観光庁は、令和5年(2023年)4月の延べ宿泊者数(第1次速報)を公表しました。
4月の延べ宿泊者数は4,763万人泊でした。そのうち外国人延べ宿泊者数は1,038万人泊で、本格的なコロナ禍が始まって以来、初の月間1,000万人泊超えとなりました。
さらに国籍別の外国人延べ宿泊者数のデータを見ると、国籍ごとの消費傾向が浮かび上がってきました。本記事では、宿泊旅行統計の4月分データを深掘りしてお伝えします。
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4月の外国人延べ宿泊者数1,038万人泊 コロナ禍後初の1,000万人泊越え
2023年4月の延べ宿泊者数は4,763万人泊で、前年同月比+41.6%、2019年同月比-6.1%です。このうち日本人延べ宿泊者数は3,724万人泊で、前年同月比+12.5%、2019年同月比-5.6%となりました。
そして外国人延べ宿泊者数は1,038万人泊で、前年同月比+1854.2%、2019年同月比-8.0%の結果です。月間の外国人延べ宿泊者数が1,000万人泊を超えたのは2020年の2月(日本における新型コロナウイルス禍前)以来初となっています。
こうした宿泊旅行統計調査の数字からも、本格的なアフターコロナの到来がうかがえます。
※2023年8月22日追記:グラフに一部誤りがあったため修正しました。ご迷惑をおかけいたしました。4月の客室稼働率は全体で55.6%で、前年同月差5.5%増、2019年同月差10.8%減でした。
施設タイプ別客室稼働率においては、全体の客室稼働率が前月比で減少しました。その結果、ほとんどの施設タイプでも前月比での減少が見られましたが、簡易宿所のみ前月比0.3%増の24.2%を記録しています。
3月の国籍別延べ宿泊者数 アジア各国を抑え1位はあの国
2023年3月の延べ宿泊者数は5,068万人泊で、前年同月比+51.5%、2019年同月比-0.9%でした。このうち日本人延べ宿泊者数は4,313万人泊で、前年同月比+30.2%、2019年同月比+3.6%です。
そして外国人延べ宿泊者数は755万人泊で、前年同月比+2183.1%、2019年同月比-20.7%でした。国籍別でみると、1位がアメリカで90万1,020人泊であり、2位は韓国の85万7,470人泊、3位は台湾の80万7,700人泊と続いています。
「訪日客数」と「宿泊者数」の関係からみえてくる傾向とは
国籍別宿泊数で2位から7位までに東アジアや東南アジアの各国がずらりと並ぶ中で、アメリカが1位となった要因は、滞在期間の違いにあるといえそうです。
同月の訪日外客数を国籍別にみても、アメリカは20万3,000人で3位であり、1位韓国の46万6,800人、2位台湾の27万8,900人と水をあけられているようにみえます。
それでも宿泊数でみるとアメリカが1位に躍り出るのは、欧米豪からの訪日客の特徴である「滞在期間の長さ」が要因といえるでしょう。アジアからの訪日客よりも、日本までの時間距離が長い欧米豪からの訪日客のほうが、一度の訪日旅行が長期化する傾向があります。
2023年1~3月期の消費動向調査によれば、訪日アメリカ人観光客の平均泊数は13.3泊でした。一方で訪日数1、2位の韓国と台湾はそれぞれ7.9泊、7.7泊です。
平均泊数は平均消費単価にも表れ、訪日アメリカ人観光客は25万5,201円、韓国と台湾はそれぞれ11万5,154円、17万946円の結果です。国籍別の消費の特徴が、こうした数値に顕著に表れているといえます。
2つの方向性で単価上昇へのアプローチを
インバウンド対策による単価上昇を狙ううえで、以上のデータをみると2つの方向性がみえてきます。
1つは、欧米豪からより多くの旅行客に来てもらうという方向性です。元来単価の高い欧米豪市場の海外旅行客の獲得を強化するために、高付加価値なコンテンツや、経験価値の高いコンテンツの造成を進めていくことが有効であると考えられます。もう1つは、アジアからの訪日客向けの施策として、「旅マエ」の訴求でそもそも来てもらえる母数を増やすこと、あるいは「旅ナカ」訴求で、滞在期間中の周遊や消費を促していくことが効果的です。
欧米豪とアジア、どちらに向けた発信が良いかは、どの国・地域からの訪日客が多いのか、今現在のデータやコロナ前のデータなども見ながら判断すると良いでしょう。
政府は、今年3月に発表した観光立国推進基本計画において、「訪日外国人旅行消費額単価20万円/人」を掲げており、訪日客数よりも消費単価を重視する流れは今後も続く見込みです。ターゲットの特徴を捉えて、効果的なコンテンツの磨き上げや受け入れ環境の整備、そしてプロモーション施策を実施していきましょう。
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<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査(令和5年3月・第2次速報、令和5年4月・第1次速報)、訪日外国人消費動向調査
JNTO:訪日外客統計
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