訪日旅行の持続的発展へ JATA、観光庁に提言提出

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一般社団法人日本旅行業協会(以下、JATA)は3月27日、「【提言】訪日旅行の持続的発展にむけて」を観光庁の秡川長官に提出しました。

同協会が実施した「インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査」の結果も踏まえ、観光産業全体の持続的な発展に向けた提言を行っています。

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インバウンド好調の一方で課題も顕在化、JATAが提言提出

2024年の訪日外国人旅行者数は3,687万人、訪日外国人消費額は8.1兆円と過去最高を更新し、インバウンドは回復期から「再成長期」に突入しました。しかし急激な回復により、一部地域でのオーバーツーリズム、観光産業における人手不足、観光客のマナー問題などの新たな課題も顕在化しています。

そこでJATAは、アフターコロナにおけるインバウンドの再成長を円滑に進めていくにあたっての課題を浮き彫りにすべく、旅行会社・観光関連事業者・自治体DMOなどを対象に「インバウンド旅客受入拡大に向けた意識調査」を実施。調査でわかった課題に対応し、観光の質的向上を図るために、観光立国推進基本計画の柱である「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の3つの軸に合わせた提言を行いました。

JATAは提言の中で、今後単に訪問者を増やすだけでなく持続可能な観光をさらに推進し、世界の観光をリードする「観光先進国」の地位を目指すべきとの考えを述べています。また、観光産業におけるDXをより強力に推進することで高付加価値化・省力化を図り、観光産業全体を魅力のある産業へと転換を図ることや、国際間の観光は双方向交流がベースであることから、訪日旅行の拡大を目指すとともに若年層を中心とした海外旅行の復活にも取り組む必要があるとしています。

JATAによる提言の内容は?

以下で、提言の大枠4点

  1. 観光先進国を目指すための規制緩和の更なる推進と公平な競争環境の確立
  2. 地方における高付加価値旅行商品の造成と観光定着に向けた各種支援
  3. 観光産業における人手不足・人材不足解消に向けた各種支援
  4. 持続可能な観光の実現並びにオーバーツーリズム解消に向けた受入環境整備の推進

について簡潔にまとめます。

1. 観光先進国を目指すための規制緩和の更なる推進と公平な競争環境の確立

地方への誘客促進には、二次交通の整備が欠かせません。また、持続可能な観光の継続には、公平な競争環境を維持することが重要で、ルールづくりとチェック体制の強化が必要となっています。

提言では、地方部の観光地における移動手段の確保に向けた日本版ライドシェアの拡大や地方観光地における完全自動運転の早期導入に向けた取り組みを提案しました。

また、公平な競争を実現させるため、外国免許からの切替制度(外免切替)や運用の見直しを含む規制緩和後の実態調査と違法業者の取り締まり強化、通訳案内士の自家用車利用の実態調査の実施と利用者保護のためのガイドライン策定を求めています。

2. 地方における高付加価値旅行商品の造成と観光定着に向けた各種支援

訪日旅行者の地方部への宿泊は2019年を上回っているものの、都市部の伸びと比較すると下回っている状況のため、引き続き地方への誘客が重要です。

提言では、訪日観光客の自発的・継続的な地方部への訪問を実現すべく、商品造成でとどまりがちな高付加価値旅行商品の販売・定着までを自走するための支援や、そうした旅行商品の造成・流通・販売に関わる多様な事業者の連携体制構築、さらには高付加価値旅行・アドベンチャーガイドの育成も推進すべきとしました。

3. 観光産業における人手不足・人材不足解消に向けた各種支援

観光産業において、宿泊事業者や輸送事業者を中心に人手不足は深刻であり、早急な対策が必要です。特に、中小事業者を中心としてDX対応の遅れ・生産性の低さが顕著となっていて、事業の効率化支援が急務となっています。

提言では、中小企業を中心とした旅行会社の人材不足解消に向けたDX化・省力化支援、観光産業全体の「稼ぐ力」向上に向けた人材確保促進事業の対象範囲拡大を求めています。

また中長期的な視点の取り組みとして、初等・初期中等教育への観光教育普及に向けた指導者層向け教育プログラムの開発やセミナーの実施を提案しました。

4. 持続可能な観光の実現並びにオーバーツーリズム解消に向けた受入環境整備の推進

地方部での誘客促進が進められている一方、都市部では訪日外国人の集中によるオーバーツーリズムの解消が課題となっています。

提言では、地方空港の輸送力強化や多言語対応など地方部でのインバウンド受入環境整備の推進、パークアンドライド整備支援などクルーズ船寄港に伴う一時的な交通渋滞対策などを提案し、地方観光地の訪日客受け入れとオーバーツーリズムへの対応を両立していく方針です。また、災害・事故発生時の対応を含む危機管理体制の構築支援や訪日外国人への安全・安心対策の発信強化、観光分野の脱炭素化支援などを進めていくとしました。

JATAはこれらの提言をもとに、観光産業の持続的な発展と「観光先進国」の実現に向けて積極的に取り組んでいく方針だということで、観光庁に向けては「観光産業の持続的な発展を実現させるための力強い支援を引き続きお願いいたします」と締めくくっています。

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<参照>日本旅行業協会(JATA):「【提言】訪日旅行の持続的発展にむけて」を提出

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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