訪日中国人観光客向けSEO対策とIPC登録(前編)

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中国SEOの壁と“表現の不自由”

訪日中国人観光客の市場をターゲットしたSEO対策訪日中国人観光客の市場をターゲットしたSEO対策をしようと思っても、さまざまなハードルが存在します。中国SEOを展開するのは難しい――そんな嘆息が漏れてくるのも仕方がありません。ネット規制のもと、中国国内でGoogle検索が通用しないことだけをとって見ても、中国のネット環境の特殊性が容易に想像できるかと思います。

バイドゥ(百度)で「天安門事件」を検索すると・・・

バイドゥ(百度)で「天安門事件」を検索すると・・・

背景には、「金盾」と呼ばれるゲートウェイによって中国本土から海外へのネットアクセスが中国政府によって検閲を受けていることがあります。結果として、中国国外でサーバーをホスティングするサイトの全部または一部が表示できなかったり、かりに表示できたとしても、アクセススピードが遅かったりするなどの不便や不都合が生じます。

検閲の一つの例を示したのが図1です。毎年、「全人代」と呼ばれる国会の時期や国慶節(建国記念日)のほかに、中国でネットパトロールがとくに厳しくなるのが「6月4日」前後です。そして、いずれの時期にかかわらず、私たちがよく知る歴史的な事件についての関連記事や画像は見事にシャットアウトされていることの一例として示したのが、このバイドゥ(百度)の検索画面のキャプチャ画像です。

そもそも外国人が中国国内で情報発信活動を行うことは極めて難しいことなのです。たとえば、中国現地で発行される外国語のフリーペーパーなども、基本的には「刊号」という出版物の許可番号をローカルの出版社などに使用料を支払って借り受けるなどして発行されているのです。そして、その際には、発信するコンテンツについて厳しい当局の“指導”を仰ぐことになります。

たとえば、かりに出版物に中国地図を掲載する場合は、国境線の位置等、当局が主張する領土に忠実な形状で描かないといけません。紛争状態にある地域も中国領に取り込んだ地図を掲載しなければアウトというわけです。

一方、地名の表記も神経質にならなければなりません。「旧満州国」は「中国東北部」、「東シナ海」は「東中国海」といった具合です。

極めつけは、「歴史認識」それに「一つの中国」の原則の徹底です。たとえばアジアの小竜、NIESの説明を「韓国、シンガポール、台湾、香港」と記すのはタブーです。「中国台湾、中国香港」としなければならないのです。ちなみに、中国国内で発行する英語雑誌が、かつて青天白日旗が背景に映る写真を載せたために一時的に停刊になったこともあります。

ネットワーク出版サービス管理規定で規制強化

外国企業が中国国内でコンテンツ事業に関わるうえで、昨今、大きな注目が集めた法律があります。デジタルコンテンツのインターネット配信・販売に関する規定であり、「ネットワーク出版サービス管理規定」と呼ばれるものです。今年(2016年)3月10日より施行されています。

「ネットワーク出版サービス管理規定」が施行される以前も、外国企業のコンテンツ配信は厳しく規制され、出版関連を筆頭に多くの禁止事項が設けられていました。デジタルコンテンツについては、2002年に発布された「インターネット出版管理暫行規定」を枠組みとした規制ができたほか、2005年には「インターネット出版業務」への外資による投資が明確に禁じられました。さらに2015年版の「外商投資産業指導目録」のなかには、図書、定期刊行物、オーディオ製品、電子出版物等の伝統出版物の出版業務のほか「ネットワーク出版」も外商投資の禁止項目に組み入れられたのです。

いずれにせよ、中国が加入したWTOにおけるサービス業参入の承諾は出版業には及ばなかったのです。今後も、続々と登場する新たなコンテンツやサービスへの対応の必要性から、新たな規制や細則が出てくることが予想されます。

「ネットワーク出版サービス管理規定」の対象範囲は「書籍・新聞・雑誌・音響映像製品のデジタル版、文学、芸術、科学領域に関わる知識性・思想性の文字、画像、地図、ゲーム、アニメ、音響映像読み物作品、これら作品のオンライン文献データベース、当局が認定するその他のデジタル作品」(第二条)と多岐に渡ります。外資企業はメディア、テレビ、ラジオなどを設立、そして投資することが禁止されているほか、ネット上の出版と配信業務も禁じられています。いわば、外資が投資するこれらの事業に携わることは、強制性をもつ中国の規定に違反することであり、無効行為とされるのです。

すでに中国に進出している外資企業にとっては、この規定の施行によって受ける影響はさほどないと見られています。しかし、同法では、旧規定の不備を補い、曖昧だった部分や不足していた部分を明確に条文化され、規定に違反した際の罰則内容も明示している点が注目されます。今後、中国のマス向け、訪日中国人観光客全般に向けてコンテンツ配信を行っていきたいと考える企業にとっては、この規定が大きなハードルとして存在していることを認識しておく必要があるでしょう。

