渋谷区「若者向けワクチン抽選」からみえる分配の難しさ/接種進む世界では

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9月13日時点で、日本ではワクチン接種2回以上完了率が過半数を超えました。

東京都は接種率が高まったことを背景に、特に若者に対して接種を推進しようと「東京都若者ワクチン接種センター」を8月27日に渋谷区に開設しました。

しかし開始後にワクチン接種を求めて若者が長蛇の列を作ったため、9月4日からオンライン抽選制度が導入されました。

一連の出来事からは、若者のワクチンを接種したいという需要に対して供給が追いついていない実態が明らかとなりました。

いっぽう世界では、ワクチン接種により国境を一部開放する国も増えてきています。

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渋谷区、若者向けにLINEでワクチン抽選開始

8月27日、東京都は「東京都若者ワクチン接種センター」を渋谷区に開設しました。

「予約なしで打てる」ことを売りとして、16~39歳までの都内在住、在勤、通学者を対象としたものでした。

しかし開始初日に午前4時から行列ができ、午後7時半には整理券がなくなるという事態になりました。

その後は対面で抽選券を配布する抽選制を導入したものの、今度は抽選券を求める長蛇の列ができてしまい、9月4日にオンライン抽選に切り替えました。

「打ちたくても打てない」実態が明らかに

一連の流れから接種が進まない実態について、多くの若者が「打ちたくないから打っていない」という意思に問題があるのではなく、「打ちたくても打てないので打っていない」という、ワクチン供給量の不足に悩んでいることが明らかとなりました。

結果的に8月に感染者数は増加し、緊急事態宣言も9月末まで延長されることとなりました。

背景にはワクチン「分配」の難しさ

背景には、政府が「全自治体に平等に配る」ことを優先した結果、人口密度が加味されず、都市部で供給が少なくなってしまったことが挙げられます。

人口に応じた配分枠の減少により、感染が拡大しやすい人口密集の大都市でワクチンが不足するという事態に陥っています。

接種予約システム(VRS)上の問題も、リアルタイムで配分できていない要因となっています。

人口に応じた配分が正確に行われておらず、接種もリアルタイムで把握できていないことから、ワクチンの配分がうまく回っていないとみられます。

接種率は向上しても、真に必要な大都市部分を抑えられていないため、感染が拡大しているとも考えられます。

世界ではワクチン接種により国境開放

世界では、ワクチン接種率向上を理由として、観光目的での入国を受け入れる国が出てきています。

いっぽう日本でも必要回数のワクチン接種が完了した割合が50%を超えるなど、急速なスピードで接種が進んでいます。しかしながら、日本では感染拡大状況の落ち着きがみられなければ経済再開へ大きく舵をきることは難しいというのが世論といえるでしょう。

政府としても、緊急事態宣言が解除されなければ各種観光再開への施策を推進できず、結果として観光業復興への道のりがいっそう遠のく事態となってしまっています。

世界ではワクチン接種による旅行再開へ

世界では、ワクチン接種者に対して隔離を免除する取り組みが進められています。

イギリスでは8月2日からEUとアメリカからの渡航者に関して、ワクチン接種済みであれば隔離措置なしで入国を可能としています。

またベルギーでは、日本は「ハイリスク国」とみなされるも、ワクチン接種者に対しては隔離不要となっています。

オーストラリアの航空会社カンタスグループでは、ワクチンの接種率が上がれば日本へのフライトを再開する見通しとなっています。

またグアムと韓国の間でもワクチンの接種率向上によりフライトが再開されています。

以上のようにワクチン接種によって隔離免除や国境を解放する国も現れはじめています。

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日本では対策打てず、経済的打撃の長期化が続く

関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によれば、「新型コロナにより失われた2020年の訪日外国人の経済効果」は、日本全体で約10兆9,557億円にものぼるとされています。

東京五輪効果で一時入国人数は戻ったものの、緊急事態宣言の影響や行動制限により、免税売上高は低い状態が続いています。

なお大和総研が試算したGoToトラベルキャンペーンの経済効果では、経常利益が3.4兆円押し上げられていました。

しかし緊急事態宣言により「GoTo」関連の事業が停止され、これがすべてゼロの状態となりました。

感染拡大が抑えられていないため、この経済的打撃はより長期化することも予想されます。

11月初旬ごろの旅行再開が示唆されるも、すべてはワクチンと緊急事態宣言次第という状態が続いています。

当然、インバウンド再開のタイミングも大きく遅れを取ることとなります。

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ワクチン普及とともに、補助金等の活用も検討を

今後に向けてまずはワクチンの確保、そして適切な量の配分が必要となるでしょう。

ワクチンが十分に行き渡った時には、世界の事例も参考として国境を開放し、各国のインバウンド再開状況に可能な限り遅れを取らないようにする必要があります。

観光事業者は自社の従業員に接種を促すとともに、現在も利用できる補助金を確認して実行することで、経済的ダメージを抑えて凌ぐことができるでしょう。

関連記事:2021年観光白書徹底解説 2. コロナを受けた各種支援の状況

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<参照>

首相官邸:新型コロナワクチンについて

東京都:東京都若者ワクチン接種センターの開設について(第2372報)

関西大学:プレスリリース「宮本勝浩名誉教授が試算。新型コロナにより失われた2020年の訪日外国人の経済効果」を配信

大和総研:緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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