VR旅行でバーチャル観光 | 疑似体験の魅力を作る動画コンテンツ・事例で知る新たな観光ビジネスの形

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新型コロナウイルスの流行により、海外への渡航制限が敷かれたり、旅行を避ける心理が広がっています。

2020年の年明け以来、海外旅行市場、国内旅行市場ともに厳しい状況が続いています。

普段頻繁に旅行に出かける人にとっては、旅行ができないことにストレスを感じることもあるようです。

このような状況の中、旅行者のニーズを満たすVR旅行の提供が始まっています。

VRとらべる旅行では、360度映像などにより実際に現地にいるような臨場感を味わえることに加え、現実の旅行にはない観光体験もできるなど、仮想現実ならではの醍醐味もあります。

本記事では、VR旅行の紹介や観光事業などでの活用事例とVR旅行コンテンツの制作方法について解説します。

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VR旅行で観光地を疑似体験

VR元年といわれている2016年からVR技術は日々進歩しており、これまでにもさまざまな業界や企業で活用されてきました。

今回、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、VR技術を利用した旅行へのニーズがより高まっているようです。

360度の写真や動画で現地にいる気分を味わえる

VR旅行とは、仮想現実旅行、つまり自宅や室内にいながら写真や動画を用いて実際に旅行先にいるような気分を味わえる体験コンテンツのことです。

360度写真や動画を用いたものもあり、これらは普通の写真や動画とは異なり周囲をくまなく見渡せるため、実際にその場にいるような高い臨場感を得られます。

Oculus RiftやGear VRなどのVR専用のウェアラブル端末に向けたコンテンツもありますが、YouTubeなどでVRツールを持っていない人も手軽に楽しめるコンテンツも多く存在します。

現状のコンテンツ内容としては、有名観光地や絶景スポットなど視覚にわかりやすく訴えかける場所が多いようです。

VR旅行が新型コロナの影響で人気に

VR旅行はVR技術の発展により少しずつ知名度をあげ、これまで航空会社や博物館などが自社コンテンツの一部として旅先や観光地の映像を提供していました。

そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大により多くの人が旅行したくてもできない状況となりました。

外務省の海外安全ホームページによると、7月30日現在で、日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置をとっている国や地域は129か国あります。

旅行をしたい人が旅行の欲求を満たすため、VR旅行を利用しはじめているようです。

VR旅行コンテンツ制作会社「Ascape」は、2019年の12月から2020年の4月で同社のアプリのダウンロード数が60%増加したと発表し、VR旅行の人気が急速に高まりつつあります。

VR旅行のバーチャル観光コンテンツ事例

新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けた地域や企業は、対面でのサービスが難しい状況の打開策としてVR旅行を導入しはじめています。

京都府宮津市:天橋立をドローンで撮影

京都府宮津市では、新型コロナが落ち着いた後に観光客を呼び込む策として、ドローンを用いて天橋立を撮影した360度バーチャル映像と、ご当地料理のぶりしゃぶを擬似的に食べられるVRコンテンツを制作し、関係者に向けて公開しました。

宮津市では新型コロナウイルス感染拡大による観光客の減少が地域産業に打撃を与えており、2020年3月から5月までの同市における観光消費額は前年同期と比べて約9割減、金額にして約20億円減となっています。

今回制作された映像はYouTubeでの公開を予定しており、VRを通じて海の京都としての宮津市の魅力を再認識してもらうことがコロナ後に観光客を呼び戻す一歩になると期待されています。

国立科学博物館:館内の展示をVRで鑑賞

国立科学博物館では、新型コロナウイルスの影響を受け臨時休館を行いました。

この休館をきっかけに、自宅にいながら科学博物館を楽しめるよう、高画質で撮影された館内の展示物をVRで鑑賞できるコンテンツ「かはくVR」を公式サイト上で提供しています。

