中国ECの新勢力「拼多多」とは?「共同購入」による競合との差別化とその戦略:品質トラブル多発の側面も

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中国のEC市場に現れた「拼多多」は、2015年の創業以来存在感を増しています。2016年にはテンセントや他企業から出資を受け、2018年にはナスダック株式市場に上場しました。

たった3年で上場を達成した「拼多多」の成長スピードは、中国と業界の注目を集めました。2020年7月には、CEOの黄峥氏が突然の退任を発表したことも大きく話題になり、その理由について様々に報じられています。

この記事では、ECプラットフォームとして名が知れ渡った「拼多多」の特徴や活用方法について紹介します。

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拼多多とは?読み方は?

拼多多」の読み方は、pīn duō duō(ピンドゥオドゥオ)です。拼多多とは2015年9月に中国でサービスが開始された、新興ECプラットフォームです。

ECサービスの普及する中国では「タオバオ」「京東(JD.com)」「Tmall」「Suning」など、ポピュラーなサービスの顔ぶれには大きな変化がなく、特にアリババ京東は二大EC企業として圧倒的な存在感があります。

こうしたECサイトが設立から20年たっているのに対し、拼多多は設立からわずか4年しか経過していません。それでも拼多多の月間アクティブユーザー数は2019年後半には3億6,600万人を突破しており、中国のEC市場でアリババに次ぐ第2位となりました。

2018年7月にはナスダック株式市場に上場しています。

ターゲット層は中間~低所得者層

しかし、こうしたサービスの利用者は都市部でシェアを獲得しているものの、農村部でのユーザー拡大にはまだ課題感がありました。

拼多多は、都市部に住む人々ではなく発展途上の地方都市で暮らす中間~低所得者層をターゲットとしています。そのため、拼多多の取り扱う商品は、物を安く買う傾向にある田舎の人々のニーズを察して安価なものが多いのが特徴です。

都市部には多くの富裕層が住んでおり、彼らはモノの品質にこだわりがあり、質の良いものを求めるユーザーが多い傾向にあります。 したがってサイトに出品される品物には、日本産を含む海外製品が多く取り揃えられています。

その一方、中低所得層は都市部などに住む富裕層に比較すると、ブランド品や高品質な商品に手が届かない利用者も多く、彼らのニーズは生活必需品をより安い値段で買える方ではないかと拼多多は考えます。

拼多多は、日用品をより安価で提供できることを強みとしたECサイトを立ち上げ、富裕層とは違う中間~低所得者層を見事に獲得しサイトへの需要の高まりにつながりました。

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売上げ:中国ECサイトで第3位の流通総額

拼多多の売り上げは年々上昇しています。2019年第3四半期(7〜9月)の売上高は、前年同期比123%増の75億1,400万元(約1,160億円)となり、中国ECサイトで第3位の流通総額を記録しました。

これらの急成長の要因には、共同購入というシステムやWeChatミニプログラムの利用などがあります。

拼多多(Pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)

拼多多(Pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)は、中国で中間~低所得者層をメインターゲットとした新興ECプラットフォームです。現在、中国のEC市場ではマーケットシェア第3位とも言われています。2015年の創業以来、新興ECプラットホームとしてシェアを年々拡大し、昨年にはナスダック株式市場にも上場しています。上場4か月後の時価総額は256.34億USD(約2兆9000億円)、2019年5月14日現在の時価総額は約241.19億円となっています。業界2位の京東(JD.com)の同日の時価総額は...

拼多多の取り扱い商品と「購入スタイル」の特徴

拼多多が主に取り扱う商品は、食料品や日用品、家電などの生活用品がメインです。それらの商品をできるだけ安価に消費者への届けるために「共同購入」と呼ばれる独自の仕組みを取り入れました。

共同購入とは気に入った商品を見つけた際に、WeChatやQQなどのSNSを通じて共同購入者を募集するシステムをいいます。ユーザーは個人単位の購買だけでなく、共同で複数の人々と商品を購入することで、お得な値段で商品を手に入れます。

