【中国】バイドゥ(Baidu/百度)の最新動向まとめ:経済的な評価やAI導入について解説

公開日:2020年07月14日

中国は政府によりネット利用に制限がかかっているため、独自のWebサービスが発達しています。その一つであるバイドゥ(Baidu/百度)は、2000年に北京で設立されてから、急速に成長した中国の検索エンジン市場や広告市場における大手企業です。

オンラインマーケティングの強みに加え、若年層向けのコミュニティや動画配信サービス市場にも参入し、中国ユーザーを引き付けています。

近年、株価の下落や収益率の低下により企業の評価は低迷しつつありますが、プラットフォーマーとしてのリソースやAI技術を活用した新規サービスへの収益化に取り組んでいます。


“中国のGoogle”バイドゥ(Baidu/百度)について

百度は、検索エンジン市場や広告市場において圧倒的なシェアを誇り、アリババ、テンセントとともにBATという通称で呼ばれ、中国を代表する企業として注目されてきました。

検索エンジン百度(Baidu/バイドゥ)とは

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バイドゥ(Baidu/百度)とは

バイドゥとは、インターネット検索などの情報通信事業を中心とし、中国最大の検索エンジンを提供する会社です。

2000年に北京で設立され、中国の検索エンジン市場においては約70%のシェアを誇っています。

検索エンジン『百度』以外にも多種多様なインターネットサービスを提供しています。

たとえば、アンドロイド・アプリストアやオンライン百科事典、地図サービス、知識共有サイト、旅行情報ポータルサイト、動画配信サービスなど、検索エンジンとソーシャルネットワークサービスがシームレスに利用できるサービスを提供しています。

日本支社は2006年に設立され、訪日中国人向け情報サイトの運営のほか、日本語入力アプリ『Simeji (シメジ)』の開発・提供も行っています。

中国の検索エンジンのシェアではNo.1

中国では、政府の方針によりグレートファイアーウォールという大規模ネット検閲システムによって、インターネット通信に接続規制がされているため、GoogleやYahoo!などの中国外の検索サービスへのアクセスには制限がかかっています。

そのため、バイドゥは中国の検索エンジン市場において70%のシェアを持っており、全世界の検索エンジン市場においても4位にランクインしています

バイドゥでは、検索結果画面に企業広告などを掲載できるリスティング広告も提供しており、中国人向けに広告やプロモーションを行うことが可能です。

このリスティング広告は中国における検索連動型広告市場の80%のシェアを占めているといわれています。

グレートファイアウォールとは?中国のネット規制・回避方法・インバウンドでの対策についても解説

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中国のSNS利用状況

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IT企業御三家「BAT」の一つとして知られた

BATとは中国のインターネット関連企業の最大手3社であるバイドゥ、アリババ、テンセントの頭文字をとった通称です。

三社はそれぞれ主力事業が異なり、検索エンジン市場、EC市場、SNS市場において中国人の生活に必要な存在として成長してきました。

しかし、バイドゥは2018年上半期に約2100億円あった純利益が、2019年上半期には約300億円にまで落ち込み、企業価値が後退しつつあります。

そのため、近年では、アリババとテンセントの2強時代といわれることや、ファーウェイというIT企業を加え、BATに代わりHATという通称で呼ばれることもあります。

中国 バイドゥ(Baidu/百度)の経済的な評価は?

これまで中国の大手インターネット企業として注目されてきたバイドゥですが、中国の経済不振やアメリカとの外交関係も背景にあり、主力事業の収益が低迷したことで、厳しい状況にたたされています。

一時株価下落により過小評価

バイドゥは2019年1〜3月期に約54億円の純損失を計上しました。

過去に上半期の純利益を下回ったのは2010年以来のことで、四半期売上高の73%を占めるオンラインマーケティングによる売上は前年同期比わずか3%の伸び率にとどまりました。

バイドゥCEOのリー氏は急激な業績不振の理由として、中国経済全体が下降傾向にあったことと、政府によるインターネット検閲強化によって中核の広告事業に影響があったことをあげています。

リー氏は、中国政府は景気刺激策を公表しているが、中国全体の経済不振や規制強化がつづけば、オンラインマーケティング市場にとって厳しい状況になる、と述べており、広告事業への懸念が募っているといえるでしょう。

米中関係の影響を受け米上場廃止を検討

ロイター通信は2020年5月21日に、バイドゥがナスダックへの上場廃止を検討していると報じました。

背景には、新型コロナウイルスの中国の対応をめぐって、米中の溝が深まり、アメリカが中国企業への規制を強めていることがあげられます。

バイドゥは2005年にナスダックに上場しましたが、このところ株価が低迷しています。

米議会上院では、中国企業への規制強化を狙った、アメリカ国内で上場する外国企業に、アメリカと同様の規制にする法案、いわゆる上場規制強化案を全会一致で可決しました。

バイドゥはこうした動きを受けて、ナスダック市場では企業価値が過小評価される可能性を懸念し、検討を重ねているようです。

検索エンジンから新しいサービスへ

2020年の第1四半期決算では、新型コロナウイルスによる打撃を受け、広告出稿の減少などにより、1~3月期のネット広告の売上高は前年同期比19%減少しました。

そのため、全事業の売上高総利益率は35%となり前年同期と比較すると3%低下し、営業損益は約66億円の赤字となりました。

一方、新規事業は比較的好調で、子会社で動画配信大手の愛奇芸(アイチーイー)やクラウドサービスなどの、本業であるネット広告を除いた売上高は約1,250億円となり、前年同期と比べると28%増加しました。

新規事業はまだ主力のネット事業に取って代わる売上高とはいえないものの、成長率はバイドゥにとって明るい希望といえるでしょう。

AI技術の導入による新しいサービスの開始

こうした状況の中、バイドゥは新規事業として、AI技術を活用した、自動運転開発のためのプラットフォーム、体温計測システム、翻訳サービスなど、ユーザーの生活に寄り添ったサービスの実用化に取り組んでいます。

AI自動運転

バイドゥは2017年に自動運転領域に参入し、「アポロ計画」と名付けられた業界横断型の技術開発連合を設立しました。

自社開発だけでなく、自動運転技術のプラットフォーマーとしての役割を築き、世界各国の自動車メーカーやサプライヤーとともに自動運転車の開発や量産化を進めています。

バイドゥの強みであるクラウドサービスのプラットフォームを活かし、自動運転技術に必要なリソースを共有することで、スピーディな開発が可能となっています。

自動運転技術の開発競争においては、AIにより多くのアルゴリズムを機械学習によってデータ蓄積させ、判断の精度を高めることが競争力の強化に起因するといわれており、プラットフォームを通じて、膨大な情報量を集約することが狙いといえるでしょう。

AI体温計測システム

また、バイドゥは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、顔認証とサーモグラフィー技術を活用した、体温測定システムを開発しました。

高速鉄道駅など人が行き交う場所で実用化されており、被検温者が動いていても、1分間で200人の体温を測定できます。

特設のディスプレイ上ではリアルタイムで、色により乗客の体温が識別されます。

マスクを着用していても顔認証ができ、異常が見受けられる場合は、すぐに該当の人物をひきとめ、詳しい検温測定を行います。

バイドゥは設置された体温測定設備のアップグレードを行い、今後、公共施設や商業施設、オフィスなどの入室管理にも導入予定です。

AI翻訳サービス

バイドゥが提供する外国語無料翻訳アプリ百度翻訳」は、翻訳対応言語数に注力し、200種類の言語間での翻訳を可能としています。

新型コロナウイルスの流行により、オンライン学習へのニーズが広がったことを受けて、AI技術を活用した画像認識、音声認識を通じて単語を読み込む機能や音声情報を文字情報に変換し翻訳を可能とするスピーキング評価システムなどの機能をリリースしました。

たとえば、ユーザーの好みに合わせたレコメンド機能や発音の正確さをAIチェックする機能があり、高い評価を受けています。

2020年1月~3月期の1日当たりの利用者数は、前年同期と比べると40%増加したと発表されています。

サービスの多様化を目指すバイドゥ(Baidu/百度)今後も注目

バイドゥは主力事業である検索サービス事業や広告事業における落ち込みと動画配信サービスやクラウドサービスなどの新事業での収益化が未だできていないことにより、株価の下落が続いています。

また、中国の経済不振や政府の規制、米中関係の影響を受けて、バイドゥはより一層厳しい状況に立っています。

一方で、ユーザーのニーズや流行を的確に捉え、これまで培った企業のリソースや技術をAI自動運転技術や、新型コロナウイルス感染防止ツールに投資し新事業の収益化を目指しています。

今後新規事業においてどれほどの利益を獲得できるかが、バイドゥの明暗をわけることになるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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