京都市観光協会は9月30日、2020年8月の月報にて市内宿泊施設のデータを発表しました。
本調査では、京都市内における延べ宿泊者数や外国人比率、客室稼働率、平均客室単価、客室収益指数のデータをもとに、京都市内の観光業の現状と今後の動向を予測しています。
2020年8月のデータでは、日本人延べ宿泊客数が7月に引き続き前年同月の5割まで回復した一方で、外国人延べ宿泊客数は5か月にわたり「ほぼゼロ」の状態が続いていることが明らかになりました。市内宿泊施設の客室稼働率も微増傾向にはありますが、依然として厳しい状況は変わっていません。
このような現状ではありますが、10月1日に政府が全世界を対象に入国制限を緩和したことや、7月に開始されたGo To トラベルキャンペーンによる国内旅行の需要回復など、今後の観光業界の動向に注目が集まります。
本記事では2020年8月のデータをふまえ、入国制限緩和やGo To トラベルキャンペーンの実施から予測される、観光業界の今後について解説します。
《注目ポイント》
- 日本人延べ宿泊客数は前月7月に引き続き前年同月比5割まで回復
- 外国人延べ宿泊客数は5か月連続でほぼゼロに近い数字が続く
- 9月以降は需要回復の兆しがあり、今後に期待
京都市観光協会データ月報7月
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日本人延べ宿泊者数:前月に引き続き前年の5割まで回復
2020年8月の京都市観光協会データ月報によると、京都市内63の宿泊施設における2020年8月の日本人延べ宿泊客数は14万8,329人で、前年同月比48.2%減となりました。しかし、前月からは1.9ポイントの回復となっており、3か月連続で前月からの改善をみせています。
一方で、外国人延べ宿泊者数は前年同月比99.8%減の610人となっており、依然として全ての国・地域において外国人の宿泊がほぼゼロとなる状況が5か月にわたり続いています。総宿泊客数における外国人の比率はわずか0.4%となっており、政府による入国制限が大きく影響していると考えられます。
客室稼働率は22.8%で前月の20.1%よりも2.7ポイント上昇し、4か月連続での改善がみられました。しかし、前年同月と比べると60.5ポイント減と宿泊施設にとって厳しい状況が続いています。
宿泊施設の客室収益指数(※客室稼働率と平均客室単価から算出)も前年同月比75.4%減となった一方で、減少幅は4か月連続で改善しています。
なお、ビッグデータに基づき算出された京都駅への来訪者数は6月以降横ばいとなっており、お盆期間中も目立った来訪者数の増加はみられなかったことがわかっています。
Go To 効果で9月以降の回復に期待/入国制限緩和の動きも
京都市観光協会のデータ月報によると、8月の宿泊者数や来訪者数は7月から横ばいの状態であったことがわかりますが、9月以降、Go To トラベルキャンペーンの効果が少しずつ現れ始めています。
クレジットカード会社JCBとビッグデータ活用による分析サービスを提供するナウキャストの調査によると、国内の消費指数は、Go To トラベルキャンペーン開始以降、「旅行」は緩やかな回復傾向にあり、「航空旅客」「鉄道旅客」など「交通」のカテゴリにおいても回復の動きがみられています。
また、NEXCO3社と本州四国連絡高速道路が発表したデータでは、9月の4連休の日平均交通量は、前年比17%増加し、今年のお盆を約3割上回る交通量でした。
このようなデータから、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつある京都では、9月以降、日本人宿泊客数は引き続き回復していくことが予想されます。
また、政府は10月1日から、1日1,000人程度を上限として全世界を対象に入国制限を緩和しています。
これまで政府はタイやベトナム、台湾、シンガポールなどの国々と段階的な入国制限緩和を行ってきましたが、全世界からの入国が可能になったことでさらなる外国人客数の増加が期待されます。
一方で、世界的にはヨーロッパを中心とした感染再拡大などによって各方面での航空便の運行は伸び悩んでいるのが現状です。インバウンドの回復も視野に入ってきているものの、まずは国内旅行を中心に需要が回復していくことになるでしょう。
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<参照>
京都市観光協会:京都市観光協会データ月報(2020年8月)
NEXCO東日本 オフィシャルサイト:9月の4連休における高速道路の交通状況(速報)【全国版】
PR TIMES:「Go Toトラベル」期間中の9月前半、「旅行」や「航空旅客」「鉄道旅客」消費が回復~9月前半の国内消費指数「JCB消費NOW」ハイライト~
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