【最新動向まとめ】増加する訪日需要 全国の空港はどう対応する?

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訪日需要の拡大に伴い、日本各地の空港で国際線対応の強化や設備拡充が進んでいます。主要空港においては発着枠の拡大や検査体制の強化などが進められるほか、地方空港でも、訪日客の消費促進や体験価値の向上を狙った施策が次々と打ち出されています。

本記事では、全国の空港の最近動向をまとめてご紹介します。

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訪日客数が増加するなか、主要空港では国際線の受け入れ体制強化に向けた取り組みが進められています。

特に関西圏や九州では、大規模なリニューアルや新ターミナルの整備が相次いでおり、インバウンド対応の強化に直結する動きとして注目されています。

3月27日、関西国際空港は開港以来初となる大規模リノベーションを経て、第1ターミナルがグランドオープンを迎えました。

国際線エリアは、保安検査場の集約・拡張や動線の見直しにより、処理能力が大幅に向上。面積も60%増となり、国際線のキャパシティが大幅に拡大されました。出国後エリアには、関西初出店を含む商業施設や新設ラウンジが並び、滞在時間の価値向上にもつながっています。

2026年夏には、国際線の南北商業エリアが拡張される予定です。

3月28日、福岡空港の国際線ターミナルがグランドオープンを迎えました。保安検査場と出国審査場を移設・拡張し、スマートレーンやプライオリティレーンの導入により、従来と比べて約2倍の処理能力を実現しています。

出国後エリアには、従来の約4倍の広さとなった新免税店や、フードホール「HAKATA FOOD HALL」がオープン。コスメやファッションをはじめとした120以上のブランドを取り扱うほか、もつ鍋やラーメンなど地元グルメも充実しています。

また2025年6月の1か月間、日韓両政府は、双方の国民の入国審査時間を短縮する目的で、一部の空港で優先レーンの設置を行います。日本では、福岡空港羽田空港に優先レーンが設置されるとしています。

2024年度に観光庁訪日客を対象にした調査では、関西国際空港福岡空港で「入国手続きに困った」と答えた人の割合が、前年度の調査から増加しました。今回の受け入れ体制強化により、こうした課題の改善が期待されます。

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4月18日、神戸空港で第2ターミナルがオープンし、国際チャーター便の運航が始まりました。

新ターミナルでは、韓国中国台湾との間でチャーター便が運行されています。また、保安検査や出入国手続きはすべて1フロアで完結し、スムーズな動線が確保されています。

2030年頃には国際定期便の就航も予定されており、将来的には関西圏の第3の国際空港として、多くのインバウンド客が利用する玄関口となることが期待されています。

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▲神戸空港第2ターミナルビルの様子:関西エアポート神戸株式会社リリースより
▲神戸空港第2ターミナルビルの様子:関西エアポート神戸株式会社リリースより

ほかにも全国の空港において、空港の機能強化や、インバウンド需要のさらなる拡大を見据えた取り組みが進んでいます。

成田空港では2025年冬ダイヤ(10月末)から、年間発着枠を現在の30万回から34万回に拡大することが正式に決定されました。背景として、訪日客数の増加に伴う航空需要のさらなる拡大が挙げられています。

また、2029年3月を目処に新たな滑走路も完成予定であり、発着枠は年間50万回へと段階的に引き上げられる見通しです。あわせて空港周辺地域の活性化にも注力しており、「NRTエリアデザインセンター」を中心とした地域づくりが進められています。

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羽田空港那覇空港は、空港機能のさらなる強化に向けて、包括的連携協力に関する覚書を締結しました。羽田空港は年間約8,000万人、那覇空港は約2,000万人の旅客数を扱う拠点であり、連携を通じて課題の解決や企業成長を目指すとしています。

連携事項には、インバウンド受け入れ環境の整備やDX推進、人材育成、地方創生への取り組み、災害時対応の強化、空港の脱炭素化など、2030年の訪日外国人6,000万人達成に向けた取り組みが盛り込まれています。

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4月1日から、関西国際空港(第1ターミナル・第2ターミナル)、羽田空港(第2ターミナル・第3ターミナル)、成田空港(第3ターミナル)で「共同キオスク」の本格運用が始まりました。入国手続きの時間短縮による利便性向上と水際対策の効率化が目的です。

