「2025年大阪・関西万博」、インバウンド誘客へ期待される効果は?

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2025年、大阪の夢洲で2025年日本国際博覧会(以下、「大阪・関西万博」)が開催されます。

インバウンド関連事業者にとっては大阪・関西万博の経済効果やインバウンド誘客へのインパクトについて気になるところでしょう。

本記事では過去に開催された万博の事例や、コロナ禍での開催となったドバイ万博、そして2025年の大阪・関西万博に期待されるインバウンド誘客への効果について紹介します。

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万博開催で期待されるインバウンド誘客への効果は?

万博の開催により、会場建設費用やインフラ整備費、運営費、会場内外での消費など、多くのお金が万博開催を中心とする日本各地で動き、大きな経済効果が期待されます。

また1970年に開催された大阪万博で携帯電話が急速な普及を見せたように、世界各国の最新技術が出展されることで、技術の発展とそれに伴うさらなる生活環境の向上も望めます。

さらに海外での日本の認知度向上や、大阪以外へのインバウンド誘致、日本人と外国人の国際交流のきっかけ、航空業界の充実なども期待されます。

海外から日本への注目を改めて集める機会となるほか、万博をきっかけに地方をプロモーションしてインバウンド誘致の流れを作ることもできます。

1970年 大阪万博のインバウンド誘客への効果

1970年の大阪万博は、「人類の進歩と調和」というテーマで開催され、近未来的な展示内容や各国のパビリオンが来場者を魅了しました。

日本を含む77か国、4国際機関が参加し、総来場者数は約6,422万人にのぼり、経済効果は約5兆円規模となりました。

終戦25周年記念として、戦後の高度経済成長を成し遂げ、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となった日本の象徴的な意義を持つイベントとして開催されました。

日本にとっては1964年の東京オリンピック以来の国家プロジェクトであり、「規格大量生産型の近代社会」をコンセプトにかかげ、多くの企業・研究者がパビリオン建設や映像・音響などのイベント制作・展示物制作に起用されました。

また米宇宙船が持ち帰った「月の石」や、携帯電話の原点となる「ワイヤレステレホン」などが話題を集めました。

日本政府の万国博関連事業として6,500億円あまりが支出され、大阪市などの会場周辺市街地では、開催へ向け道路や鉄道・地下鉄の建設などの大規模開発・整備が行われました。

大阪万博の最終的な総入場者数は約6,421万人にのぼり、2010年に中国・上海で開かれた上海万博に抜かれるまでは、万博史上最多を誇りました。

2005年 愛知万博のインバウンド誘客への効果

「愛・地球博」をテーマに掲げた2005年の愛知万博は、「自然の叡智、地球上のすべてのいのちを大切にし、持続可能な社会を実現する」という課題のもと、自然と文化・文明の共存する地球をイメージしました。

日本を含む日本の万博史上最多121か国、4国際機関が参加し、総来場者数は2,204万9,544人にのぼり、経済効果は約3兆円となりました。

「地球大交流」をコンセプトとし、起伏に富んだ地形の愛知青少年公園跡地(現在:愛・地球博記念公園)の長久手会場は、改変を最小限にとどめるため空中回廊「グローバルループ」でひとつで結ばれました。

「グローバルループ」を歩いて一周すると、会場全体を見渡しつつ世界の展示を巡ることができました。

計画では総事業費は1,900億円(内訳:会場建設費1,350億円、運営費550億円)と見積もられましたが、実績には2,085億円(内訳:会場建設費1,453億円、運営費632億円)となりました。

会場建設費については「国庫補助金・関係地方公共団体補助金・民間等資金」が1:1:1の割合で負担し、運営費は適正な入場料収入や営業権利金収入等ですべてをまかなうと合意されました。

目標を大きく上回る入場者数とキャラクターグッズの売り上げによって、最終的に129億円の黒字を計上しています。

愛・地球博の跡地は「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」として現在も残り、「サツキとメイの家」などの施設は今でも人気を博しています。

コロナ禍の万博開催はどうなる?2020年のドバイ万博では

2020年にドバイで開催されたドバイ国際博覧会では、コロナ禍であったものの国内外から多くの来場者が訪れ、世界175か国からのインバウンド観光客が3人に1人を占めました。

