日本政府観光局(JNTO)は、2021年7月の訪日外客数推計値を発表しました。訪日外客数は51,100人で前年同月比1,251.1%増となりました。
入国者数は6月よりも大きく増え、昨年12月以来の5万人台となりました。東京五輪の開催が大きく影響していると考えられます。
本記事では、2021年7月の訪日外客数について、各市場のデータと動向をふまえて解説します。
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7月の訪日外客数は51,100人
2021年7月の訪日外客数は51,100人となり、前年同月比1,251.1%増加しました。2020年12月ぶりに5万人台となり、高い水準となっています。
8月16日から開始された1日あたりの入国者数上限緩和や、8月24日から開催される東京パラリンピックの影響に伴い8月はさらに増加することが見込まれます。
一方で、変異株の影響もあり感染状況は悪化の一途をたどっています。訪日外客数の増加傾向が続くかどうかは予測がつかない状態が続いています。
関連記事:日本、入国者数上限を3,500人へ緩和 国際線の搭乗者数も6,100人ずつに緩和へ
東アジア
2021年7月の東アジア各国の訪日客(前年同月比)は、韓国が1,800人(512.2%増)、中国が3,900人(396.8%増)、台湾が600人(488.2%増)、香港が300人(1478.9%増)となりました。
国際的な人の往来再開に向けた段階的措置として、2020年10月8日からレジデンストラックおよびビジネストラックが運用されていたものの、2021年1月14日から運用が停止されている状態が続いています。
韓国
韓国では、海外旅行の中止や延期を国民に要請する韓国政府による特別旅行注意報が、昨年3月に発出されてから再度延長を繰り返しています。現在は2021年9月13日まで再度延長されている状態です。なお、ワクチン接種の進展に伴い接種者への規制が緩和され始めています。外務省によると、2021年7月1日から、韓国国外でのワクチン接種完了者で、①重要な事業上の目的、②学術・公益目的、③人道目的の隔離免除書を発行されるものに対しては、14日間の隔離を免除されます。日本の海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書(以下ワクチンパスポート)も、接種証明書として利用可能です。
韓国病気管理庁によると、韓国国内の接種完了率は8月23日現在22.5%で、1回目の接種完了率は50.5%となっています。ただ、新規感染者数は1,370人と収束傾向はみられません。
中国
中国では2020年4月21日以降、中国政府外交部から海外旅行自粛が指示されており、実質的に観光客の渡航が不可能な状況が続いています。中国人が日本から入国する場合は、原則としてフライト搭乗前2日以内に実施したPCR検査と血清IgM抗体検査の陰性証明の取得、及び搭乗時の陰性証明書の提示、14日間の施設での隔離などが求められます。8月23日現在、日本のワクチンパスポートは使用できません。(IgM抗体検査の場合、陰性で感染力が少ないことが示されます。)
なお中国国家衛生健康委員会によると8月23日現在1日当たりの感染者が21人だと発表されています。
台湾・香港
台湾衛生福利部疾病管制署によると、8月23日現在1日当たり10人の感染が確認されました。感染者数は徐々に減少しており、8月21日には新学期に合わせ海外からの留学生を受け入れると発表しています。ただし、日本のワクチンパスポートは使用できません。
なお、香港では日本のワクチンパスポートを利用でき、ワクチン接種者であれば隔離が必要なものの入国が可能になっています。
東南アジア
2021年7月の東南アジア各国の訪日客(前年同月比)は、タイが200人(1076.5%増)、シンガポールが200人(1438.5%増)、マレーシアが200人(3233.3%増)、インドネシアが400人(640.7%増)、フィリピンが500人(880.4%増)、ベトナムが400人(36.8%減)、インドで400人(15.6%増)となりました。
シンガポールでは8月17 日時点で、人口の77%がワクチン接種を完了しており、9月にも日本からのワクチン接種完了者に対しては施設指定ではなく自主隔離ができるようになります。
またマレーシアでも観光再開への意欲を示しており、9月からまずは離島において観光客を受け入れる見通しです。
なお8月23日現在、タイ(プーケット島、サムイ島、パンガン島、タオ島のみ)とシンガポールのみ日本のワクチンパスポートは使用可能です。
豪州、北米
2021年7月の豪州の訪日客(前年同月比)は、1,600人(3455.6%増)となりました。なお豪州政府による日本に対する海外渡航禁止は継続されており、日本のワクチンパスポートは使用できません。
2021年7月の米国の訪日客(前年同月比)は、6,100人(1413.6%増)となっています。アメリカでは北マリアナ諸島、グアムのみ日本のワクチンパスポートが使用できます。またいずれの場合においても、陰性証明書が必須となっています。
2021年7月のカナダの訪日客(前年同月比)は、1,500人(4900.0%増)でした。なお、カナダではすべての航空職員と乗客にワクチン接種を義務化する方針です。日本のワクチンパスポートは使用できません。
2021年7月のメキシコ訪日客(前年同月比)は、500人(24900.0%増)となりました。8月23日現在、日本のワクチンパスポートは使用できません。
欧州
2021年7月の欧州各国からの訪日客数(前年同月比)では、イギリスが3,400人(6081.8%増)、フランスが2,500人(3189.5%増)、ドイツが2,200人(4580.9%増)、イタリアが1,700人(14066.7%増)、ロシアが1,200人(11900.0%増)で、スペインは1,400人(4900.0%増)となりました。
EUとイギリスにおいては、IATAトラベルパスが利用できるようになり、よりスムーズな出入国が行われる予定です。また、Bloomberg(ブルームバーグ)によると欧州は「海外旅行に最もオープンな場所」とされています。
日本のワクチンパスポートが使用できる国は、訪日客数が速報で発表されている国に限ると、イタリア、フランス、ドイツとなっています。
中東地域
2021年7月の中東地域の訪日客(前年同月比)は、1,000人(3746.2%増)となりました。
中東地域各国も、日本政府による上陸拒否、14日間の隔離・PCR検査受検等、査証の効力停止等の対象となっており減少が続いています。
ただしトルコでは日本のワクチンパスポートが使用でき、入国が認められています。その他にも、アラブ首長国連邦、サウジアラビアでは日本のワクチンパスポートが使用できないものの入国は認められています。
なおドバイでは10月からの万博の開催に向け、エミレーツ航空などでマイルや万博チケット付与などのキャンペーンが予定されています。万博を機に訪問客を世界から呼び寄せたい考えです。
パラリンピック開会、入国緩和も
8月24日からの東京パラリンピック開会、そして入国者数上限の緩和により8月はさらなる入国者数の増加が見込まれます。
また日本のワクチンパスポートが7月26日から始まったことを機に、日本からの入国を緩和する例もみられます。
ただし現在のところ、ワクチンパスポートは海外の入国時に利用できるものの、日本への入国時には利用できません。
これらの制限を感染拡大を抑えながらどのように撤廃していくのかが問われると考えられます。
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<参照>
エミレーツ航空:プレスリリース(PR TIMES)
エミレーツ航空:プレスリリース(PR TIMES)
外務省:海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧
韓国病気管理庁:코로나19 국내 발생 및 예방접종 현황(8.23., 0시 기준)
台湾衛生福利部疾病管制署:新型コロナウイルス感染状況
台湾衛生福利部疾病管制署:CECC restarts entry program for overseas students on a case-by-case basis as pandemic continues to subside in Taiwan
中国国家衛星健康委員会:截至8月22日24时新型冠状病毒肺炎疫情最新情况
Bloomberg:The Covid Resilience Ranking The Best And Worst Places to Be as Reopening, Variants Collide
IATA:EU and UK Digital Covid Certificates Recognized by IATA Travel Pass
JNTO:訪日外客数(2021 年 7 月推計値)
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