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インバウンド需要の高まりを受けて、年々ハイペースで増加している訪日外国人観光客。日本国内でも内需の伸び悩みも背景にあり、様々な業態でインバウンド市場へのアプローチが始まっています。

しかしながら、現状、インバウンドで潤っているのは一部の有名観光都市や首都圏、ゴールデンルート配下の地域のみと言って良く、地方誘致がインバウンドの課題とされています。特に、地方誘致の場合、そもそもプロモーションの仕方がわからない、という課題もあるでしょう。

今回は、インバウンドプロモーションの1手法として「ファムトリップ」について解説。地方誘致だけでなく、様々な業種でのプロモーションで活用できるとして、インバウンドで注目を集めています。

 

ファムトリップとは

そもそも「ファムトリップ」とはどのようなものなのでしょうか。JNTOの定義によると

Familialization Trip 下見招待旅行、ファムトリップ
内容
略して「ファム」(”Fam”)と言う。大会・会議用施設側が将来バイヤーとなる可能性のある組織の代表者らを現地に招いて下見を目的としたセミナーを催し、これによって会場利用契約成立の機会の増大を図る。複数の組織の代表者を招いて行う場合もあれば、個別に招く場合もある。―JNTOより引用

とされています。もう少し噛み砕くと

  • ターゲットとする国の旅行会社、メディア、ブロガー(KOL、インフルエンサー、パワーブロガーとも)を招待
  • 特定の観光エリアや、インバウンド向けサービスなどを現地で体験してもらう
  • その体験を旅行企画に活かしたり、メディアやブログに記事掲載する

といったプロセスで行われる観光プロモーションとなります。

 

ファムトリップのメリットとは

ファムトリップの1番のメリットは、招待され実際に体験した人が、それぞれの国にローカライズした形でプロモーションをしてくれることにあります。

訪日外国人観光客の主要情報収集源はブログと旅行会社ホームページ

観光庁の消費動向調査によると、訪日外国人観光客が役に立ったとしている情報源は以下の通りとなっています。

1位個人のブログ27.20%
2位旅行会社ホームページ18.10%
3位旅行ガイドブック17.60%
4位自国の親族・知人17.20%
5位日本政府観光局ホームページ17.00%

個人のブログの情報が役に立ったとしているのが訪日外国人観光客全体の27.2%で1位、続いて旅行会社のホームページが18.1%となっています。

また、アジア圏訪日外国人観光客においてはこの傾向はより強くなり、個人のブログが役に立ったとする回答率は、訪日台湾人観光客で30.0%、訪日香港人観光客で37.7%、訪日韓国人観光客に至っては48.9%にのぼります。

そのため、ファムトリップを用いたプロモーション施策は、訪日旅行を計画している潜在的訪日客に対して効果的なものと考えられます。

継続的な広告費はかからず資産となる

インバウンドに限らず、プロモーションとして一般的な手法である広告。ソーシャルメディア広告やアフィリエイト、リスティング、動画などといったWEB広告や、雑誌やテレビなどのオフラインでの広告など、様々な形態が存在します。

これらの広告手法に共通するのは、効果は一過性であり財産になりにくいということがあります(もちろん、広告によって流入した顧客がファンとして財産になるといったケースもあります。Facebookページのファン数などはその例)。そのため、広告の効果を継続させるためには、広告費を掛け続ける必要があります。

それに対しファムトリップの場合、メディアやブロガーによって書かれたプロモーション記事などは、公開後、何かしらの問題が無い限りはずっとWEB上に残り続けます。そのため、後述の通り1度の費用はかかるものの、効果の持続性が高いプロモーション手法だと言えます。

各国目線でウリのポイントを分析できる

更には、外国人を招致して実際に体験してもらうことで、各国の目線での地域やサービスのアピールポイントを発見できることもメリットです。特に地方の場合、「自分たちの地域のどこがアピールポイントになるのかわからない」というケースも少なくはありません。

例えば昨年9月に農林水産省が岩手県内陸部の遠野で実施したファムトリップでは、参加した外国人バイヤーを対象に、バイヤーの視点から農山村の資源や受入体制について評価や課題等をヒアリングして調査結果を纏めています。

遠野で実施したファムトリップで行われたアンケート調査の一部:農林水産省より引用

遠野で実施したファムトリップで行われたアンケート調査の一部:農林水産省より引用

本調査では、ファムトリップで印象に残ったことや、自国での関心度、商品化の際のセールスポイントや考えられるターゲット層についてヒアリングしており、観光資源としての有用性などが浮き彫りになっています。

 

ニセコでのファムトリップ事例

2014年に行われたニセコでのファムトリップの事例を見てみましょう。Hokkaido Snow Travel Expo 2014実行委員会が北海道を世界を代表するスノーリゾートにすべく、アジア、豪州、北米、欧州の16市場からメディア8社9名、旅行会社等42社42名をニセコ町と倶知安町に招致。

ニセコで行われたファムトリップ:観光庁より引用

ニセコで行われたファムトリップ:観光庁より引用

その成果は、商談数にして506マッチングを達成し、各国3メディアで取り上げられました。それらの効果として、ウィンタースポーツシーズンで約3000名の送客見込みとなり、経済効果としては約5億円の経済効果があるとしています。

 

まとめ:コト消費にシフトする今こそファムトリップの活躍の場

昨今のインバウンドではコト消費傾向が進んでいます。それにともない、FIT(個人旅行)客の増加も見越されています。

とすれば、今後さらに個人のブログや旅行代理店のホームページでの情報収集が進む可能性が高く、体験型のレジャーやサービス、観光と相性の良いファムトリップの有効性が高まってくるものと考えられます。

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