セブン‐イレブン・ジャパンとトランスコスモスが平成28年(2016年)8月31日、コールセンターによる多言語対応サービスを開始することを発表しました。専用のコールセンターにより、セブン-イレブン加盟店の運営を支援する「店舗サポートサービス」を実施するもの。訪日外国人が来店した際、トランスコスモスの「多言語コンタクトセンター」を通じて、逐次翻訳を行います。対応言語は英語、中国語で、時間は午前9時から午後9時まで。状況に応じて、サービスを拡大することも検討しています。
現在、各地にあまたと存在するコンビニを社会インフラの一種とみなす考え方が広まっています。コンビニの利便性を向上させる取り組みはインバウンドビジネスのみならず、少子高齢化、トラックドライバー不足の解決など幅広い分野で行われています。全国各地に店舗があり、大企業が統括するコンビニは、新たなサービスを次々と取り入れ、進化を続けているのです。
今回は、特に訪日外国人観光客向けに行われている、大手コンビニによるサービスの動向についてご紹介します。
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コンビニは小売店から、日々の活動を支える社会インフラに
コンビニが社会インフラとして認識されるようになった大きなきっかけは、平成20年(2008年)に経済産業省が主導して「社会インフラとしてのコンビニエンスストアのあり方研究会」が発足したこと。買物弱者、防犯、防災、行政サービス、認知症対応、物流……などさまざまな分野に関連して、これからのコンビニのあり方について検討が行われました。
インバウンドビジネスについても取り上げられ、資料の中では「観光庁が観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014において訪日外国人旅行数2,000万人(2013年の約2倍)の高みを目指すとしている中で、外国人が安心して利用できるコンビニエンスストアとはどのようなものであるか」と問題提起されています。今やコンビニはただの小売店ではなく、訪日外国人観光客を含む日本にいるすべての人たちの活動を支える存在だと考えられているのです。
翌平成21年(2009年)には本フランチャイズチェーン協会が「社会インフラとしてのコンビニエンスストア宣言」を発表。以下のような目標を掲げ、ただの小売店ではなく、社会インフラとしての機能を果たすことを明言しています。
- わたしたちは、「環境にやさしいコンビニエンスストア」を実現します。
- わたしたちは、「まちの安全・安心」に貢献します。
- わたしたちは、「地域経済の活性化」に貢献します。
- わたしたちは、「消費者の利便性向上」を追求します。
その後、この宣言に基づいて、各企業が取り組みを行っています。今や社会インフラとしての役割をはたすことは、コンビニ業界の共通目標、社会的責任になっています。
コンビニで行われている訪日外国人観光客向けのサービス
では、具体的にはどのような取り組みが実施されているのでしょうか。
免税手続き:免税対象となる商品の広がりを受け
セブン‐イレブン・ジャパンは平成27年(2015年)7月9日、訪日外国人観光客が免税手続きをスピーディーにできる「免税サービス」の対象店舗数を、拡大していくことを発表。免税店制度の変化により、食料品、化粧品などの消耗品が対象になったことで、これらの商品を扱うコンビニは訪日外国人観光客にとって使いやすいお店になっていたためです。
免税手続きの対応は、他の大手コンビニでも、訪日外国人観光客の多い場所を中心に実施されています。
電子決済:財布を持ち歩く習慣のない訪日外国人観光客に対応
海外では、日本以上に電子決済が広く浸透しています。お金を持ち歩く習慣がない人も多いと言われており、訪日中国人観光客をはじめとした訪日外国人観光客向けに対応することは非常に重要です。
ファミリーマート、ローソン、セブン-イレブンをはじめとしたコンビニでは、微信支付(WechatPayment)などの導入が進んでいます。
多言語対応:日本語が分からなくても使いやすい環境づくり
多言語対応はさまざまなところで行われています。
- 接客:冒頭で取り上げたセブン-イレブンのような取り組み、各国語を記載した指差しシートの用意など
- アプリ:スマートフォンをかざすと、商品情報が多言語で表示されるアプリの開発など
- Wi-Fi:コンビニや交通機関で使える無料のWi-Fiアプリの多言語対応など
まとめ:コンビニは訪日外国人観光客にも欠かせない存在
日本各地に店舗を構えるコンビニは現在、さまざまな問題を解決する社会インフラとして見られています。少子高齢化、買い物弱者、トラックドライバー不足といった国内の問題のみならず、日本を訪れた訪日外国人観光客も対象となっています。
訪日外国人観光客の困り事を解決するために、電子決済の導入、免税手続きの対応、多言語対応など、多種多様な取り組みが行われています。
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