フランスは、豊かな歴史や芸術文化で知られるヨーロッパの大国です。日本とも長い交流の歴史を持ち、政治・経済・文化の各分野で深いつながりがあります。
また日本文化に対する関心も高く、旅行先としても注目されています。
この記事では、基本情報から両国の関係性、インバウンド市場の動向まで、フランスと日本の関係をわかりやすく解説します。
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フランスの基本情報
まずフランスの基本情報から見ていきましょう。フランスから日本を訪れる場合の所要時間、フランス市場のインバウンドデータについても掘り下げます。
基本情報
面積 | 約54万9,134平方キロメートル |
人口 | 約6,837万人(2024年、フランス国立統計経済研究所) |
主要都市 | パリ(首都)、マルセイユ、リヨン、トゥールーズ、ニースなど |
言語 | フランス語 |
宗教 | カトリック、イスラム教、プロテスタント、ユダヤ教など |
1人当たりGDP |
4万7,359米ドル(2024年) |
38万5,000人(2024年) |
フランスは西ヨーロッパに位置し、ヨーロッパの中でも特に広い国土を持つ国の一つです。人口は約6,837万人(2024年時点)と、ヨーロッパ有数の人口規模を誇ります。首都パリは、世界的に知られる観光都市であると同時に、経済や文化の中心地としても重要な役割を果たしています。
公用語はフランス語で、宗教はカトリックが中心ですが、イスラム教、プロテスタント、ユダヤ教などが存在します。多様な文化的背景を持つ国民構成が特徴です。
経済面では、1人当たりGDPが4万7,359米ドル(2024年)と高く、先進国の中でも安定した経済力を誇っています。
日本との距離
成田空港や羽田空港、関西国際空港とパリのシャルル・ド・ゴール空港の間では直行便が運航されており、所要時間は14時間程度です。中部国際空港(セントレア)からは現在直行便が運航されておらず、乗り継ぎ便の利用が一般的となっています。
パリの現地時間は、日本時間より8時間遅れています(サマータイム期間中*は7時間)。例えば日本が正午の場合、パリは午前4時です。
フライト時間が長く時差も大きいため、フランスから日本への旅行では、到着後の体調管理や時差ぼけ対策が重要となります。
*フランスを含むEUでは、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までがサマータイム期間
インバウンド関連データ
2024年に日本に訪れたフランス人数は38万5,000人で、コロナ前のピークだった2019年(33万6,333人)を上回って過去最高を更新しました。

訪日旅行消費額は1,388億円で、2019年比で74.1%増、2023年比では52.2%増となり、こちらも過去最高を記録しました。

1人当たりの旅行消費額は36万1,321円と全市場平均(22万7,242円)を大きく上回る水準で、英国、オーストラリア、スペインに次いで高額となっています。
関連記事:2024年の訪日フランス人数は38.5万人、消費額は1,388億円でともに過去最高【最新インバウンドデータを解説】
フランスと日本の関係をわかりやすく解説
フランスと日本は1858年の日仏修好通商条約以来、政治・経済・文化の各分野で関係を深めてきました。近年は「特別なパートナー」として、首脳往来や経済協力も活発です。
ここでは、日仏関係のポイントをわかりやすく紹介します。
【政治】日仏関係は良好、防衛分野や文化・観光分野での協力も
日本とフランスは1858年の修好通商条約締結以来、政治・経済・文化など多方面で関係を強化してきました。近年は首脳・外相レベルの往来も活発で、2019年には「特別なパートナーシップ」の下、日仏協力のロードマップが採択されました。
2023年には岸田首相(当時)が訪仏し、新たな協力方針に合意。2024年にもOECD閣僚理事会にあわせて両国首脳が会談し、防衛分野の連携強化に踏み込みました。
また、日仏友好160周年を記念した文化イベント「ジャポニスム2018」が2018年に開催されるなど、文化・観光分野での協力も進んでいます。
【経済】自動車などさまざまな分野で協力関係が進展
日本とフランスの経済関係は長年にわたり良好で、幅広い分野で協力が進んでいます。
自動車分野では「ルノー・日産・三菱アライアンス」や、トヨタのヴァランシエンヌ工場での生産などが代表的な例です。
航空機分野では、JALやANAが、フランスに本社を持つエアバス社の機材を導入しており、多くの日本企業がその部品供給に関わっています。
また、三菱重工業によるフラマトム*への出資、富士通によるフランスへのデジタル・イノベーション支援など、原子力やデジタル分野でも連携が進んでいます。
日本文化がフランスに浸透
フランスでは、食やアニメをはじめとする日本文化が浸透しています。寿司ブームに端を発した和食人気は今も続き、アニメや漫画は日常的に楽しまれるコンテンツです。
ここでは、フランスで定着しつつある日本文化の数々を紹介します。
日本食ブームを経て日本レストランが増加
