解禁か?規制か?評価が分かれる民泊新法・改正旅館業法、閣議決定:年間180日まで営業可能に規制緩和の一方違法民泊には罰金100万円

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政府は3月10日、「住宅宿泊事業法案(通称:民泊新法)」を閣議決定しました。民泊新法は、訪日外国人観光客などに有料で自宅の飽き部屋や、所有するマンションの1室を有料で貸し出す「民泊サービスに対するルールを定めたものです。

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3月10日「民泊新法」、3月7日「改正旅館業法」閣議決定

先日3月10日、 政府は民泊新法(正式名称:住宅宿泊事業法案)を閣議決定 しました。民泊新法は、現状民泊を想定したルールが無いこと、そして日本でもインバウンド需要の高まりによって民泊サービスが急速に普及していることを背景に、民泊の健全な普及を目指すものです。

また、民泊新法に先立って違法民泊の規制強化となる 「旅館業法」の改正案も3月7日に閣議決定 され、両案は、今後国会で審議されていくことになります。

「民泊新法」では営業日数年間180日に

いわゆる民泊新法で目玉となっているルールは 民泊の営業日数が180日(泊)と定められたこと です。この「180日」というのは、昨年の夏頃に民泊検討会が最終報告書を提出した頃から話題となっていました。

民泊検討会、最終報告書を発表:旅館業法とは異なる新たな法制度をつくり、実態把握を図る見込み

世界的に人気を博しているものの、宿泊業者や地域住民の生活に悪影響を及ぼすおそれが懸念されている民泊。観光地として世界的に有名なフランス・パリでは、ホテルの宿泊率が減少し、家賃相場が上昇し住宅不足が発生。ひどいところでは学級閉鎖まで起こっていると言われています。民泊の本来的な魅力は、ホテルや旅館では体験しにくい地域住民との関わり、体験の共有など。しかし、低コストで運営できるため、宿泊業者より価格が低く、実際には違法な業者が営業していることも少なくないと言われています。このような問題があること...

最終的な法案では、 地域の実情を反映する仕組みを創設する ことが盛り込まれています。よって、国会審議でどうなるかは予断を許さないものの、 180日規制については弾力的なものになる可能性が残る ものになりました。

法案は、おもに

  • 住宅宿泊事業者

    • ≒民泊事業者、物件や部屋を所有し、民泊として貸し出す貸主
  • 住宅宿泊管理業者

    • ≒民泊運用業者、ハウスクリーニングやAirbnb(エアビーエヌビー)の運用などを代行する業者など
  • 住宅宿泊仲介業者

    • 民泊検索サイト、Airbnb(エアビーエヌビー)に代表される民泊物件が検索できたり、予約などができる仲介業者など

の3業者に対する制度から成り立っています。

それぞれに対し、都道府県知事や、国土交通省、観光庁などへの届け出や登録、そして各事業ごとに適正な遂行の為の措置の実施を義務付けるものとなっています。

民泊新法による新制度イメージ図:観光庁プレスリリースより

民泊新法による新制度イメージ図:観光庁プレスリリースより

これらのルールや制度により、旅館業法にあたる営業をしながらも、無許可で行われてい違法民泊を撲滅し、公衆衛生の確保や地域住民とのトラブル防止を目的としており、現状の違法民泊3割という状況を改善するものと見込まれます。

解禁に乗り出す民泊新法案がいよいよ国会提出 その一方で、ヤミ民泊が横行しているという調査結果も

宿泊施設不足の解決や新たな需要の創出などのポジティブな側面に加え、近隣住民とのトラブル、違法な業者の存在といった問題を懸念する声も多い民泊。かねてから平成29年(2017年)中に行うとされていた、その新法案の閣議決定、国会提出が3月中に実現する見込みです。いよいよ日本でも、本格的に民泊が解禁されることになります。今回はすでに明らかになっている民泊新法案の大枠に加え、今後、課題として浮き彫りになっていくであろう違法な民泊業者の問題についてご紹介します。 目次日本における民泊のこれまで新法案で...

「改正旅館業法」では違法民泊に対し罰金100万

他方、今まで民泊に関連する法律として知られていた「旅館業法」についても、「民泊新法」の閣議決定に関連して改正案が閣議決定されました。改正内容は、 無許可営業の罰金額の上限を3万円から100万円に引き上げ るなど、無許可営業に対して規制強化する格好になりました。

主な改正内容は以下の3点。

  1. ホテル営業及び旅館営業の営業種別の旅館・ホテル営業への統合

  2. 今までの旅館業法では「ホテル営業」「旅館営業」とそれぞれ別の営業種別だったものを統合し、「旅館・ホテル営業」とする。

  3. 違法な民泊サービスの広がり等を踏まえた無許可営業者等に対する規制の強化

  4. 民泊の無許可営業者に対して、都道府県知事等による報告徴収、立入検査等の権限規定の措置
  5. 民泊の無許可営業者等に対する罰金の上限額を、 今まで3万円だったものを100万円に引き上げ 、その他旅館業法に違反した者に対する罰金の上限額を、今までの2万円から50万円に引き上げ。

  6. その他所要の措置

  7. 旅館業の欠格要件に暴力団排除規定等を追加

と、民泊新法の制定を前提とした、違法民泊取締を強化する改正案となっています。

 

まとめ:民泊新法で民泊は「解禁」されたのか、それとも「規制」されたのか?

昨年の夏頃から議論が活発化し、民泊新法の閣議決定まで至った日本の民泊環境。今までの旅館業法は、ホテルや旅館といった、宿泊施設らしい営業を対象としたものであったために、「民泊」を「民泊らしく」「旅館業法において適法に運営する」というのは至難の業でした。それがために、 これまでの民泊は謂わばグレーゾーンとして野放し状態であった と言えます。

今回、民泊新法、および改正旅館業法が閣議決定され、民泊に対する新しいルール、制度が制定されようとしています。前述のとおり、話題となった 「営業日数180日規制」については、地域の事情を鑑み弾力的な規制になる見通し ですが、実質的には 営業に制限をかける”規制”である ことは間違いありません。

民泊新法が制定されれば、より明確な「クリーンな民泊」の線引ができるものの、これが 日本のインバウンドビジネスにおいてプラスになるか、はたまたブレーキになるのかは予断を許さない状況 でしょう。今後予定される両法案の国会審議に注目が集まります。

<参考>

 

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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