8月9日のシンガポール独立記念日 壮大な「ナショナルデー・パレード」今年は新型コロナ対策仕様に:多民族国家の多様な祝日

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シンガポールは、東南アジア・マレー半島の南端に位置するシンガポール島と60以上の小島から成る島国です。国土面積は約720平方キロメートルと、東京23区ほどの大きさであるにもかかわらず、約564万人の人口を擁しています。

小さな国土に人口が密集しているため、人口は極度に密集しており、国土のほぼ全域に高層ビルが建ち並ぶ都市型国家を形成しています。また、金融、貿易、輸送などさまざまな領域の企業も進出しており、世界で最も競争力のある経済、世界で2番目に混雑するコンテナ港湾、世界で3番目の外国為替市場などの評価を得ています。

シンガポールはアジアのハブ空港であるチャンギ国際空港を有しているため、毎年多くの外国人観光客がシンガポールを訪れます。

訪日シンガポール人の人数も年々増加しており、2019年の訪日シンガポール人は前年から約13%増加した49万2,252人でした。また、2019年の訪日シンガポール人による消費総額は約855億円で、一人あたり17万3,669円を日本滞在中に消費したことになります。

訪日シンガポール人は国別インバウンド市場の中でも比較的大きな市場となっており、英語話者と中国語話者が多いことから言語面でのインバウンド対策も比較的容易であるとして注目が集まっていました。

そんなシンガポール人にとって、一年の中で最も重要な日のひとつが8月9日の独立記念日(National Day)です。独立記念日はシンガポール人のアイデンティティにもかかわる日で、この日はシンガポール中が祭典の熱気に包まれます。

シンガポール独立記念日予行練習の様子に関するTwitter投稿
▲Twitter投稿:編集部スクリーンショット

Twitter:シンガポール独立記念日予行練習の様子に関する投稿(https://twitter.com/jun_valvatos/status/1155071133323935744)


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シンガポール独立記念日の由来とイベント

独立記念日は、1965年8月9日にシンガポールがマレーシアから独立したことを記念する日です。

近代のシンガポールはイギリスと日本の占領を受けており、1963年にようやくマレーシア連邦の一地域として長年の悲願であった独立を果たしました。その後、マレーシア中央政府とシンガポールの政党との間で民族政策に関する相違が生じ、結果としてシンガポールは1965年8月9日にマレーシア連邦を追い出される形での独立を迫られることになりました。

シンガポール島は無名の島をイギリスが開拓したことで発展した島であるため、現在のシンガポール人のほとんどはマレー半島をはじめとする他の地域からの移民です。 2017年時点のシンガポール国民は華僑が約74%、マレー系が約13%、インド系が約9%となっており、シンガポール人の多くは中華系の血を引く人々です。

複雑な歴史と文化を背景に持つシンガポールですが、8月9日の独立記念日は異なる文化背景を持つ国民全体で盛大に祝い、国威発揚する重要な日となっています。独立記念日にはパレード、歌や踊りなどの上演、花火などが催され、国中が祭りの雰囲気に包まれます。

独立記念日の要は「ナショナルデー・パレード」軍事力を披露

独立記念日の祭典は、国歌斉唱から始まります。その後、巨大なシンガポール国旗を吊り下げたヘリコプターがシンガポール島中を飛行し、独立記念日が盛大に始まります。

独立記念日のさまざまな催しはまとめて「ナショナルデー・パレード(National Day Parade)」と呼ばれます。

ナショナルデー・パレードでは最新鋭の戦車や兵器が街を行進し、戦闘機が編隊飛行を披露します。

シンガポールは国土こそ小さいものの、マラッカ海峡に臨する地政学的に重要な位置に存在していることから、軍事力を強化することで内外の安定を図っています。

約564万人の人口のうち2万人が職業軍人として従軍しており、更には全男性国民に対し2年間の徴兵制度が課されています。徴兵終了後も予備役兵として13年間の訓練が課されるなど、軍事力の維持には特に力を入れています。

そのため、ナショナルデー・パレードでも陸軍、空軍、海軍それぞれが軍事力を披露することに重きが置かれており、パレードの様子はテレビでも生中継されます。

軍事パレードが終わると、歌手や芸能人が出演するショーが催されます。夜にはシンガポール島のあちこちで花火が上がり、ナショナルデー・パレードのラストシーンを飾ります。

ウィズコロナでどうなる?イベント、パレードを分散・自宅からの参加も

新型コロナウイルスはシンガポールにおいても猛威を振るっています。シンガポール国内では2020年8月6日時点で5万4,000名以上の感染者が確認されており、27名が死亡しています。

シンガポールでは4月7日から都市封鎖(ロックダウン)が実施され、生活の維持に必須となる職業を除く多くの業種が業務を中止したほか、外国人労働者の間で感染が広がったことから外国人労働者に対し外出規制を敷きました。

就業規制は6月1日に解除され、政府当局は今後3段階に分けて元の社会生活へと戻していく計画を打ち出しています。現在は3段階中の第1段階を実施しており、全労働者の3分の1が就業に復帰しています。