フランスでは1990年代の寿司ブームをきっかけに和食人気が高まり、現在でもその勢いは衰えていません。農林水産省が2023年に実施した調査によると、フランスにはヨーロッパで最多とされる4,680店を超える日本食レストランがあります。特にパリには日本料理店が集まるエリアがあるほどで、和食は健康的で美しい料理というイメージから、現地でも親しまれています。最近ではラーメンや焼き鳥なども人気が高まっており、フランス人の味覚に合わせてアレンジされたメニューも多く見られます。
アニメや漫画が大人気
フランスでは「Manga」という言葉が一般化しているほど、日本の漫画やアニメに馴染み深い国です。書店や図書館でも専用コーナーが設けられ、日本に次ぐ世界第2位の漫画消費国だと言われています。
また日本のポップカルチャーを紹介する大規模イベント「ジャパンエキスポ」も毎年開催されており、2023年には25.5万人以上が来場しました。
こうした人気を背景に注目されているのが「アニメツーリズム」です。作品の舞台やゆかりの地を巡る「聖地巡礼」は訪日旅行のきっかけとなっており、地域活性化や観光促進にもつながっています。
関連記事:聖地巡礼によるインバウンド集客の可能性は?ポイントや事例も紹介
実は日本よりも柔道人口が多い
フランスでは、空手や合気道などを含む武道が親しまれており、中でも柔道は高い人気を誇ります。日本の柔道人口が約12万人(2023年時点)であるのに対し、フランスでは約53万人にのぼると言われており、競技人口では日本を上回っているようです。
フランスの柔道愛好者の中には、「日本の本場の道場で稽古を受けたい」「日本製の武具を手に入れたい」といった動機で訪日を希望する人も多く、こうした動きは「武道ツーリズム」として注目されています。
本場での武道体験や伝統工芸との出会いを求めて、日本各地を訪れるフランス人旅行者も増えており、今後のインバウンド集客にあたってポテンシャルがあるといえそうです。
関連記事:武道ツーリズムとは?先進的な事例や課題、今後の可能性について解説
フランス人が日本に抱くイメージ
フランスでは、日本に対して「伝統文化が豊か」「特別な魅力がある」といったイメージが広がっています。日本人の礼儀正しさや親切さも好意的に受け止められており、訪日意欲を後押ししているようです。
ここでは、フランス人が抱く日本の印象を見ていきましょう。
日本は「豊かな伝統と文化を持つ国」
外務省が実施した調査によると、フランスでは「日本は豊かな伝統と文化を持つ国」と答えた人が56%にのぼりました。「経済力、技術力の高い国(42%)」や「自然の美しい国(35%)」などの選択肢よりも高く、文化面での魅力が特に強く認識されていることがわかります。
他のアジアにはない特別な魅力がある
フランス人が日本に惹かれる理由の一つが、「他のアジアにはない特別な魅力」です。自国とはまったく異なる文化や景観、所作に触れられることから、日本を訪れることそのものが知的好奇心を満たす体験として支持されています。
とりわけ、長い歴史に培われた伝統文化と、アニメや現代建築といった先進的な都市文化を同時に楽しめる点が、日本ならではの魅力として評価されています。
一方で、海外旅行経験のあるフランス人のうち、約8割は日本を訪れたことがありません。そこで日本政府観光局(JNTO)は2018年から、観光庁と共同で訪日未経験者に向けた訴求を強化しています。今後は、フランス語による実用的で価値ある旅行情報の発信が、さらなる市場拡大の鍵となりそうです。
日本人は「礼儀正しい」「親切・丁寧」
フランスでは、日本人に対して「礼儀正しい」「親切で丁寧」といった好意的な印象を持つ人が多く、「おもてなしの精神」にも高い関心が寄せられています。こうしたイメージは、訪日旅行中の接客や日常的なふるまいからも感じ取られており、日本への好印象につながっています。
一方で、「日本人は英語があまり通じない」「外国人に対して閉鎖的」といったイメージもあり、フランス人旅行者にとっては不安要素となる場合があります。今後、フランス人など欧米客を集客したい場合は、こうした印象を持たれている可能性を留意する必要があるでしょう。
多方面でつながる日仏のパートナーシップ
フランスと日本は、1858年の修好通商条約以来、政治・経済・文化など多方面で強い結びつきを築いてきました。近年は首脳レベルの交流や産業連携も活発化しており、両国の関係は良好な状態が続いています。
また、フランスでは日本の食文化やアニメ、武道などが親しまれており、日本に対するイメージも好意的です。今後、日本文化の人気がどれだけ訪日旅行につながるか注目です。
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<参照>
- 観光庁:インバウンド消費動向調査
- 日本政府観光局(JNTO):訪日外客数
- 日本政府観光局(JNTO):外国旅行の動向|フランス
- 外務省:欧州|フランス共和国 French Republic
- 外務省:海外における対日世論調査
- 在日フランス大使館:日仏関係深化の歩み
- 内閣府:アニメツーリズムの推進
- 全日本柔道連盟:過去の登録会員推移
- 農林水産省:海外における日本食レストラン数の調査結果(令和5年)の公表について
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