万博開催に伴い航空会社もキャンペーンを実施し、エミレーツ航空は2021年9月に、ドバイ万博開催期間の早期予約で航空券が最大20%割引になるキャンペーンを実施し、ドバイ滞在1分ごとに1マイルを付与する特典も提供しました。またUAEのエティハド航空は、利用者に万博の無料パスを提供しています。

関連記事:ドバイ万博、来場者数1,000万人突破

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2025年の大阪・関西万博開催はどうなる

2018年11月23日にパリで開かれた博覧会国際事務局総会において、加盟各国の投票の結果、2025年国際博覧会の大阪での開催が決定されました。

国内での大規模な万博の開催は、大阪万博愛知万博に続き3回目となります。

テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」

2025年の大阪・関西万博は、大阪港の「夢洲(ゆめしま)」という人工島で開催されます。

この場所には万博後、大阪IR構想によって様々な商業施設が誘致される予定です。

政府は出展150か国、予想来場者数約2,820万人、経済効果約1.9兆と試算しています。

テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、万博の5つの基本計画として以下が掲げられています。

  • 海と空を感じられる会場
  • 世界中の「いのち輝く未来」が集う万博
  • 未来の技術と社会システムが見える万博
  • 本格的なエンターテインメントを楽しめる万博
  • 快適・安全安心・持続可能性に取り組む万博

1964年の東京五輪と1970年の大阪万博の莫大な経済効果を受け、2020東京五輪に続く今回の大阪・関西万博でも大きな経済効果が期待されています。

また日本で初開催となる「主要20か国・地域首脳会議(Gサミット)」や「ツーリズムEXPOジャパン2019」も、大阪で開催されることが決まっています。

いっぽう会場建設費として1,250億円、運営費800億円、鉄道などのインフラ整備に700億円以上が必要と試算されており、大きな官民負担が想定されています。

「経済の起爆剤」としての期待が膨らむいっぽう、「なぜこの時代に万博なのか」と必要性を疑問視する声もあがっています。

情報技術の発達により、万博の存在意義が無くなっているとの指摘もあり、2000年の独ハノーバー万博では、入場者数が当初予想の半分以下にとどまりました。

関連記事:大阪万博の経済効果とは?IRとの相乗効果で東京五輪を上回る経済効果発生も。

インバウンド誘客への効果 

大阪・関西万博ではインバウンド需要への波及効果が期待されており、予想入場者数の2,800万人中約350万人のインバウンド誘客が見込まれています。

また開催地の夢洲は、統合型リゾート(IR)として2024年から開業予定で、開催後もIR誘致の実現に繋がることが期待されます。

IR実施法案が2018年7月に可決・成立され、IR候補地として各自治体の誘致活動が実施され、なかでも大阪府と大阪市は熱心なIR誘致活動をしています。

さらに近年インバウンドの玄関口となっている関西国際空港を始め、関西の空港は2025年の大阪・関西万博開催のインバウンド受け入れに向け準備を進めています。

コロナ禍で回復が見通せない国際線について、コロナ収束後のインバウンド回復を見据え、「2025年までに万全な空港受け入れ体制を整え、万博の成功を期す」との基本方針をまとめています。

関西空港の改修など「旅客処理能力の拡大継続」を進め、年間発着数23万回への拡大に向けて検討を続ける方針です。

なお国土交通省は大阪・関西万博などを通じ、2030年6千万人・旅行消費額15兆円の達成を目指しています。

関連記事:【大阪・関西万博】経済効果は1.9兆円、インバウンドは300万人誘致:必ず知っておくべき、2025大阪・関西万博の経済効果・インバウンドへの影響・IRとの関連

万博開催によるインバウンド誘客への効果、関西を中心に日本全体への波及にも期待

コロナ禍で深刻な打撃を受けている観光業界にとって、2025年の万博開催はインバウンド回復のきっかけとなる可能性があります。

万博開催期間は、経済効果が期待されるいっぽうで、衛生面や三密回避への関心も高まっています。

これは関西にとどまらず日本全体に関係してくることであり、今後万博開催までの4年間で、ニューノーマルインバウンド受け入れ態勢を国全体で取り組むことが重要となります。

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<参照>
外務省:万国博覧会とは?
万博記念公園:大阪万博

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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