ユーザーの情報の拡散度合いによって、値引き幅も大きくなるようなサービスになっているため、ユーザーも熱心に情報拡散に努めます。

その値引き額は定価の90%引きになることもあり、安価に買い物ができるのはもちろんのこと、時間内に指定された人数を集められたときの達成感を味わえることも共同購入の魅力の一つになっているようです。

品質管理に問題を抱えながらも、ユーザーの需要にマッチ

安価な商品を提供する業者の中には、偽物や粗悪品、中国では違法とされている製品を提供するところもあります。こうした出品物の管理が拼多多の課題となっています。2019年後半には、拼多多は規約違反として400万件もの出品を削除したり、数千店舗を閉店させたりしたことが報じられています。

モノによっては高品質である必要がないと考えるユーザーもいるようで、そういった考えのユーザーは品質よりも安さを重視する傾向にあり、こうした消費傾向が偽物の販売継続につながっていると考えられています。

必ずしもブランド品がほしい消費者だけではなく、品質への考え方も消費者の生活次第であることがうかがえます。

WeChatのシェアで競合アリババを排除

拼多多の商品情報拡散の場となるのが、現在、10億アカウント以上に利用されている中国のメッセージングアプリWeChatです。

個別のチャット、グループチャット、タイムラインの機能を利用して、拼多多のユーザーは値下げを狙う商品の情報をシェアします。

WeChatを運営するテンセントは、タオバオやTmallといったECサイトを運営するアリババとはライバル関係にあり、WeChatのアプリからアリババ系のサービスへの遷移はできなくなっています。拼多多にとってWeChatは、ライバル企業のアリババを排除してユーザーに訴求できるプラットフォームとなります。

中国では生活にかかわるあらゆる分野でスマホアプリを使ったネットサービスが普及しています。ECサイト利用の際にも、スマートフォンから商品をチェック、注文するスタイルが主流です。

スマホアプリの中には、ミニプログラムと呼ばれるサービスを展開しているものもあり、特にWeChatのミニプログラムは毎年利用者を伸ばしています。

中国の3大ECサイト、タオバオ、Tmall、京東商城の特徴

拼多多以外の主要ECサイトの相違点を紹介します。

アリババが運営するタオバオ(淘宝網)

淘宝網は中国EC市場でも老舗であり、その規模は大きく、取り扱う商品数は日本の楽天以上ともいわれています。また、中国オンライン市場でのシェアは約70%ともいわれています。

メルカリのように個人が商品を出品するため、ソーシャルバイヤーのように個人で仕入れた商品が転売される場にもなっています。

アリババが運営するTmall(天猫)

Tmallはメーカーやブランド等が出店しユーザーに商品を販売するプラットフォームです。越境ECプラットフォームである「天猫国際」も展開しています。

正規品しか出品できないECサイトとして消費者に認識されているため、商品の品質を重視する消費者に選ばれています。

京東商城

京東商城は、中国の二大EC企業として知られる京東(JD.com)の展開するECサイトです。Tmall同様、総合ECサイトとして、食品、日用品から家電、家具、衣類まで取り扱いが豊富です。

大手企業との連携が特徴です。WeChatは中国の生活で欠かせないアプリとなっていますが、京東商城はこのアプリのサードパーティツールとしてプロフィール画面のトップメニューにも並んでいます。

拼多多のユーザーの生活スタイルや接触媒体を把握し、市場開拓に活用

拼多多のユーザーの所得は高くなく、またスマホに慣れていない高齢者もターゲット層です。日本製品を訴求するべき層なのかどうか、判断が分かれるところではあります。

拼多多の共同購入は、共同購入者を募る投稿のシェア数やクリック数によって値引き額が決定するため、投稿はSNS上で拡散されます。広告費を支払わずとも商品の宣伝ができるのは大きなメリットでしょう。

拼多多では上記のように中低所得者層が求める安価な生活必需品に人気が集まる傾向にあります。そのため富裕層向けのブランド品や海外製品ではなく、生活のために必要な商品が出品に適しているといえます。

ただしこうした層も、テレビや動画配信サイト、ショートムービーを通じて日本製品を認知する機械があります。独自の特徴を持つ拼多多を活用することで、中国市場における新たな需要の掘り起こしや売り上げの拡大が期待できるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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