「かはくVR」では国立科学博物館の二大展示館である日本館と地球館を巡ることができ、まるでその場にいるかのごとく各展示を鑑賞できます。

館内を自由に直感的に移動でき、リアルでは味わえないバーチャルの醍醐味も体験できます。

VR映像の場合は専用のゴーグルやメガネが必要ですが、3Dビュー映像はパソコンやスマートフォンで手軽に鑑賞したり、テレビの大画面で鑑賞したり、さまざまなシーンで楽しめるコンテンツとなっています。

観光コンテンツの一つである博物館の展示をVRとして提供するこの試みも、VR旅行の一事例といえるでしょう。

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バーチャルマーケット4:東京を舞台にした仮想空間

「バーチャルマーケット」は、仮想世界でショッピングが楽しめる世界最大のVRイベントのことです。

2020年4月29日から5月10日に開催されていた「バーチャルマーケット4」では仮想空間の東京をイメージした「パラリアルトーキョー」を舞台とし、伊勢丹やWEGOなどが出店しました。

販売を主なコンテンツとする企画ですが、仮想空間にある東京を訪問するという点でVR旅行の一形態といえるでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大による営業時間短縮や外出自粛によって、百貨店をはじめファッション業界の売上も大きな影響を受けています。

日本百貨店協会が7月21日に発表した6月の全国百貨店売上高概況によると、全国の百貨店203店を対象とした調査における全体の売上総額は前年同月比19.1%減で、9か月連続の減収を記録しています。

バーチャルイベントでの販売や宣伝は、対面での営業が厳しい状況を打開する糸口になるのでは、と期待されています。

伊勢丹が世界最大級のバーチャルイベントに出店、VRでウィズコロナ時代の小売市場を切り拓く

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VR旅行で提供するバーチャル観光コンテンツ制作のポイント

実際にVRコンテンツを制作する場合は、360度カメラで撮影をする、専門業者に依頼するという方法があります。

ただ映像を羅列するのではなく、被験者の立場にたったストーリー性を意識するのも大切です。

360度カメラでの撮影が望ましい

VR旅行では、360度周囲を自由に見渡せる映像によって臨場感を演出できます。そのため360度カメラで上下左右前後の全てを映像として記録しコンテンツ制作するのが望ましいでしょう。

360度カメラにはリコーが提供するRICHO THETAやArashi VisionのInsta360などがあり、価格は3万円から10万円ほどで購入できます。

また、通常のカメラでも観光客目線で撮影することでVR旅行のコンテンツ制作は可能です。

制作したいシーンによって撮影ツールを適切に使い分けるのが良いでしょう。

映像そのものに加えストーリー性も考慮

VR旅行の目的は家にいながら観光を楽しむことなので、映像の精細さと同時に観光コンテンツとして成り立つかどうかにも気を配る必要があります。

自治体や事業者が見せたい映像をただ流すのではなく、ストーリー性をもったコンテンツとなるよう留意することが重要です。

撮影地の選定は慎重に行うことで、コロナ禍でなくても普段なかなか足を運んでもらえていなかったようなイチオシの観光地を世間に広める絶好の機会になるといえます。

VR旅行・バーチャル観光コンテンツの制作業者に依頼することも可能

VR旅行の需要が高まりつつある現在、VR旅行やバーチャル観光コンテンツ制作を手掛ける事業者も多くなっています。

専門事業者であればプロ向けの機材を揃えており、企画から制作までを一任できます。

ストリートビューの撮影実績やインバウンド動画制作の経験もある場合が多く、専門事業者に依頼することで質の高いVR旅行コンテンツが期待できます。

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ウィズコロナアフターコロナといわれる状況の中で、VR旅行は2つの活用のされ方をしています。

1つは現実の旅行をVR旅行で補完するため、そしてもう1つは、VR旅行で興味をもたせ、コロナ収束後に現地を訪れてもらうためです。

今回紹介した京都府宮津市や国立科学博物館の事例のように、すでに自治体や企業ではVR旅行を通して新しい観光体験を提供する動きがはじまっています。

VR旅行は、コロナウイルスにより人の交流や対面サービスが制限されている中での新事業や広報の有効な手段の1つといえるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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