8月の宿泊者数、前月比1.2倍に:入国制限緩和でインバウンド回復なるか【宿泊旅行統計調査】

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

観光庁は9月30日、宿泊旅行統計調査の2020年7月第2次速報と8月第1次速報を発表しました。

宿泊旅行統計調査とは、日本人・外国人の宿泊状況を明らかにし、延べ宿泊者数・実宿泊者数、客室稼働率、国籍別の延べ宿泊者数などをデータ化したものです。 調査は月ごとに実施されています。

発表された調査データによると、2020年8月の延べ宿泊者数は2,628万人泊で、前年同月比58.4%減となりました。

また、外国人延べ宿泊者数は前年同月比97.6%減と、前月に引き続き大きく落ち込んでいます。一方で、日本人延べ宿泊者数は前月の2,135万人泊から2,605万人泊と増加し、前月に引き続き前年同月の5割程度にまで回復しています。

この記事では、8月の宿泊旅行統計調査データを参考に、国内外の宿泊者数の動向や今後の展望について解説します。

《注目ポイント》

  1. 8月の延べ宿泊者数、2,628万人泊で前年同月比58.4%減
  2. 日本人宿泊者数2,605万人泊、前年5割まで回復
  3. 外国人宿泊者数23万人泊、前年同月比97.6%減

関連記事
7月 宿泊旅行統計

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

8月の日本人宿泊者数:前年5割まで回復、7月比1.2倍に

2020年8月の延べ宿泊者数は2,628万人泊で、前年同月比58.4%減となりました。

観光庁発表の延べ宿泊者数推移
▲[延べ宿泊者数推移]:観光庁宿泊旅行統計調査

全体のうち、日本人延べ宿泊者数は2,605万人泊で、前月7月の2,135万人泊から470万人泊増え、約1.2倍となりました。前年同月と比較すると、5割程度にまで回復しています。

政府が国内旅行を対象とし旅行代金を補助する施策「Go To トラベルキャンぺーン」が7月22日に開始されたことや、お盆期間の連休などが主な回復の要因として考えられます。

8月の外国人宿泊者数:前年同月比97.6%減で横ばい

日本人の宿泊者数が回復傾向にある一方で、8月の外国人延べ宿泊者数は23万人泊で前年同月比97.6%減と、いまだ厳しい状況が続いています。

前月7月も同じく23万人泊であったことから、外国人の宿泊者数は横ばいの状態が続いており、新型コロナウイルスの影響は今後も継続すると考えられます。

しかし、9月以降は台湾やマレーシア、シンガポールとの間でのビジネス目的の往来を再開したほか、10月1日には全世界を対象に入国制限を緩和しています。このような動きから、今後の外国人宿泊者数の回復が期待されています。

8月の客室稼働率:32.1%で前年5割まで回復

8月の客室稼働率は全体で32.1%で、前年同月比37.3ポイント減となりました。

前月同様、旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿所のすべてで前年同月から稼働率がマイナスとなりました。特にシティホテルでの減少率が前年同月比54.8ポイント減と高く、訪日外国人観光客数減少の影響は続いています。

しかし、前月の29.6%から全体で2.5ポイント回復し、ビジネスホテルを除く4つの施設形態で前月を上回る結果となりました。また、前年同月の69.4%と比較すると、客室稼働率5割程度まで回復していることがわかります。

Go To トラベルキャンペーンにより連休を中心に宿泊を伴う国内旅行需要が高まることで、今後の稼働率の上昇につながると考えられます。

8月国籍別外国人延べ宿泊者数:全国籍で大幅減

2020年8月 前年同月(2019年8月) 前年同月比

アメリカ

38,320人 491,480人 92.2%減
フィリピン 20,580人 50,540人

59.3%減

中国

15,580人 3,167,400人 99.5%減

ベトナム

7,040人 52,650人 86.6%減

韓国

5,330人 566,440人 99.1%減

上の表は、8月の宿泊者数が多かった上位5位までの国・地域の宿泊者数と、前年同月比をまとめたものです。今回はアメリカ、フィリピン、中国、ベトナム、韓国の順となりました。

2位のフィリピンは減少率が前月の63.3%から回復したものの、そのほかの地域(集計されている21区分)では、前年比おおむね80~90%以上の大幅な減少を記録しました。