2020年の独立記念日はこのような状況下で迎えることとなったため、例年と比べていくつかの変更点があります。

まず、従来はひとつの大きな会場で催されていた数々のイベントを、シンガポール各地に設けられた会場に分散させ、一箇所に多くの人が集まるリスクを減らしました。

ナショナルデー・パレードの戦車行進は5つのルートに分かれて実施されるほか、ヘリコプターによる国旗の凱旋は2つのルート、パラシュート降下のデモンストレーションは2箇所で同時に実施されます。

また、夜には「ライトアップ・モーメント(Light-Up Moment)」という、シンガポール中の各戸が窓やベランダから一斉にライトをかざす時間が設けられており、自宅からでもナショナルデー・パレードに参加できるよう配慮がなされています。

知っておきたいシンガポールの祝日

シンガポールには、独立記念日の他にもさまざまな祝日があります。

華僑、マレー系、インド系の3民族が共存しているシンガポールでは、それぞれの民族の風習や宗教に基づいた祝日が設けられており、日本では馴染みのない祝日も存在します。

独立記念日以外にも数あるシンガポールの祝日の中で、特に知っておきたい日をいくつか紹介します。

独立記念日の次に盛り上がる「旧正月」

旧暦の元旦である旧正月(Chinese New Year)、または春節は、中華圏では最も重要な祝日とされています。

中国、台湾、香港、マカオでは旧正月の前後7日程度が祝日となり、中華文化の影響を受けた韓国、北朝鮮、ベトナムや、華僑系国民の多いマレーシア、インドネシア、ブルネイ、モンゴルそしてシンガポールでも、旧正月は祝日となっています。

シンガポールでは、旧正月とその次の日が祝日とされています。今年の旧正月は新暦1月25日であったため、1月25日と1月26日(日曜なため翌日に振り替え)が祝日でした。

旧正月には、華僑系シンガポール人が多く住むチャイナタウン全体が鮮やかな装飾でライトアップされ、ナイトマーケットが開催されます。

また、チンゲイ・パレードと呼ばれるパレードが催され、巨大な山車や龍が街を練り歩き、華僑系のみならずさまざまな民族がこのパレードに参加します。

仏教、イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教それぞれの祝日

シンガポールでは、華僑系の仏教、マレー系のイスラム教、インド系のヒンドゥー教、そしてイギリス植民地時代に広まったキリスト教と、各民族の宗教に合わせた祝日が設けられています。

仏教系の祝日としては、旧暦4月15日のウェーサーカ祭(Vesak Day)があります。この日は主に仏教を信仰する華僑系シンガポール人により祝われます。

イスラム教系の祝日としては、ヒジュラ暦10月1日のハリラヤ・プアサ(Hali Raya Puasa)とヒジュラ暦12月10日のハリラヤ・ハジ(Hali Raya Haji)があります。

これらの日は主にイスラム教を信仰するマレー系シンガポール人により祝われます。

ヒンドゥー教の祝日としては、ヒンドゥー歴カールッティカ月の新月の日のディーパバリ(Deepavali)があります。

この日は主にヒンドゥー教を信仰するインド系シンガポール人により祝われます。

最後にキリスト教系の祝日としては、春分日後の満月後の金曜日のグッドフライデー(Good Friday)と、12月25日のクリスマス(Christmas Day)があります。

これらの祝日は12月25日のクリスマスを除き、各民族独自の暦や天文現象に基づいて定められています。そのため、シンガポールの祝日の多くは決まった日付を持っておらず、毎年日付が異なることに注意が必要です。

シンガポール全土が熱気に包まれる独立記念日

独立記念日はシンガポールで最も重要な祝日であり、苦難の歴史を経て独立へと至り経済的な成功を遂げた現在のシンガポールを讃える日でもあります。

独立記念日にはシンガポール軍誇りの兵器や戦車、戦闘機、軍艦などが勢揃いし、国中でパレードが催されます。今年は新型コロナウイルスの流行により、例年とは少し異なる独立記念日となるようです。しかし、ナショナルデー・パレード自体は今年も開催され、例年通りの盛り上がりを見せることが予想されます。

シンガポールから日本を訪れる観光客は2019年時点で49万人を超えており、その消費総額は約855億円と、無視できない規模のインバウンド市場を形成しています。自治体やブランドは、シンガポールの祝日や文化を理解しそのタイミングに合わせたメッセージを発信することで、効果的なブランディングを図ることができるでしょう。


<参照>

マレーシアマガジン:マレーシアの人種について

Singapore Style:Racial Harmony Day ~ 今日は違う民族が共に仲良く暮らすことを祝う日

シンガポール日本人会:ナショナルデー / National Day

MERLION CHANNEL:シンガポール建国55周年!コロナ禍で迎える「ナショナルデー2020」

日本貿易振興機構:ウィズ・コロナに踏み出すシンガポール

JTB MyBus:シンガポールの旧正月と祝日(2020年版)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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