場にあるコメント欄を通して、配信を同時に視聴している多くの人々と場面ごとの感想や感情を即座に共有、共感する機会があります。こうした点も、視聴者に臨場感を与えると考えられます。

これらの特徴は、情報伝達の際の言語の壁を取り除いてくれる可能性もあります。例えば、言葉で描写が難しい場合でも、動画で商品を見せることで伝わる魅力は少なくないでしょう。

中国のライブストリーミングサービスを観光地のPRに活用する

中国は人口14億人を抱える大変大きな市場です。旅行先として日本を選ぶ中国人も多く、インバウンド業界にとって中国人観光客は重要なターゲットです。

ところが、中国では政府によるインターネット利用への規制が存在し、中国国外のウェブサービスへのアクセスは難しくなっています。中国国内では、中国独自のSNSが発達しています。

このため、日本で一般的に利用されている、FacebookやTwitterInstagramといったSNSでの広報戦略をうつことができません。日本政府観光局JNTO)をはじめ、日本の公的組織や企業、またその他世界各国の組織が、中国のSNSを用いたPR活動に取り組んでいます。日本政府観光局でも、WeiboWeChatなど、中国で広く使われているSNS上で人気のインフルエンサーにPRしてもらう活動に取り組んでいます。

たとえば中国のインフルエンサーに日本の観光スポットに足を運んでもらい、その体験をライブストリーミングで中継すれば、臨場感やインフルエンサーへの好感度から、認知の拡大が期待できます。

コンテンツの特徴×ユーザーの好みを踏まえ、プラットフォームを選ぶ

マッチングアプリとしてスタートした陌陌ですが、現在はライブストリーミングサービスがその収益の柱となっています。

中国国内の経済成長や、地理的な近さ、また文化への関心など複数の要因から、日本のインバウンド業界にとって、中国人観光客はこれからも重要な存在であり続けると考えられます。

中国のインターネット環境は特殊であり、中国国内で使われているインターネットサービスやアプリには中国独自のものが多くなっています。こうしたサービスの種類や広まりを理解せずに、中国市場での商品に対する認知を獲得することは容易ではありません。

ショートムービーサービスが流行する中で、陌陌のようなライブストリーミングサービスを軸とするサービスは、前者との差別化を図り生き残りの道を探しています。

ユーザーのライフスタイルや趣味に影響され、好まれるコンテンツにも変化があります。ライブストリーミングサービスも、ショートムービーサービスを好む層とは異なるユーザーから今後も支持されていくと考えられます。

インバウンド向けに魅力を訴求したい場合には、こうした点も踏まえ、情報発信の舞台を選ぶことが重要でしょう。ショートムービーサービスと比べれば現在は勢いが弱いともいえるライブストリーミングサービスですが、こうした中でも優位性を発揮できるケースはあると考えられます。

ターゲットとなる層のライフスタイル、また本人でも意識できていない需要について考察したうえで、適切なコミュニケーションチャンネルを発見していくべきでしょう。

中国のSNS利用状況

インバウンド対策を考えるうえで重要となる中国...

<参照>

陌陌2019全年净营收170.151亿元 净利润44.933亿元

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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