サーバー等は中国国内の設置を義務付け

重複しますが、「ネットワーク出版サービス管理規定」の最も重要な点は、「外商投資産業目録」など他の規定によって中国が以前より禁止していた外資企業や合弁企業によるコンテンツ配信について、明確に「(外資企業および合弁会社は)当該業務ができない」と定めたことにあります。(同法10条)

そして、純粋なローカル企業(内資企業)が中外合資企業、中外合作経営、外資経営企業、海外組織および個人と業務提携を行う場合でも、事前に国家新聞出版広電総局による審査が必要としています。

さらに、コンテンツ配信のためには、「ネットワーク出版サービス許可証」を取得することが義務付けられ、そのための条件の一つとして、配信に必要なサーバー等の技術設備は中国国内に置かれなければならないとしているのです。

なお、主管当局を担うのは国家新聞出版広電総局と工業情報化部であり、許可証の発行や年度審査、違法行為などに対する措置は、各地の出版行政主管部門と新聞出版広電総局が行うとしています。

コーポレイトサイト開設にも必須のIPC登録

ICP申請のサイト画面

ICP申請のサイト画面

以上、デジタルコンテンツに対する規制である「ネットワーク出版サービス管理規定」について紹介いたしましたが、営利的にコンテンツ配信を行うためのライセンス(ICP=Internet Contents Provider=ライセンス)を必要としない場合でも大きな壁があります。

それがICP登録という制度です。「ICP登録」は「ICPライセンス」とは別物で、当局に対して行う「Webサイト(コーポレイトサイト)の登録」の手続きのことです。むろん、バイドゥ(百度)などの検索エンジンで行う「サイト登録」とも違うものですので注意が必要です。

ICP登録のための前提条件となるのは、中国に法人があることです。したがって、中国に未進出の企業が中国で法人開設をすることなくICP登録をしたいと考えた場合、名義貸しの会社や信頼のおける提携会社等に手数料を支払うなどの方法をとるほかありません。

もっとも、その名義貸しのサービスすら、度重なるネット規制を受けて下火にあります。それゆえ、サービス業者も、名義貸しを単独業務としてアピールするというより、ドメイン取得からレンタルサーバーの提供、そしてサイト制作といった一連の業務とのセットで提供するケースが主流となっているようです。

なお、中国法人がないために中国国内ドメイン(中国語で“域名:YuMing”といいます)である「.cn」の取得はむろん、ICP登録を行うことができないという場合でも、中国国内でサイト閲覧をしやすくするためには、「.com」ドメインを中国のドメイン登録会社での購入を勧める意見が散見されます。日本のドメイン登録会社経由での登録ですと、中国国内でのサイトスピードが遅くなる傾向があるためです。

また、参考までに、ドメイン登録とレンタルサーバーのサービスを提供する主要プロバイダーを2つご紹介しておきます。

万網(wanwang:ワンワン):https://wanwang.aliyun.com/
新網(xinwang:シンワン):http://www.xinnet.com/

外国企業設立のための道のり

本編(前編)の最後に、中国現地で法人を持つうえでの手続きについても触れておきましょう。
外国人が100%投資する独資企業であれ外国人と中国人が一緒に投資する合弁企業であれ、中国で外国企業が現地法人を設立する場合は、投資する現地政府機関から現地法人設立の認可を取得する必要があります。

その主管当局となる商務局の批准を受けた後、工商行政管理局(工商局)に会社設立の申請を行い、営業許可証が交付されるまでざっと1カ月を要します。

その後は、税務局での税務登記や、領収書やそのプリンターの手配、会社印の製作(公安局の指定場所)、銀行口座の開設等々、さまざまな手続きで1カ月かかり、ようやく正式営業にこぎ着けるといった感じです。
手続きの概要や必要書類等の情報はジェトロのサイトにも公開されていますので、ご参照ください。

ジェトロ:「外国企業の会社設立手続き・必要書類」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/cn/invest_09/pdfs/cn12A010_kaisyasetsuritsu.pdf

=(後編)に続く

 

訪日中国人観光客インバウンドデータ集

データでわかる訪日中国人観光客

爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。

訪日中国人観光客の特徴

'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。

訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説

中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)

訪日中国人観光客の増加に伴い、インターネットを活用したインバウンドマーケティングへの関心が高まっています。しかし、中国のネット事情は日本とは大きく異なります。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ

訪日中国人観光客が必携としているコミュニケーションツールをWeChat(微信)のほかにひとつだけ挙げるとしたら、それはテンセントQQ( 騰訊QQ、Tencent QQ; 以下、QQと略)だといえるでしょう。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)

訪日中国人観光客が常用するアプリとしてWeChat(微信)とQQを取り上げましたが、Weibo(微博)も忘れてはなりません。「微博」は中国語で“ウェイボー"と読み、ミニブログ、マイクロブログという意味です。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)

訪日中国人観光客が常用するサービスとして、WeChat(微信)、QQ、Weibo(微博)をご紹介してきました。いずれもTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)の良い所どりをしながら機能の充実を図ってきており、若干の不確定要素をはらみながらも、中国の3大SNSとして大きな存在感を誇示しています

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇

昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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