インバウンド再開はいつになる?見通しと今後のインバウンド市場の動向を解説

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日本政府観光局によれば、2021年の訪日外国人数は24万5,900人であり、訪日外国人数の公表開始(1964年)以来最低の数値となりました。

この数値は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2020年に引き続き観光目的での日本入国を制限していることによるものであります。

訪日外国人数の大幅な減少による、日本の観光業への影響は計り知れません。この記事では外国人の訪日(インバウンド)の再開のメドはいつころになるのか、インバウンド再開後にはどのような未来が待ち受けているのかを紹介します。

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インバウンド再開のメド

日本は2006年に観光立国推進基本法を成立させ、それから観光業を国内経済の大切な基盤とする「観光立国」を目指してきました。

少子高齢化や景気悪化によって国内での消費拡大が難しくなっている日本では、観光のなかでも外国人をターゲットとした「インバウンド」が非常に大切な存在です。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、訪日外国人数は減少しています。いつになったらインバウンドが再開されるのでしょうか。

ここではインバウンド再開のメドとなる2つの事象を紹介します。

ワクチンの接種完了

2021年になってからは新型コロナウイルスのワクチン接種が普及したことによって、全世界において入国制限を緩和する動きが見られました。

しかし、2021年11月に新型コロナウイルスのデルタ株と比較して3倍の感染力があるとされている「オミクロン株」が発生し、再び各国は入国制限や入国後の行動制限を強化しました。

そこで日本はワクチンの3回目接種をスタートしました。

3回目のワクチン接種が普及するころには、2021年と同じようにまた入国制限などが緩和され、インバウンドが再開するものと考えられます。

観光事業関係者は、ワクチン3回目接種の普及率を常に見ておくべきでしょう。

ウィズコロナ制度の充実

日本は「ウィズコロナ」として、新型コロナウイルス対策と経済活動を両立させる方針です。

ですが、その制度はいまだ十分とはいえないでしょう。

2021年の初めからスタートした「まん延防止等重点措置」では、「なぜ飲食店ばかりが営業を制限されなくてはならないんだ」という不満が多くのニュース等で取り上げられました。

また、2022年2月17日に行われた記者会見において岸田文雄首相は「外国からの新規入国制限を3月から緩和する」と表明しましたが、それでも1日最大5,000人しか入国できない状態です。

新型コロナウイルス感染拡大防止策を打ったうえでの、飲食店の営業制限緩和や外国人観光客の入国制限緩和の制度が充実してこれば、インバウンドも再開し、観光業も勢いを取り戻すでしょう。

今後のインバウンド市場の動向予想

新型コロナウイルスの問題が解決すれば、訪日外国人数は増加するでしょう。

とはいえ、新型コロナウイルスが完全に収束する可能性は低く、私たちは新型コロナウイルスと共存していく「ウィズコロナ」の生活をする必要があります。

観光業におけるトレンドも、新型コロナウイルスを通して変化を見せるはずです。

これまでと同じスタイルで観光業を行っていても、ウィズコロナのトレンドに乗り遅れてしまい、客数が減少、ビジネスの継続が難しくなる可能性があります。

ここでは、今後のインバウンド市場における動向予想を紹介します。

リベンジ消費の増加

リベンジ消費とは、消費や行動を抑制していた反動によって、その意欲が爆発し、反動以前より多くの消費や行動が発生することを指した言葉です。

コロナ禍においては、外出自粛などによって半ば強制的に消費や行動を制限されたことによって、コロナ禍収束とともに消費や行動が活性化すると言われています。

しかし、なかには「リベンジ消費は限定的なものだ」という意見もあります。

野村総合研究所が行った「コロナ禍完全収束後における各活動への支出意欲」という調査によれば、どの活動においても「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」と回答している人は1割程度でしかなく、回答者のほとんどが「コロナ禍以前の水準に戻す」もしくは「今と変わらないままにする」と回答していることがわかりました。

リベンジ消費が増加することはありますが、それほど大きな効果は期待できないかもしれません。

観光業へのメタバース活用

近ごろ、メタバースが観光業に活用され始めています。

メタバースとは、ユーザーが自由に利用できるインターネット上の仮想空間のこと。旧Facebook社がメタバースから文字をとって「Meta」へと社名変更したことで注目を集めました。

具体的な観光業におけるメタバース活用法としては、デジタルマーケティングが考えられます。

仮想空間内で観光地を実際に体験してもらい、その体験をきっかけとして「実際に訪れてみよう」という行動意欲を掻き立てる役割が期待されます。

とはいえ、これからメタバース業界におけるプラットフォーマーの争いが起きることが想定されますので、観光事業者としてはしばらくは動向を見守る時間が続きそうです。

滞在型観光の普及

新型コロナウイルスによる問題が落ち着いたあとには、滞在型旅行が普及することが予想されます。

滞在型旅行とは、観光地などを次々とまわる周遊型旅行とは違って、1つの施設や地域に一定期間滞在して静養やワーケーション、体験型レジャーを楽しむものです。

観光客は滞在型旅行においていろいろな場所に行くわけではないため、周遊型旅行よりも感染拡大を抑えられます。また、1つの施設や地域に観光客が滞在することにより、1人の観光客からより多くのお金を落としてもらえるのです。

観光事業者が自社で滞在型観光を実現するためには、観光客が「この場所に長く滞在したい」と思えるほどのコンテンツやホスピタリティを提供する必要があります。

休暇取得分散による需要のばらけ

ウィズコロナの時代になろうとも、人々は感染対策を続けるはずです。

株式会社ビデオリサーチの調査によれば、全体の69%が「新型コロナウイルス感染リスク緩和後も今の生活スタイルを維持したい」と回答しています。

以上のことを考えると、観光する際には人が密集しないよう休暇取得分散が発生するでしょう。

休暇取得の分散が発生すると、需要が一時期に集中するというより継続的なものになるため従業員の出勤日や営業時間を見直す必要が出てきます。

変化に対応できず、機会損失を起こす前に対応しておくことが大切です。

ダイナミックプライシングの導入

ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの需要に応じて価格が変動する仕組みのことです。

ホテルの料金や航空券、スポーツの観戦チケットなどに採用されています。

現在、一部の鉄道会社では「鉄道運賃にもダイナミックプレイシングを採用しよう」という動きが見られているところです。鉄道会社がダイナミックプレイシングを採用すると、ピーク時の運賃が高くなることで利用者数が減少し、混雑を解消できると予想されます。

そのほかにも、ダイナミックプライシングを採用することによって企業側は収益を最大化でき、顧客側はタイミングを見計らうことでより安価に商品やサービスを受けられるのです。

ワクチンの3回目接種で新型コロナウイルスはどうなるか?

日本は観光業を国内経済の基盤としている「観光立国」であり、観光庁によれば全国で約900万人もの方が従事しているとされています。

そんな日本にとって、新型コロナウイルスによるインバウンドの減少は非常に痛手です。

現在進行しているワクチンの3回目接種がどれほど効果的なものであり、多くの人が3回目接種を終えるころにどのような未来が待っているのかは誰にも想像できません。

しかし、ワクチン3回目接種がインバウンド再開への大きな一歩になることは間違いないでしょう。

観光業界関係者は事業を継続しつつ、インバウンド再開をもう少し待つしかなさそうです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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