これまでは、それぞれの手続きで旅券や申請書類の提示が必要でしたが、共同キオスクの利用によって旅客は顔写真や申請情報などを一括で登録でき、スムーズに入国できます。

財務省および出入国在留管理庁は、共同キオスクを利用できる空港・ターミナルを順次拡大していく方針です。

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▲「共同キオスク」の概要:財務省税関局・ 出入国在留管理庁 報道発表資料より
▲「共同キオスク」の概要:財務省税関局・ 出入国在留管理庁 報道発表資料より

茨城空港では、インバウンドを取り巻く状況の変化や空港の機能強化の必要性を踏まえて、2040年代までを見据えた将来ビジョン案を取りまとめました。

旅客数については、2040年代までに国内線と国際線をあわせて約170万人の年間利用者数を目指すとしており、なかでも国際線の旅客数は2023年度の12倍となる60万人が目標となっています。

利用拡大に向けて、東南アジア・欧米への増便や新規就航を図るほか、旅客需要に対応するターミナルビルの容量拡大や機能強化などに取り組む方針です。

また2023年に実現したビジネスジェットの受け入れを踏まえ、富裕層の誘致促進のため、ビジネスジェットを活用したツアーの造成や受け入れ強化を図るとしています。

中部国際空港では、2月に代替滑走路の整備が正式に許可され、4月に正式に着工されました。新滑走路は全長3,290m・幅45mで、現在の滑走路の補修時にも活用できるように整備されます。

供用開始は2028年3月末を予定しており、完成後は空港の24時間運用も可能となる見通しです。これまで1本だった滑走路が2本になることにより、国際拠点空港としての機能強化が期待されています。

小松空港では、インバウンド需要の取り込みや空港の機能強化を図る目的で、国際線エリアの拡充などを盛り込んだ中期ビジョンの最終案が策定されました。ターミナルビルは供用開始から40年以上が経過しており、施設の機能強化が急務となっています。

国際線新規路線の誘致や既存路線の拡充のほかに、羽田経由による国際線乗り継ぎ需要の拡大を目指すとしています。またターミナルビルの機能更新においては、インバウンド需要の取り込みに向けた国際線エリアの拡充や、手続きのスマート化などが重要視されています。

今後は北陸新幹線との共存関係を模索しつつ、地域全体における旅行需要の促進を目指します。

また4月24日からは、コロナ禍で運休していた小松=香港便が約5年半ぶりに運航再開し、小松空港におけるすべての国際線が再開されました。

訪日客の増加に対応する動きは、地方空港にも広がっています。地域の特性を活かしたユニークな施策や設備投資も行われており、空港を起点とした消費や再訪のきっかけづくりにもつながっています。

ここでは、地方空港の取り組みをいくつか紹介します。

仙台空港では、国際線の利用者増加に伴い、国際線出国待合室においてバス専用のゲートが新設されました。

また7月16日より、タイガーエア台湾による高雄=仙台線の新規就航が予定されています。同社による台北=仙台線の運航も含めると、台湾路線は週6便となります。

ほかにも、周辺地域の賑わい創出や、東北の玄関口としての新たな魅力づくりを行うことを目的とした、地域活性化施設(仮称:空の駅)の整備運営事業の検討が進められています。

大阪・関西万博の開催期間に合わせ、大分空港は10月13日まで「大分ハローキティ空港」の愛称で運用されています。空港内にはサンリオキャラクターによる装飾が施され、さまざまなプロモーションが展開中です。

県の観光公式SNSではインバウンド向けの情報発信が強化されているほか、7月下旬頃からは県内のテーマパークハーモニーランド」へ向かう期間限定のシャトルバスも運行予定です。

また8月には、万博大分県ブースにて特別コーナーの設置が予定されており、県内外で観光促進を目的とした施策が順次展開されます。

関連記事大分空港の愛称が「大分ハローキティ空港」に、万博期間にあわせインバウンド向け情報発信など実施

▲大分ハローキティ空港 セレモニーの様子:© 2025 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN  著作 株式会社サンリオ
▲大分ハローキティ空港 セレモニーの様子:© 2025 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN  著作 株式会社サンリオ

九州佐賀国際空港では1月から、日本国内の空港では初となる、少人数向けカラオケシステムが導入されました。

国際線搭乗口近くに設置されており、出発前の空き時間を有意義に過ごすための手段として注目されています。

カラオケシステムには外国の曲や海外で人気の日本のアニメ曲が充実しています。1曲100円から利用可能で、インバウンドの小銭消費にもつながることが期待されています。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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