前回は「インド=カレーのイメージがあるが、日本に来てもカレーしか食べないのか?」という素朴な疑問について、近年のインド人旅行者のトレンドと合わせてリアルな状況をご紹介しました。
今回はインド人旅行者、特に「ラグジュアリーセグメントの嗜好」に焦点を当て、彼らがホテルや現地での体験アクティビティを選ぶ際のポイントを、インド人ならではのインサイトと共にお伝えします。
文/大瀧直文(BRANDit Japan)
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インド人富裕層の海外旅行スタイル
年々増加しているインド人の訪日旅行者数は、昨年2024年11月についに累計20万人を超え、12月末時点では23.3万人に達し、過去最高を記録しました。
その中でも富裕層や超富裕層の旅行スタイルに注目してトレンドを掘り下げます。
「ファッション」の次に「旅行」に多くの資金を投じるインド人富裕層
「超富裕層 ultra-high-net-worth individuals(UHNWIs)」は一度の旅行に$200,000 ~ $400,000と多額の費用をかけると言われています。
(参照:Economic Times)
そんな彼らがどんなホテルに泊まるのか?どんなアクティビティを好むのかについて、弊社BRANDitがこれまでにインド現地旅行会社にヒアリングした情報を中心にご紹介させて頂きます。
ラグジュアリーセグメントの嗜好 1. ホテル
まず、インドの富裕層、超富裕層旅行者の間では欧米ブランド(「アマン東京」「フォーシーズンズ」など)のホテルを好む傾向があります。その主な理由を3点、
順番にご説明します。
ブランドの安心感
第一に「ブランド力」や「信頼性の高さ」が絶対的な基準となり、特に「このホテルに泊まれば、最上級のホスピタリティを提供される」という安心感が求められます。
特別体験
次に「自分たちがここに行った。その特別な思い出を持ち帰れる事。また他者(他の人が行った場所)との違いを感じれる事。それらの特別な体験を期待します。
「自分たちだけの特別な体験を持ち帰りたい」という思いがあり、訪日旅行の場合、その場合は当然「日本らしさ」を期待します。
ホテルの空間や雰囲気だけでなく「食事」や「アクティビティ」にも「特別な体験」(日本らしさを取り入れたデザインやサービス)が求められます。
見た目、感情的な刺激
若年層に限らず、SNS投稿用の写真や動画として旅行の思い出を残すことが好まれます。「見た目の美しさ」「それに触れた時の感情的満足」を重視し、自身の体験価値を高めたいという期待があります。
例えば、アマン東京の和モダンな空間演出や、フォーシーズンズの日本の伝統美を取り入れた客室など「特別な体験 × 見た目の美しさ」が人気です。
「ブランドの親和性」を求める点は他国の訪日客と共通の傾向ですが、インド人富裕層の場合は「日本独自」よりも「慣れ親しんだブランド」を基盤とし、そこに「日本のエッセンス」を加えたデザインやサービスが期待されます。まず優先されるのは「最上級のホスピタリティ」であり「日本のおもてなし」が最優先ではない点が特徴的です。
関連記事:ラグジュアリー旅行者の人気旅行先は?旅行目的は「食」「ウェルビーイング」など
ラグジュアリーセグメントの嗜好 2. アクティビティ
「The Japan」の見た目×五感の体験
日本の文化、その体験を通しての五感の融合が期待される傾向があります。
例えば、宗教やヨガ体験に通ずる、スピリチュアル体験や、日本の歴史を体験、学習するアクティビティなどが人気です。
例:
- 相撲、朝稽古ツアー
- 華道体験
- 水墨画のワークショップ
前回の記事でも触れたように、インドの人々は日本の文化や歴史的背景に非常に強い興味を抱いています。戦争や地震といった大災害からの度重なる復興に対する尊敬の念を持ってくれている事がその一因です。
さらに、古くからインドに進出し、現地で認知されてきた日系企業への良い印象も相まって、他国以上に日本の「文化への尊敬」や「技術への敬意」が根強い傾向があります。また、近年では映画やドラマといったコンテンツの影響もあり、伝統的なアクティビティを通じて「歴史や文化を感じられる体験」が特に人気を集めています。
インド人富裕層は、日本の「癒し」「自然」を求める他国の訪日富裕層に対して「技術、文化、歴史、スピリチュアル」を基準にアクティビティを選ぶ傾向があります。
他国と比較すると、そのような「自然体験を中心とした特別な体験」また、消費型の体験(食事、エンターテインメントなど)が人気な傾向であるのに比べ、インド人富裕層は、日本の技術、文化、歴史的背景へ触れる事、より深い理解体験を重視する傾向があります。
まとめ
インド人富裕層の訪日旅行者は、欧米ブランドホテルに対する「ブランドの印象やイメージ、そしてそこから期待される最高水準のホスピタリティ」への期待が第一である一方、「日本らしさ」を象徴する文化、歴史といった日本独自の要素も重視しており、これらはホテルだけでなくアクティビティ選定の際にも期待されています。
特に、それらを見た目だけでなく五感を通じて体験できる「This is Japan」としての魅力的なアクティビティが訪日旅行の大きな魅力となっていおり、インド人富裕層は「本物」を求める傾向が顕著です。
私たちBRANDitは、約14,000のインド旅行代理店及び業界メディアとのネットワークにより、日々情報収集を行っています。その中で、インドの最新トレンドやインド人旅行者の現在の嗜好をキャッチアップし、引き続き日本の皆様へお届けして参りたいと思います。
著者プロフィール:BRANDit Japan・カントリーマネージャー 大瀧直文
日本、海外の広告業界で18年の実績を持ち、オンオフ統合メディアキャンペーン、インフルエンサーマーケティング、クリエイティブ制作、イベント、TV番組制作などの現場実績を持つ。
5年間のインド駐在を経てインドにおける観光マーケティングに精通。JNTOデリー事務所をクライアントとし、「Japanブランド」のブランド戦略、メディアキャンペーンの実行、ブランドリフト調査、セールスレップ活動、イベントプロデュースなどを牽引。その他日系企業のメディアキャンペーン、クリエイティブ制作など多数プロデュース。
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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