前月7月や6月と比較して全体的に減少率はわずかに下がっているものの、訪日外国人観光客の増加によるインバウンドの回復には程遠いといえるでしょう。

※国籍別外国人延べ宿泊者数は、従業者数10人以上の施設に限った数値です。

Go To 効果で国内旅行は回復傾向に、入国制限緩和の動きも

8月の宿泊者数は、7月の1.2倍とわずかに回復しました。7月22日から開始されたGo To トラベルキャンペーンの効果もあり、国内旅行は徐々に回復傾向にありますが、今後も日本人宿泊者の増加は続くものと考えられます。

Go To キャンペーンの効果を示すものとして、 クレジットカード会社JCBとビッグデータ活用による分析サービスを提供するナウキャストが調査した国内の消費指数があります。

これによると、Go To トラベルキャンペーン開始以降、「旅行」は緩やかな回復傾向にあり、「航空旅客」「鉄道旅客」など「交通」のカテゴリにおいても回復の動きがみられています。

一方で、「宿泊」や「娯楽」などのカテゴリは、お盆の連休以降伸び悩んでいることもわかっており、これからの11月の連休や正月の連休での回復が期待されています。

また、インバウンドにも少しずつ回復の兆しが見えつつあります。

政府はこれまで、7月にタイとベトナム、9月には台湾やマレーシア、シンガポールなどの国々との間で段階的な入国制限緩和を行ってきました。

そして10月1日からは、ビジネス目的や中長期の滞在者を対象とし、1日1,000人程度を上限として全世界からの入国制限の緩和を開始しています。これにより、これまで「ほぼゼロ」といわれてきた訪日外国人の数が徐々に増えていくことが期待されます。

外国人観光客の入国、オリンピックに向け本格検討 4月再開の可能性も…インバウンド向けコロナ対策案は?

10月3日、日本政府は来年夏に開催される東京オリンピックに向け、訪日外国人観光客の入国解禁について、本格的に検討し始めたことがわかりました。インバウンド向けの新型コロナウイルス対策案についても詳細が一部示されました。目次「観光客」の入国について、初の本格検討へアプリによる健康管理や専用の「発熱センター」設置を検討「観光客」の入国について、初の本格検討へ日本政府は来年夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、訪日外国人観光客の受け入れ再開をめぐり、本格的な検討を始めました。...


全世界からの入国解禁へ、10月から:一日1000人、中韓台などは更に追加枠も 観光客除く

日本政府は10月初めに、全世界からの入国を一部解禁する方向で調整を進めていることがわかりました。関連記事台湾とのビジネス往来再開 8日から:中韓より先行 東アジアでは初目次10月初め、全世界からの入国を一部再開へ10月初め、全世界からの入国を一部再開へ一部の報道によると、日本政府は10月初めに、全世界からの入国を一部再開する方針で調整しているといいます。現在日本政府が入国制限対象としているのは、世界の159カ国・地域となっており、これらの国・地域で過去2週間滞在歴のある外国人は原則入国を拒...

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

<参照>

観光庁:宿泊旅行統計調査 (令和2年7月・第2次速報、令和2年8月・第1次速報)

外務省:国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について

PR TIMES:「Go Toトラベル」期間中の9月前半、「旅行」や「航空旅客」「鉄道旅客」消費が回復~9月前半の国内消費指数「JCB消費NOW」ハイライト~

訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ

訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。

Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう


Google は 11 月 14 日、「飲食店・ホテルサミット」を東京・渋谷で開催します。オフライン・オンラインのハイブリッド開催で、参加費は無料です。

今、国内客・インバウンド客向けの集客手法として注目される「Google ビジネス プロフィール」を中心に、飲食・ホテル向けの最新機能やトレンドといった情報を、Google の担当者から直接聞くことができる貴重なセミナーイベントとなっています。

また、イベントの最後には会場参加者限定で交流会も実施します。Google ビジネス プロフィールを運用されている / これから運用したいと考えている飲食店・ホテル担当者の方、この機会にぜひお申し込みください!

※訪日ラボ/口コミアカデミーを運営する株式会社 mov は、Google 主催「飲食店・ホテルサミット」のメディアパートナーです。

※会場の座席には限りがございますのでお早めにお申し込みください。来場希望者が多い場合は抽選となる場合がございます。

詳しくはこちらをご覧ください

Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう

【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか

 

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに