日本におけるIRの法整備、メリットやデメリットとは

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IRとは「Integrated Resort(統合型リゾート)」の略で、カジノを含んだ観光集客施設を指します。

IRは20世紀末から、シンガポールや韓国、オーストラリアなどを中心として、世界各地に設立されています。

日本国内では、2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」が成立し、現在誘致を狙う各地域がIR導入に向けて動いています。

本記事では、IRのメリットやデメリット、現在の動きについて紹介します。

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IR(統合型リゾート)について

IRとは「Integrated Resort(統合型リゾート)」の略で、カジノを含む観光集客施設のことです。

海外ではIRの導入が進んでおり、隣国である韓国にも設立されて話題を集めています。

日本にはカジノがありませんでしたが、2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」が成立し、2018年には「特定複合観光施設区域整備法(IR実施法)」が成立しました。

ここでは上記法案の内容や、日本へIRを導入することのメリット・デメリットなどを紹介します。

IRに関する法律とは/IR推進法・IR実施法

現在、日本におけるIRに関する法律には、2016年成立の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」と、2018年成立の「特定複合観光施設区域整備法(IR実施法)」があります。

IR推進法は、カジノを中心としてて、宿泊施設やレストラン、テーマパークや商業施設を一体的に整備する法律です。

日本で禁じられていたカジノ解禁に繋がることから、IR推進法は「カジノ法」などとも呼ばれています。

IR地域活性化や観光振興につながる施設が一体的に整備された区域と定義し、適切な国の管理と監視のもとで、民間事業者が運営するものと規定しています。

いっぽうIR推進法に続いて2018年に成立したIR実施法は、全国でIR施設を整備できる区域数の上限を3か所と設定しています。

またIR施設1か所あたりで確保可能なカジノ専用スペースの上限面積について政令で別途規定するなど、IR設置に関する具体的な法律となっています。

IR設立のメリット・デメリット

日本で禁止されていたカジノの解禁をめぐっては、さまざまなメリット・デメリットが想定されます。

まずメリットとしては、富裕層のインバウンド誘致が挙げられ、消費や税収の増加などの経済的なメリットが見込まれます。

また交通機関などのインフラを整備する必要があることから、地域の活性化も考えられ、IR関連での雇用促進も期待されます。

いっぽうデメリットとしてはギャンブル依存症への懸念が大きく、2018年7月にギャンブル等依存症対策基本法が成立・公布され、2018年10月から施行されています。

また大規模な土地開発を必要とすることから、文化的歴史的財産を取り壊してしまう可能性も考えらえます。

関連記事:IR(統合型リゾート)とは/世界の3大施設・日本の候補地と議論

IR(統合型リゾート)の海外事例

IRは20世紀末から、世界のさまざまな国で設立されています。

海外の代表的なIRとして、ラスベガスのシティセンターをはじめ、マカオのギャラクシー・マカオ、シンガポールのマリーナベイ・サンズなどの事例を紹介します。

ラスベガスのIR事例/シティセンター

ラスベガスにあるシティセンターはMGMが経営しており、ホテルやコンドミニアム、ショッピングモールが融合する複合施設となっています。

ラスベガスの有名カジノホテル・ベラージオの南に、11億ドルを投下して建設され、2009年にオープンしました。

ネオンが光る伝統的なラスベガスの建物らしさはなく、ビル型の近未来的な構造が特徴的です。

シティセンター内にあるマンダリン・オリエンタルホテルは、ラスベガス内でも珍しいカジノを持たないホテルとなっています。

マカオのIR事例/ギャラクシー・マカオ

マカオにあるギャラクシー・マカオ(澳門銀河)は、6つのワールドクラスホテルが入る3棟の高層建築で囲まれるように建築されています。

地下階と1階のプロムナードと呼ばれるモールには、10万㎡に約200店のショップと120店以上の飲食店が入っており、高級ブランドのブティックからレストラン、カフェ、ドラッグストア、映画館などがそろっています。

カジノはプロムナード中央部分に位置しているため、カジノを目的としない滞在も可能です。

ホテル棟に囲まれた中央部分には、グランドリゾートデッキと呼ばれる人工のリゾートプールが広がり、7万5000㎡の広さを有しています。

シンガポールのIR事例/マリーナベイ・サンズ

シンガポールのマリーナベイ・サンズは、ショッピングモールや美術館、シアター、グラスパビリオンなどを含んだ複合リゾートです。

マリーナベイサンズは、55階の3つの塔があるのが特徴的です。

その上に載った最上階の「サンズ・スカイパーク」は、船の形をした空中庭園で、世界一高い場所にあるプール(地上200メートル)として有名なインフィニティプールなどがあります。

3つの塔の前には、シアター・ブロックとコンベンションセンターのブロックとカジノのブロックがあります。

「日本」IR誘致の実態

2018年にIR整備法の成立後、いよいよ日本初のカジノ開設に向けて、様々な候補地が動き出しました。

国は最大3カ所の候補地を指定し、各自治体で誘致の準備が進められています。

カジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致を希望する自治体は、都道府県や政令指定都市が中心となって国に申請し、認可を受けることができます。

国は各自治体からの申請を受けて計画を審査し、2022年末までにIR開設の候補地を正式に決定する予定です。

誘致を公式に表明 候補の3地域

日本では、IR(統合型リゾート施設)誘致計画の申請が今年の10月1日に始まりました。

政府は、2022年4月まで、自治体が策定した整備計画の申請を受け付ける予定です。

現在、誘致を公式に表明しているのは、「大阪府(夢洲)」「和歌山県(和歌山マリーナシティ)」「長崎県(ハウステンボス)」です。

全国でIR施設を整備できる区域数の上限は3か所と設定されているため、現段階でこの3地域が有力候補といえます。

「横浜」IR誘致を中止

誘致を正式に公表している地域がある反面、横浜市は誘致を中止することがわかりました。

横浜市の山中竹春市長は、9月10日の横浜市議会で所信表明演説を行い、IRの誘致を「撤回する」と宣言しました。

また、夏に予定していた事業者選定の手続きを「直ちに中断する」と述べ、10月1日付で市のIR推進室を廃止すると発表しています。

IRの誘致予定地となった山下ふ頭については、「横浜の発展の原動力」とし、市民や市議会との対話を重ねながら「再開発に向けた検討を進める」と述べていました。

12月7日には、山下ふ頭の再開発について、月内に市民や民間事業者から代替案の意見や提案の募集を開始し、2026年度ごろの事業化を目指す方針を明らかにしました。

日本におけるIRはどのような立ち位置になっていくのか

日本では2016年にIR推進法、2018年にIR実施法が成立し、IR導入に向けた取り組みが進められています。

日本にはカジノがありませんでしたが、海外ではすでに多くのIRが存在します。

IRの海外事例を見ることで、日本のIRの展望も考察できます。

海外では近未来的ではあるものの土地の特色を活かしたデザインが多く、日本のIRも、日本的なデザインを取り入れた今までにない施設になるかもしれません。

IRをめぐってはメリットやデメリットもあり、IR誘致を狙っている地域の住民からは反対もあり、引き続き今後の動向が注目されます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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